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南充浩 オフィシャルブログ

アメカジに融合されてしまいやすい

2013年1月28日 未分類 0

 先日、サーフカジュアルについて雑談していた。
発端は今春からサーフカジュアルもトレンドの一分野に入っているということからだった。

そう長くはない経験に照らし合わせるとサーフカジュアルがビッグトレンド、ビッグビジネスに結びついたのを見たことがない。
そもそもが個人的に見ると、サーフカジュアルとアメカジの区別もできにくい。

筆者の周りにもサーフィンを楽しむ人が数人以上存在するが、彼らがいわゆる「サーフカジュアル」を常に愛用しているようにも見えない。
雑誌で言うと「Safari」あたりにサーフカジュアルスタイルが掲載されやすいと思うが、はっきりいうとアメリカ西海岸スタイル、アメリカンカジュアルスタイルとさほど見分けがつかない。

日本国内でサーフカジュアルブランドがもっとも盛り上がったのは10年くらい前だろう。
あの当時はクリムゾンの「PIKO」「タウン&カントリー」が全盛期で、そのあと「Russ-K」をデビューさせたが、今では3つともあまり見かけない。最後発の「Russ-K」は現在、ライトオンやジーンズメイトで値引き販売されているのをよく見かける程度である。

正直に言えば、サーフカジュアルブランドのほとんどはTシャツのグラフックで勝負しているように見える。
しかし、Tシャツのグラフィックだけでは消費者の購買意欲をそこまで継続させることはできない。
気に入った柄が1つや2つあっても、毎シーズンそのブランドで買いたくなるほどのものではない。
しかし、グラフィックしか勝負ができないので、スタート当初はシンプルだったロゴプリントがだんだんと派手になり、最後には田舎のヤンキー崩れが着るのかと思うほど派手でケバケバしい柄に行きついてしまう。
サーフカジュアルTシャツにはそんなイメージがある。個人的な印象でいうなら「PIKO」なんかがそう見える。

さて、そんなこんなで話していて、ふとクリムゾンの現状をググってみた。
ちょうど今月末が決算期であり、業績予想の下方修正を発表していた。

修正によると、

売上高18億9100万円
営業損失900万円
経常損失1億300万円
当期損失4000万円

とのことである。

非常に悪い決算内容なのだが、筆者は売上高に驚いてしまった。

クリムゾンのピーク時は売上高180億円あった。
2007年1月期でも157億円ある。
わずか5年間で10分の1程度にまで売上高が縮小している。

10年前はさまざまなサーフブランドが量販店やカジュアルチェーン店にひしめきあっていたが、今ではほとんど見かけることはなくなった。
会社規模を維持できているのは「ビラボン」を展開するジーエスエムジャパンくらいだろう。
こちらも社名は最近、ビラボンジャパンに変更しているようだが。

あと「クイックシルバー」や「オーシャンパシフィック(OP)」あたりもそれなりに残っている印象だが後のブランドは、この10年でほとんど聞かなくなった。

原因はいろいろとあるのだろうが、個人的にはサーフカジュアルスタイルと通常のアメカジスタイルの境界線の見えなさにあると感じる。要はアメカジジャンルに取り込まれてしまいやすいのだと思う。
サーフスタイルをコーディネイトするにおいて、別にサーフブランドにこだわる必要がない。
通常のアメカジブランドのアイテムだけで十分構築できてしまう。
そうなれば特別にサーフブランドを買い求めなくても良い。

そんなわけでサーフテイストはトレンドの一分野として注目されるかもしれないが、サーフカジュアルブランドというのは日本ではなかなか確立させるのがなかなか難しいのではないか。
今後もビッグブランド、ビッグカンパニーが出現することはないと考えている。

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