コーデュロイの寒い話
2013年2月6日 未分類 0
皆さんはコーデュロイのジーンズを真冬にお穿きになるだろうか?
通常の13オンス前後のデニムよりも寒く感じられて、筆者はまず穿かない。
筆者個人の体感なので一般とは異なるかもしれないが、コーデュロイ、とくに細畝コーデュロイは生地が薄い上に糸の密度が低く、かなり冷気を通すと感じられる。
通常なら定番と呼ばれる13・5オンス~14オンスのデニムの方が糸の密度が高く、生地も肉厚なのでずっと暖かく感じる。
念のために断っておくと、筆者は定価8000~9500円の大手ジーンズブランドの細畝コーデュロイパンツを2本持っている。いずれも5年以上前に買った物だが、年間の使用回数が少ないため、いまだに傷みは少ない。
ここ3年は一度も足を通したことがない。
(手持ちの細畝コーデュロイパンツ2本)
この2本を穿き比べてみたが、両方とも真冬は寒い。
かと言って、春夏に穿くのは何だかイメージ的に違うような気がする。
そうこうしているうちに3年間一度も穿かないという事態になってしまった。
そんな疑問を先日、コーデュロイ生地を専門的に扱っている某商社の方にぶつけてみた。
そうすると「コーデュロイは生地の密度が低いため、真冬は寒いですよ。秋口とか春先に穿くのがちょうど良いでしょう。サーファースタイルを見てもわかるように真夏にだって着用できますよ」という答えが返ってきた。
じゃあ「コーデュロイ=真冬」という各社の打ち出しは何だったんだろうか?
その方は「多分、起毛している見た目だけのことだと思います」とバッサリ。
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コーデュロイを良く見ていただきたいのだが、起毛している畝の部分とまったく何もない溝の部分が交互に走っている。全体が起毛していればまだ暖かさもあるのだろうが、溝の部分は基布がむき出しで、しかもその密度は粗い。どうりで風や冷気を通すはずである。
そして細畝コーデュロイは全体的に肉薄である。
最近のトレンドなのか、生地製造メーカーの都合なのか知らないが、最近、太畝コーデュロイを使用した製品をまったく見かけない。細畝コーデュロイ一色である。
さらにいうなら、コーデュロイの産地は静岡県の浜松周辺だが、あまり元気がない。
国内各地の生地産地も概ね疲弊しているが、それでも各産地の中には、製品化ビジネスに成功しつつある産地企業や、SPA化に踏み出している産地企業、欧米の高級ブランドから高い評価を受ける産地企業など、新しい取り組みを始めている企業が1つや2つある。
ところが、コーデュロイ産地からはそういう評判がまったく聞こえてこない。
そういう感触だけでいうと、各産地に輪をかけて疲弊しているのではないだろうか。
閑話休題
さて、その方との語らい(雑談)は続く。
その方によると、「コーデュロイ素材は高いか安いかのどちらかしかない。中間価格がない。安い素材は先ほど話したように寒い。けれども高い素材は高密度に織られており、使用している糸も太番手なのである程度保温性がある。パンツにするとだいたい2万円以上という価格帯になる」とのことだった。
国内のコーデュロイ産地については「実際に元気がない。経営者、工員ともに高齢化しており、彼らの引退と同時に廃業となる生地メーカーがほとんど。国産のコーデュロイは近い将来絶滅するのではないか」とも。
そんな寒いコーデュロイ談義だった。