繊維の製造加工場に問い合わせがないのはウェブサイトがないから
2019年1月23日 産地 0
先日、100歳だった母方の祖母が亡くなった。これで4人いた祖父母は全員亡くなったことになる。
母方の祖父は肺がんで72歳で亡くなったが、そのほかの3人はいずれも長命で、父方の祖父母は二人とも94歳まで生きたし、一人残っていた母方の祖母は100歳まで生きた。
90何歳とか100歳とかで亡くなると、年齢的に亡くなってもまったく不思議ではないので、さほど悲しくはない。まさに大往生としか感じられない。
で、そんな100歳で亡くなった祖母の葬儀に参加したのだが、親戚の多い人で見たこともない人がたくさんいて、70代という人も多かった。
そんな70代の人たちの雑談に耳を傾けていると
「お前、スマホ何を使ってる?」
「ワシはiPhoneXなんちゃらや」
「ワシもアレに変えようと思ってるんやけど、通話とLineとインターネットくらいしか使わんからなあ」
なんて内容で、SNSはやっていないにせよ、なかなか進んでいる。
ガラケーのメールですら打てない75歳になるうちの親父とは大違いである。
当方の見ず知らずの親戚のように、今は70代でもインターネットを使っている時代である。
先日、このブログでもときどき紹介しているインターネットSPAのTシャツブランド「ナッツ」を展開している京都イージーの岸本栄司さんが非公開グループのフェイスブックページでこんな書き込みをされた。
■工場さんや関係付属品会社さんから「どうやればネットで売れる?」って聞かれることがたまにあります。
1)webサイトがない > それでどうしろと?
2)サイトがあっても問合せ可能な問合せページがない? > お客様視点から見れば、問合せのしようがない。
3)シゴトの名刺は最低限、仕事がわかるようにしてくれと強く思います。
という内容だった。
このブログを始めて8年が経過して、以前から何度も書いていたことが製造加工業者ではいまだに改善されていないのだと改めて感じた。
繊維製品の製造加工業者の中には「仕事の問い合わせがほとんどなくて苦しんでいる」という人が少なからずいたし、今もいるようだ。
なぜ問い合わせがないか?答えは簡単でウェブサイトがないからだ。
現在の人は、何かを調べたいことがあればまず初めにウェブ検索をする。施設の住所が知りたければウェブで検索する。電車の乗り換えを調べたければウェブで検索するし、タクシーを呼びたければ電話番号がわからなくてもウェブで検索すればいい。
だったら、話は簡単で、自社のウェブサイトを作れば問い合わせは確実に増える。
縫製工場、染色工場を探している人はまずウェブで検索する。このときに検索で表示されなければ探している人の選択肢からその工場は外されてしまう。織布工場、ニット工場とて同じである。
ウェブサイトというと高度でカッコイイサイトを想像して尻込みをしてしまうのかもしれないが、そんなものをド素人が構築できるはずもないから、業者に頼めいい。業者に頼むのが嫌なら、会社の概要と業務内容と連絡先だけを表示した紙芝居みたいなペラっとしたサイトだけを用意すればいい。
その紙芝居みたいなページを用意するだけで格段に仕事の問い合わせは増える。
稀に「忙しくて問い合わせが増えると困る」という人がおられるが、そういう人は十分仕事があるのだからウェブサイトを作る必要はない。当方が説いているのは「仕事がなくて困っている製造加工業者」に対してである。
しかし、頑なにウェブサイトを作ろうとしない製造加工業者も珍しくない。仕事が欲しいのか欲しくないのか一体どっちなんだろうか?(笑)
先日、某ウェブサイト業者が、クライアントに呼ばれて出張した。クライアントが使用している縫製工場のウェブ構築について話し合うためである。
この縫製工場は結構大手で仕事には困っていない様子だが、情報発信する必要性を感じている。感じてはいるがウェブについては3年くらい前から遅々として進んでいない。遅々として進んでいない原因はどうやら父にあるらしい(笑)。
父である社長さんは恐らく70代前後ではないかと思うが、よくある製造加工業者で「ウェブみたいな形のないものにカネはもったいなくて払えない」というタイプらしい。その息子さんたちはウェブを導入したがっていて、その認識のギャップによって遅々として進まないというわけだ。
自分達の経験したことのないことにカネを払うことを極度に嫌う繊維の製造加工業者は本当に多い。この社長さんのような人はまったく珍しくない。この社長さんの普段の生活がどういうものかは存じ上げないが、当方が知っている製造加工業者はウェブ構築費は異様にケチるが、毎晩の酒にはふんだんにカネを使うという人が少なからずいた。その酒を減らせばウェブ構築費は簡単に捻出できるのではないかと、いつも思っていた。
また、ウェブはプライベート、仕事では使わない(使ってはいけない?)なんてふうに思い込んでいるような人もいた。だから、ご自分は出張するときにウェブ検索をガンガン使っているくせに、仕事のためのウェブサイト構築に抵抗を示すのではないかと思う。要するに他人も仕事ではウェブ検索を使わないから、自社のサイトは不要だと感じているのではないかと感じた。当方にはまったく理解できない論理だが。
しかし、もうウェブは仕事でもなくてはならない存在だし、当方の見知らぬ親戚のように70代でもウェブ検索を使う時代である。連絡先を明示した自社ウェブサイトは今の会社を存続させたいなら必要不可欠である。
そして毎晩の酒や機械設備ばかりにカネを使っていないで、そういう「見えない物」にカネを使うことを覚えなくてはならない。ウェブサイトしかり広報活動しかりである。
何度もいうように「知られていないのは存在しないのも同然」だから、ウェブ検索で引っかからなかった時点で、その工場は世の中には存在しないのも同然になっているということである。
仕事がありすぎて困っているなら今のままでも構わないだろうが、仕事がなくて困っているならまずは「存在する」ようにならなければならない。
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