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南充浩 オフィシャルブログ

商品クオリティに統一感がないと消費者に不安を与える

2019年3月1日 企業研究 0

先日、某メーカーの人と雑談する機会があった。
当方よりも少し年下で40歳くらいの方だが、学生時代はファッションが好きで、バイト代を貯めては裏原宿ブランドを買っていたという。
ちょうど20年くらい前のことだろうか。
その当時はダウンといえばモンクレーの人気が急上昇しており、価格は今と同様高くて買えなかったから、日本で出回り始めたばかりのカナダグースが安かったから買っていたそうである。
サザビーリーグに移籍してからカナダグースの価格は10万円越えと大きく値上がりしてしまったが、それ以前は5万~6万円くらいとある程度は値ごろ感があった。
出回り始めた時代は3万円台だったので、学生がバイト代を貯めて買える値段帯だった。
20年後の現在、わざわざ10万円を越えるカナダグースを改めて買おうとは思わないという。気持ちはわかる。
モンクレーを買いたいとも思わなくなり、結局はユニクロのダウンに行き着いたという。
モンクレー、カナダグースの同価格帯ではデサントの水沢ダウンがある。機能的には素晴らしいのだが、いかんせんデザインが・・・・(笑)
伊藤忠商事との渦中のデサントだが、スポーツウェアメーカーということもあり、水沢ダウンもデザインがスポーツに寄りすぎていて、ストリートやアスレジャー的にカジュアルに着こなすならまだしも、トラッドな着こなしには合いにくい。そこが欠点だと指摘する人は衣料品業界には多く、当方もそう思っている。
 
それはさておき。
現在、ユニクロにはデザイン的にもマシな服が多数ある。ユニクロUなんてその典型だろうし、第3弾のコラボが決まったアンダーソンもそうだろう。
アパレルにはよくあることだが、コラボラインのエッセンスを半年後か1年後かに本体ラインに落とし込むので、ユニクロの本体ラインにも随分とコラボラインのような商品も増えており、デザインの良さが底上げされていると感じる。
おまけに、世界的な原材料費値上がりの影響から、他社が使用素材のクオリティを下げ続けているのに対して、ユニクロはスケールメリットを生かして維持ないし向上させているから、その点においても優位性がさらに高まっていると感じる。
2018秋冬シーズンではユニクロが発売したカナダグースコピーのダウンジャケットの評価が高かったが、そういう結果になることは極めて当然のことではないかと思う。
 
ユニクロが規模を拡大していくことによって、大手総合スーパーの衣料品やジーンズチェーン店が凋落していった。もちろん百貨店向けアパレルも影響を受けているが、もっとも客数を奪われたのは同価格帯の大手スーパーとジーンズチェーン店ではないかと思う。
とはいえ、年がら年中ユニクロばかり着ていては飽きてしまう。我ながらファーストリテイリングの社員ではないかと思ってしまうので、ユニクロ以外の商品も着てみたくなるときがあり、そんなときにはライトオンやジーンズメイトで買った商品を着るし、今でも定期的に店頭に行ってお買い得品をせっせと買っている。
 
ライトオンやジーンズメイト、それに類したジーンズカジュアルチェーン店は、自社オリジナル商品を扱っているものの、メーカーからの仕入れ商品も多くある。
それぞれに比率はシーズンごとに変わるので、なんともいえないが、少なくとも毎シーズン、構成比率でいえば50%以上はメーカーからの仕入れ商品である。
そのせいもあるのか、各商品の品質にばらつきがある。
また、自社企画商品でさえ、品番ごとに品質のばらつきが大きい。
例えば、このブログで紹介したライトオンの英国羊毛セーターだが、品質の高さ、商品の出来栄えともに素晴らしい。ビームスやユナイテッドアローズの店頭に並んでいても不思議ではないし、価格はそれらの3分の1程度の4990円に抑えている。


 
定価で買っても相当に割安感があるから、値下げされたらすぐに買ってしまった。
その一方で、「なんじゃこれは?」というようなTシャツとかカジュアルシャツもある。990円に値下がりしていてもちょっと買うことをためらってしまう。
それは別にライトオンに限らず、ジーンズメイトもそうだし、他の仕入れ型カジュアルチェーン店も同じである。
マサ佐藤氏が
https://www.style-picks.com/archives/1790
という記事を書いている。
 
要するに価格帯が重要であるということで、ユニクロなら3000円である程度の商品が買えるというイメージが消費者には固定されている。
一方

例えば、シャツで5,000円~25,000円の品揃えしている!という風になります。これで、顧客がその店の価格が連想できるでしょうか?買い物することに安心感があるでしょうか?

ということで、ある程度価格帯を絞り込んで、それを消費者に認知してもらうことの重要性を説いている。
当方は、価格帯に加えて、品質の統一感も必要なのではないかと思う。大手スーパーのPBは価格帯には統一感がある。まさか、5万9000円のジャケットを販売している大手スーパーはあるまい。昔それを企画した人がいたがすぐさま廃版になっていた。当たり前である。
しかし、デザインも含めた品質となると、やっぱりバラつきがある。
ジーンズカジュアルチェーン店はその格差がさらに大きいと感じる。
一方、ユニクロや無印良品には均一感がある。日本では苦戦傾向にあるGAPも均一感だけはある。
こんな感じの商品があるだろうという安心感に対して、どんな商品があるのかわからないという不安感は意外にマイナスに作用しているのではないかと思う。
宝探し感のあるドンキはどうなんだ?という質問が出てきそうだが、ドンキの場合は衣料品のシェアが大きくなってきたとはいえ、食品や日用雑貨の方がシェアが大きく、食品や雑貨のついでに衣料品を買う人はいても、その逆は少ないと考えられる。また売り方はほぼセルフである。
一方、ジーンズカジュアルチェーン店は服しか売ってない上に、百貨店やセレクトショップほどではないにせよ、ある程度の接客はされてしまう。
そうなると、どんな商品があるのかわからないという不安の上に、販売員に声までかけられてしまうのだから、消費者の足が遠のいてしまっても不思議ではない。
 
仕入れ型専門店はその不ぞろい感に面白さがあるとはいえ、価格帯と同様に、デザインを含めた品質ももう少し統一感を持たせた方が消費者の支持を得られるのではないかと思うが、いかがだろうか?
 
久しぶりにNOTEの有料記事を更新しました~
「アパレルの簡単な潰し方」
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n479cc88c6
 
そんなマックハウスの厚底サンダルをどうぞ~

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