MENU

南充浩 オフィシャルブログ

「愛好家」じゃない消費者の方が圧倒的に多い

2019年1月24日 考察 0

アパレル関係の人はなんだかんだで洋服が好きだから、やっぱり「そういう人」に向けた施策を考える。
まあ、別にこれはアパレル業界に限らず、どの業界でも同じではないかと思う。就職した時点ではその業界に興味はなくても何年間も働くうちに知識もつくし興味も出てくる。
純然たる消費者目線の「好き」かどうかは別として、それなりに好きにはなっていると思う。
大学を卒業するまで洋服になんて興味がなかった当方だが、まかり間違って洋服関係の会社に就職してしまって今に至る。世の中のファッション好きと比べると全然好きではないと思うが、それでも洋服自体は嫌いではなくなっているし、一般の人よりは好きなのだろうと思う。
洋服好きな人の数は、洋服に興味のない人の数に比べると圧倒的に少ないと感じる。
ネット通販でもモールかどうかは別として、ファッション関連品しかないZOZOTOWNよりもファッション関連以外の商品が豊富にある楽天やAmazonの方が圧倒的に利用者が多いのはそういうことだろうと思う。
洋服に興味のない人の方が圧倒的に多いし、洋服に興味のない人にとってはZOZOTOWNで買い物をすることはおろか、訪問する理由すらない。
反対にAmazonや楽天なら買い物をする理由がある。書籍、ガンプラ、家電、日用品、事務用品、食品となんでもそろうからだ。
ファッション好きと比べると圧倒的に洋服に興味のない当方はAmazonなら年間に何度か使う。なんなら書籍やガンプラ、日用品のついでに服やスニーカーをポチることもある。
 
 
で、正月にフェイスブック友達がアップしていたちょっと古い記事である。

興味のある人は本文を読んでいただきたい。
ちょっと疑問な点はあるが「マス」に売りたいならこういう視点は必要なのではないかと思う。
例として「自動運転の自動車」「自動掃除機ルンバ」「電気無水鍋ヘルシオ」が挙げられており、この3つは「それをするのが嫌いな人」「興味のない人」に向けた商品だと分析している。
これはある意味で正しいのではないかと思う。
当方は掃除も自動車の運転もしたくない。
書かれたのは2015年だからちょっと情勢は今と異なる部分もある。
例えば、自動車の自動運転だが、初見の道筋をインプットしてそれを自動運転させることはひどく手間がかかる。
 
 
昨年末と新年に「下町ロケット」のドラマがあって、無人走行のトラクターとコンバインが主力商品だった。
実はこの商品はすでに現実世界で実用化されている。
 

無人トラクター、井関農機も 大手3社出そろう 普及へ低価格化カギ
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO38846350S8A211C1TJ3000/
井関農機は12日、ロボットトラクターを同社として初めて発売したと発表した。人が現場で監視していれば無人で作業できる。クボタやヤンマーは既に無人トラクターを発売しており大手3社が出そろった。

 
とのことであり、下町ロケットの商品はフィクションでもなんでもなく、すでに現実化している。
ではどうして、普通自動車よりも先にトラクターが実用化したのかというと、下町ロケットのドラマを見ていた人にはわかると思うが、走行する道筋をプログラム入力しやすいからだ。毎日決まった道筋を通って、毎日決まった箇所を耕す。これをインプットさせれば、比較的簡単に実用化できる。
一方、その都度どこへ行くのか決まっていない普通自動車を自動走行させるのは、現時点では技術的に無理なのだと考えられる。
それよりは、毎日決まった時間に決まった道筋を走行する路線バスの方が実用化しやすいだろう。それはすでにトラクターで実証されているといえる。
 
普通自動車で実用化されればそれこそ夢のような話だが、それは未来のことになると考えられる。
それはさておき。
男性諸氏は「自動車の運転が大好き」という人が多いが、当方は自動車の運転は嫌いである。しかし、毎回タクシーも呼べないからバスや電車を使って移動している。そしてそういう男性も少なくはない数がいるのではないかと思う。自動車の台数を圧倒的に売りたければ、自動走行の実用化はかなり先の未来だと考えるべきだが、そういう開発は必要だろう。完成すれば相当数存在する運転嫌いのペーパードライバーにも自動車が売れることになる。
今の自動車なら当方は絶対に買わないし、運転しない。ペーパードライバーだから運転できる技量もない。
 
衣料品についてもこの視点は必要なのではないかと思う。
特に洋服マニアに売りたい小規模ブランドなら必要ないと思うが、「マス」に売りたいアパレルの商品開発や売り方には「嫌いな人・興味のない人の方が圧倒的に多い」という視点は必要ではないかと思う。
とりわけ、そこそこの高価格でありながら、1000億円とか2000億円を販売している大手アパレルにはこの視点が必要で、それがなければ、今後は売上高を伸ばすどころか維持することもできなくなると当方は見ている。
めちゃくちゃマニアックで小規模なブランドが現状維持をするなら、そんな視点は必要なく、今まで通りマニアに向けた変態的提案を続ければ良いと思う。
問題なのは、そこそこの高価格なのに1000~2000億円売ってきたマス向けアパレルではないかと思う。
2000年頃までは、マニア向けをちょっと薄めたような企画や売り方でもマス層が、ある程度の高い値段で買ってくれた。97年のバーバリーブルーレーベルのアムラーブームなんてその典型例ではないかと思う。
しかし、2005年以降は低価格ブランドの商品の見た目が「マシ」になることによってその優位性が薄れた。2019年の今となっては、なぜかつてのブランドの商品価格が高いのか、マス層にはさっぱりわからなくなっている。
さしてファッションに興味のないマス層からすれば、そこそこ安くてそこそこオシャレに見える服があればそれに越したことはない。じゃあ、自分たちの望む価格でマス層に売りたいとなると、興味のない人をどう取り込むかにかかっているのではないかと思う。
愛好家に向けた打ち出しではなく、素人に向けた打ち出し。
それを考えずに90年代の意識のままで企業活動をしていても、ますますマス層の消費者は離れることになる。
 

久しぶりにNOTEの有料記事を更新しました~
「アパレルの簡単な潰し方」
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n479cc88c67bf
【告知】2月7日に東京で有料のトークイベントを開催します
https://eventon.jp/15877/

 
下町ロケットをどうぞ~

この記事をSNSでシェア

Message

CAPTCHA


南充浩 オフィシャルブログ

南充浩 オフィシャルブログ