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南充浩 オフィシャルブログ

ニッチで在り続けるブランド

2019年2月13日 考察 0

さまざまなテイストの洋服のブランドがある。
すべてのブランドがマスに売れることはありえない。実際に、明らかに少数にしか売れないブランドは多数見受けられる。
多くのブランドの問題は、明らかにマスに売れなさそうなデザイン、テイスト、価格、売り方であるにもかかわらず「マスに売れたい」「もっと売れたい」と願っていることにあると感じている。
漫画でもドラマでもマスにはウケないが、カルト的にウケる作品は多々ある。
何かの拍子にカルト昨品がマスにウケることもあるが、それはラッキーというべきで、ラッキーは日常にそれほど落ちてはいない。確率としてはものすごく低いからその期待を軸としてブランドビジネスを展開すべきではない。
それこそ宝くじに当たる程度の確率でしかないだろう。
明らかにニッチ向けブランドなのに、主宰者はそうは思っておらず、多くの場合は「もっと売れてもおかしくない」と考えていて、その自我と周囲の反応のギャップから、主張はより過激になり、挙句の果てが「今の消費者の感性は退化した」とか「ファストファッションがあるからファッションをダメにしている」とか、そういう的外れな他責に向いたり、変なスピリチュアルな主張になったりしてしまう。
当方は売れているブランドだけが好きなのではなく、ニッチなブランドも好きである。
買うか買わないかは別として、そういうブランドがあるということは否定もしないし、むしろ興味深く見ている。当方が嫌いなのは、ニッチなのにマスに売れることを願い、的外れな他責とスピリチュアルな夢想を繰り返すブランドである。
今回は、当方が好感を持って見ているニッチなブランドをご紹介したい。
このブログでも何度かとりあげている、オリジナルの国産Tシャツブランド「ナッツ」をインターネット販売する京都イージーである。
https://www.easy.ne.jp/
だいたい価格は2900~5900円で、当方も何度か買った。運営している岸本さんとも何度もお会いさせてもらっているが、年間販売枚数はだいたい8000枚くらいなのだという。
無地で国産にこだわっていながら2900~3900円という中価格帯のTシャツが主力商材だが、自分一人ならこの販売枚数で十分に生活ができるそうである。
実際に企画・販売・サイト運営は一人でされている。製造は協力工場である。
サイトの見映えは無骨と言おうか、素朴と言おうか、そんな感じで、今流行りのデザイン性はない。
価格も決して2900円ラインだと高すぎるとは思わないが、安いとは言えない。
だからこのブランドが年間5万枚とか10万枚を販売するようになるとは正直まったく思えない。
岸本さんが「ワシ、年間10億円の売上高を目指してますねん」とおっしゃるなら「そんなアホな」と返すところだが、岸本さんは「今の規模から大きく拡大させようとは思っていない」と言い切るから、その姿勢に当方は好感を持っている。
先日、新商品として超重量の11オンスTシャツを発売された。

「コンセプトは引っ張られても破れない昔の綿100%のラグビーシャツ」

とのことで、実はつい先日、そのサンプル品が突然送られてきた。
手の持ってみるとズシリと重い。一応、試着してみると、重さはさほど感じないが分厚い。柔道着とか剣道着みたいな印象である。

11オンスTシャツ


 
 

11オンスTシャツの編み目


 
 
 
ご本人も作ってはみたが、そんなに大量に売れるとは思っていないとのことだが、近年の薄いTシャツに飽き足らない中高年男性で購入する人は一定数存在するのではないかと思う。
まさに、オッサンのオッサンによるオッサンのためのTシャツブランドと言え、そしてマスに向かわないところが10年以上続いている要因ではないかと思う。
もう一つご紹介すると、ウラノタカヒロさんが運営するガレージエデンという自社店舗である。自社ブランド「オールドサーカス」を自社店舗で販売されている。(他社ブランドもいくつか仕入れている)
https://www.garageeden.net/
このブログでも以前にも書いたことがあるかもしれない。
恵比寿近郊にある店舗を一度訪問したことがあるが、マンションの地下で、ポツンと小さな看板が一つ出ているだけで、最初は見過ごして通り過ぎて住宅街をさまよってしまった。
先週、東京でお会いしたので近況を尋ねてみると、その小さな看板も撤去してしまったとのことで、ますますわかりにくい店になった。(笑)
一見さんは間違いなくたどり着けないだろう。
本当に限られた固定客へ販売しておられて「生活は決して楽ではないですが、むやみに売上高を拡大しようとは思わない」と主宰のウラノさんはおっしゃっている。
正直、このスタンスで、ウラノさんが「ぼく、めっちゃ売りたいんです。売上高を拡大して10億円規模のブランドを目指しているんです」と仰るなら「寝言は寝て言いましょう」と返すところだが、そうではないので、フェイスブックでお友達になってもらってからは好感を持って発信を見ている。
初めて訪問する前、痩身長髪のこの風貌だから、ジャックナイフかバタフライナイフみたいな人かもしれないと、恐々だったが、実際にお会いするとそうではなかったので、ほっとしたことを覚えている。

 
 
このほかにもニッチで小規模だから、むやみな量の拡大は求めないという筋の通ったスタンスのブランドはいくつもある。
そういうブランドは注目を浴びて欲しいと思う反面、もし、何かの拍子に間違って売れてしまっても、スタンスを崩すことなく今の姿勢を貫いてほしいと思う次第である。また機会があればほかのブランドも紹介したい。
 
久しぶりにNOTEの有料記事を更新しました~
「アパレルの簡単な潰し方」
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n479cc88c6
 
量の拡大を目指していて、そういうスタンスに好感を持っているBMCの商品をどうぞ~

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