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南充浩 オフィシャルブログ

ドラッグストア街は今後どうなる?

2019年2月8日 売り場探訪 0

中国人観光客の爆買いが落ち着いてきたと報道され始めた。
中国人観光客の旺盛な爆買いに支えられて、ドラッグストア各社は近年大きく売上高を伸ばしてきた。心斎橋筋商店街は時代によって並ぶ店のラインナップが変わるのだが、今ではすっかりドラッグストア商店街と化してしまった。
97年から2000年頃までは、不景気風が強く、パチンコ屋かゲームセンターの出店ばかりだったが、2003年ごろからファッションショップ街として復活してきた。しかし、その後、2015年頃からはドラッグストア街へと変貌し始めた。
ZARAの旗艦店と位置付けられていたはずのユニクロの北隣の店舗も撤退し、ココカラファインに代わってしまったし、ジャーナルスタンダードも撤退してピュマージというドラッグストアに代わってしまった。
アパレル業界では勝ち組とされているZARAよりもドラッグストアの方が売上高が高く、地権者にとっては高収入だということだろう。
それが、今度は御堂筋沿いにもドラッグストアが進出してきた。
少し前の話になるが、といっても昨年の秋ごろである。
Mプルミエを展開しているmidのショップが閉店し、ドラッグストアに代わってしまった。御堂筋沿いといってもかなり南の方になるが、ブランド通りと化した御堂筋沿いにまでドラッグストアが進出したというのは、世相を感じる。
 

跡地にできたドラッグストア


逆にmidショップは外から眺めた感想に過ぎないが、近年はあまり売れている様子がなかった。家賃が高そうな一等地の大型路面店は閉店しても当然だといえる。
midの路面店は年に何度か、ファミリーセールを開催していた。
ファミリーセールは建前上は社員の家族を招待して割安で自社の商品を買ってもらうというものだが、実質的に各社は、家族だけではなく会員となってくれたお得意様全員を招待して、販売するというシークレットセールとして活用している。
しかし、このショップでは、ファミリーセール開催時に、道行く人に向かって入場券を無料配布していたことがしばしばあった。
在庫を一枚でも減らしたい気持ちはわかるが、midのブランドに興味があるかどうかもわからない道行く人に無差別に入場券を撒くというのはあまり効果的ではないといえる。
昨年の今頃、アメリカ村でウィゴーの在庫処分セールに遭遇し、1枚390円で売られていた商品を2枚買ったが、あのときも販売員たちが客引きをやっていた。
これも効果のほどはどうかと思うが、それでも値段が安いからウィゴーに興味のない人でも買ってしまうということはあっただろう。何せ390円なのだから。
一方、midの商品は定価が高い。まさか390円とか590円で投げ売っているわけではないだろう。
半額で売ったとしたって1万円は越える。
「なんだかわからないけど、入店してみたら安かったから買っちゃった」
というノリでは買わないだろう。
あの無料配布を見ていたら、よほど在庫が厳しいのか売上高が低く推移していたのかと感じてしまう。
今回、ドラッグストアに取って代わられたことはまあ、当然といえば当然で、御堂筋沿いのショップの中で最初に崩れたのがmidのショップになったのも不思議には感じない。
15年くらい前は盛り上がったMプルミエだが、ブームが去ってからは浮上してこない。上質でそれなりに高いレディーススーツというジャンルは必要だとは思うが、マスには広がりにくい。
さらに2007年からの団塊世代の定年退職に備えて、青山、はるやま、コナカ、AOKIなどのスーツ大手はレディーススーツを強化拡充した。
そうなると、わざわざ高いスーツを買いたい女性がマス化することは考えられなくなる。
おまけに女性は男性よりもスーツ類に対するこだわりもないし、レディーススーツ自体がメンズスーツよりも歴史が浅いため、そういうこだわり文化?も醸成されていない。
そんな状況の中でわざわざ高いスーツを買いたい女性が増えなくても当然である。
そういうニッチな商材があってもよいが、今後もマスには拡大しないだろう。midがそのつもりで展開するならそれはそれでありな事業方針である。
まあ、現在は15年前のブーム時とは違う静かな佇まいの会社なので、外野からは見守りたいと思う。
 
 
つい何か月か前まで恐ろしい勢いだったドラッグストアだが、中国政府の規制による今回の爆買い沈静化は、2019年からどう影響するのだろうか。
報道によると、すでに様々なジャンルの売り場で売上高減少が見られるとのことであり、今後、それがさらに顕在化すれば、今まで外国人消費頼みだった売り場は相当なダメージを負う。
2015年末に一度爆買いが沈静化したが2016年半ばからまた復活して今にいたる。
今回の沈静化も当時のような一時的なもので半年後くらいには復活するのだろうか?それともこのままピークアウトするのだろうか?
そうなると、また心斎橋筋商店街の風景は変わることになる。店のラインナップも大きく変わるだろう。
さて、今度はどんな店が並ぶことになるのだろうか。
 

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