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南充浩 オフィシャルブログ

コアコンピタンスについてダラダラしながら考えてみた

2019年5月1日 考察 0

今日から令和元年である。
平成の30年間は1989年1月から2019年4月までで、当方が19歳から49歳まで過ごした。言ってみれば、昭和は子供時代、平成は若い頃を過ごしたといえ、令和は老年期を過ごす時代になる。
 
ゴールデンウィークの真っ最中ということで、大してこのブログを読んでいる人もいないだろうから、まあ軽い感じで書いてみたい。
 
何度も書いているように当方は基本的にテレビを見なくなった。とくに離婚してからは不要ならテレビは点けない。今、テレビを点けるのは日曜朝の仮面ライダージオウとリュウソウジャーを見るときだけである。
平成最後の秋に始まり、令和元年の秋口に終わるのが、現在放映中の仮面ライダージオウである。
平成ライダーシリーズといわれて早い物で、このジオウで20作目である。
昭和に仮面ライダーが人気だったと言ったって、連続で作られたのは5作で、そのあとはとびとびに1作、2作と作られていた。
そういう意味では平成ライダーは20作連続で作られているから、ビジネス的にも成功しているといえる。
 
平成ライダーが再開されたが、20作まで続くエポックメイキングになったのは3作目の「仮面ライダー龍騎」ではないかと個人的には思っている。
シリーズ1作目の仮面ライダークウガは、旧1号・2号とは少し違うが、王道に近い仮面ライダーで旧シリーズをよりリアルにした感じだった。2作目のアギトは、開始当初にいろいろとトラブルはあったものの、クウガを引き継いだ作風だった。
3作目の龍騎ではガラリと変えた。
シリアスなのは同じとしても、鏡の中の世界「ミラーワールド」で戦う仮面ライダーで、敵はミラーワールドに棲むモンスターと、13人の仮面ライダーで、13人のライダーは戦って生き残った最後の一人が願いをかなえられるというストーリーだった。
殺し合う13人のライダーというのは相当に衝撃的で、旧ライダーファンからの非難はすごかったろうと思うが、ここでガラリと作風を変えたことがその後の17連作につながったと思う。
なぜなら、旧作テイストで縛られるなら、もう新作を作る必要はなく、何なら旧作をDVDかネット配信かで見続けろよってことになってしまう。
さらにいえば視聴者も飽きてしまう。
またいつもの展開ですねということになる。
 
最近、またウルトラマンシリーズに人気復活の兆しを感じる。
2006年以降10年以上もウルトラシリーズは迷走していた。エポックメイキングになったのは2016年にテレビ放映されたウルトラマンオーブだろう。
2体の旧ウルトラマンを呼び出して融合合体して変身する。
これがウケた。旧ウルトラマンはカードになっていて、そのカードを2枚リングに通して召喚する。
これと同じアイデアで、ストーリーを変化させたのが、2017年のウルトラマンジードで、このジードからまたウルトラマンシリーズを見始めた。
ジードはカプセルを使って2体の旧ウルトラマンを召喚して融合変身する。
オーブもジードも融合にはたくさんのバリエーションがある。
ウルトラマンが低迷し続けたのは、まさに「同じ展開」ばかりの番組が作られ続けたからではないかと思う。
 
 
老舗ブランドや老舗といわれる業態もときにリニューアルする必要がある。
しかし、リニューアルというのは上手く行くこともあれば行かないこともある。リニューアルしたがために旧来の客は離れ新規客は取り込めなかったという場合も珍しくない。
逆に、リニューアルしなさすぎて客に飽きられて低迷したという場合も珍しくない。
それほどにリニューアルというのは難しい。
やみくもになんでも変えればよいというわけではないし、変えなさ過ぎても陳腐化してしまう。
 
以前、お蔵入りになった企画で、2016年に伊勢丹の大西洋・社長(当時)にインタビューしたが、その時に「変える部分と変えない部分の見極め」ということに盛んに言及された。
いわゆる「コアコンピタンス」はどこにあるのか?ということである。
ここを見極め誤るとリニューアルしたがために客が離れてしまう。
老舗ブランドもそうだろうし、百貨店のような古い業態もそうだろうし、伝統工芸もそうだろう。
何も変えないとそれはそれで陳腐化・マンネリ化してしまって客が離れる。
 
個人的には、変えなさすぎて低迷したのがウルトラマンシリーズだと思っている。現に2016年までは毎年番組を作り続けることはできなかった。20作連続で作り続けた仮面ライダーシリーズとは大違いである。
仮面ライダーが続いているのは、一見すると何もかもガラリと変えたようで、ただ一つだけ変わっていない部分があるからではないかと思う。
仮面ライダーシリーズがどんなに見た目や設定やストーリーが変わっても変わっていない部分というのは「ライダーと敵は同じ力」ということである。
旧1号・2号は敵であるショッカーに改造されて作り出された。改造人間という設定が使いづらくなった平成ライダーシリーズも「敵と同じ力」という部分だけは変えていない。
問題作といわれた龍騎だってこの部分は同じで、ミラーワールドのモンスターと契約しないと仮面ライダーへ変身する力は手に入らない。
ミラーモンスターは倒すべき怪物でありながら、ライダーは全員特定のモンスターと契約して変身している。
 
龍騎の次作「ファイズ」もオルフェノクという怪人と戦うが、ファイズに変身できるのはオルフェノクになった人間だけである。
次々作「ブレイド」もアンデッドという怪物と戦うが、アンデッドを封印したトランプカードで変身する。要するにアンデッドの力でライダーに変身する。
 
ここが当時の大西社長が盛んに言っていた「コアコンピタンス」ということになる。
 
自ブランドや自業種の「コアコンピタンス」はどこにあるのか、コアコンピタンスさえ見極められれば、リニューアルは成功する。
ブランドや工芸では、頑なに「何も変えたくない」という人を見かけることがあるが、それはウルトラマンの低迷と同じではないかと思う。
ルイ・ヴィトンやグッチ、プラダが復活したのは、もちろんプロモーションの巧みさやそれに莫大な投資をしたこともあるが、「コアコンピタンス」は守りつつも商品をガラリと変えたことも大きい。
 
 
まあ、そんなことをauビデオパスで仮面ライダーダブルのテレビ版と映画版を見ながらつらつらと考えた。
 
 
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