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南充浩 オフィシャルブログ

需要が少なそうな物をマスに売ろうとするのはなぜ?

2019年2月14日 トレンド 0

女性服でいうと、15年前や20年前に比べて、スカートよりパンツの方が着用率が高いように感じる。
たしか、小島健輔さんもデータでスカートの購買率が下がっていると説明されなていた。
当方は別にどっちが売れようとかまわないし、スカートが不振になったことに対して何の感慨もない。スカートよりもパンツの方が動きやすさという点においては上だから、女性がパンツを支持する理由は非常に理解できる。また、セクハラ騒動のリスクを考えると個人的には女性はスカートよりもパンツを穿いていてもらった方がオッサンとしても安心感がある。なんだったらスカートが全廃になったとしても、まったく残念とも思えない。
それはさておき。
在庫処分屋の店頭に立っていてもパンツの方が格段に多く入荷するし、パンツ中心の品ぞろえに対して不満をいう女性客は少ない。
しかし、ごくまれにスカートを探している女性客も来る。
正しく計測していないので体感的にいえば、10人中1人か2人くらいだと感じる。10%か20%くらいの比率ということになる。
20%前後の女性客はスカートを探しいるということである。
もしかするとスカートの潜在的需要はもっと多いのかもしれないが、仮に店頭の体感である20%の需要があったとする。
 
もし、マスに売りたければ8割の女性客が求めるパンツを強化すべきだし、メーカーももっとパンツの生産を強化すべきだと思う。
とはいえ、パンツがマス市場である時点でメーカーも小売店も競合が多い。ここで勝ち抜くためには価格訴求力なのか、ブランド力なのか、商品デザインの面白さなのか、抜きんでた何かが必要となる。
一方、20%の需要であるスカートのフォーカスするというやり方もある。
極端な言い方をすれば、スカート専門店とかスカート専門メーカーという位置づけに自らを置くというやり方で、「パンツが欲しい人はビースリーとかライトオンにでも行ってくれ」と公言してしまうやり方である。
とはいえ、そのスカートでも競合は起きるから、抜きんでた何かを模索する必要はある。
そのスカート市場で勝ち抜いてそれなりのシェアを占めたとするとどうだろうか、小売店なら20億円とか30億円くらいの売上高にはなるだろうか。卸売りメーカーなら5億円とか7億円とかいう規模になるだろうか。
だが、いくら頑張ったところで、スカートというマイノリティ商品をメインにしている以上、100億円とか1000億円の売上高に到達することは無理だろう。
一方、パンツ市場は大きいから勝ち抜けば100億円くらいの売上高は獲得できるだろう。
何が言いたいのかというと、扱う商品によって売上高の上限とか売り上げ規模の上限とかは決まってしまうのではないかということである。
その上限をさらに越えたければ、海外市場を目指すほかないと思うが、国ごとにその需要は異なる。
例えば、先日、バッタ屋最大手のショーイチの山本昌一社長をインタビューしたが、東南アジアではミニスカートは日本よりも売れにくいとのことである。

【在庫処分最前線】「実用化できるリサイクル技術は存在しない」- 在庫処分屋がサステナビリティの最適解である理由(ショーイチ)


 
地下鉄がなくてバイクでの移動が多いからミニスカートは敬遠され、同じミニ丈だとショートパンツはよく売れるそうである。
そうなると、現状の東南アジアにいくら熱意をもってスカート類を売り込んだところで生活様式が異なるから徒労に終わる確率が極めて高いということになる。
 
ファッション業界を見ていると、ニッチな商品をマスに売り込もうとして苦戦して、不満を感じている例がかなり多いと感じる。
例えば価格が高すぎるとか、デザインが変てこりんすぎるとか、メンテナンスがめんどくさすぎるとか、そういう類の商品、ブランドがマスに売りたがっていて結果が出ず、主宰者はその現状に対して不満を燻ぶらせているということが数多くある。
この20何年間そういう例を数多く見てきた。
もちろん、一番最初のiPhoneのように消費者が想像もしていなかった商品を「お前らが欲しいのはこれだろ?」と言って売り出して、爆発的な売れ方をする商品もある。しかし、これはほんの一握りであり、それをなしえるのは人格とか人柄は別として、一握りの天才だけがなしえることであり、我々凡人には到底不可能である。
当方なんて凡人以下だが、20何年間この業界で見てきた人たちの多くは天才ではない。天才ではないなら、天才と同じ売り方・商品開発はできない。
その市場規模の小さそうな商品が、なぜマスで売れると思うのだろうか?
売りたいという願望は理解できるが、実際に自分や周囲の人の消費行動を顧みれば、ある程度の結果は予測できるはずである。
言ってみれば、需要が減ったスカートという商品を年間1000億円売りたいというようなものである。
それはほとんど不可能である。しかし、スカートを売りながら5億円の売上高を稼ぎ、少数の仲間で多く分け合えばそれなりに裕福な暮らしはできる。
そちらを志向した方が実現性が高い。
とはいえ、小市場は小市場で競合でひしめき合っている。わけのわからないデザイナーブランドが一体どれほどあることか。小市場もそれなりにレッドオーシャンだし、勝ち抜くための何かは必要であり、それは作り手の想いとか熱意とかそんな感情論のみで打破できるものではない。
 
久しぶりにNOTEの有料記事を更新しました~
「アパレルの簡単な潰し方」
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n479cc88c6
 
 
スカートといえば、スカート付きと呼ばれたリックドムのプラモをどうぞ~

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