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南充浩 オフィシャルブログ

品番数を増やし続けたのは店頭占有率を高めるため?

2012年11月29日 未分類 0

 先日、ジーンズナショナルブランド(NB)はシルエット違いの品番数が多いのではないかと書いた。

すると、某NBで営業職を務めた経験のある知人が

「NBのSKUが増えたのは、他社との売り場シェア争奪戦=壁面、中島、ハンギングのフェースをいかに他社より多く取るか、そんな側面での品番、色番の展開を乱発した。特に90年代の10年間は多かった。
結局、常に上位20品番で売上の80%を占めると言うパレートの法則通りの結果で、品番を絞り込んでは処分し、また増えの繰り返しで粗利も低かった。
消費ニーズに応えたというよりは、シェアを取る為に店頭での展開が増えたのではないか」

との意見をくれた。

これは今でもそうだが、例えばリーバイスの501、エドウインの503のような「看板商品」以外の品番は、シーズンごとに大きく入れ替わる。
同じ番号でもまったくシルエットが異なったり、リーバイス517(ブーツカット)がなぜか「527」に番号変更したりと、そんなことは日常茶飯事である。

そして、販売員時代の経験と照らし合わせるなら、春夏と秋冬で店頭の陳列商品も大きく入れ替わる。
春夏に主力だったライトオンスジーンズや、淡色ジーンズを8月末ごろにメーカーに返品して、代わりにコーデュロイとか濃色加工ジーンズが送られてくる。これをシーズンごとに店頭とメーカー間で繰り返すわけである。

ジーンズという商品は、買い取りではなく、百貨店と同じ「委託販売」という形態をとる場合が多かった。
ジーンズNBの多くは自家縫製工場を持っているので、生産は毎日行われてしまう。季節返品された商品は倉庫に積みあがることになるため、アウトレットモールができるまでは、セール対応品として値引きされて再び専門店に送られることも多かった。

ご存知の通り、ジーンズ専門店の壁面はほぼジーンズの棚である。
ユニクロの店頭もこの形態を引き継いでおり、よく見てみるとユニクロのパンツ売り場は結構広い。
一方、GAPは壁面一面がジーンズということはない。かなりボトムス比率は低い。

時が流れ、専門店の壁面争奪戦はほぼ終結しつつある。
最盛期には7、8社くらいあったNBがエドウイン、リーバイス、リーにほぼ集約されてしまった。
そうなると、もともとあった広大な壁面を3ブランドの商品で埋めなくてはならなくなる。
これは店側にとってもNB側にとってもかなりの負担である。
先日書いたことと逆になるが、品番数を絞り込んでしまうと壁面スペースが埋まらなくなる可能性もある

同一品番を横に広げて面積を埋めるという手もあるが、それが不格好だと思うなら、品番数を増やすしかない。
9種類もある微妙なシルエット変化は、広大な壁面を埋めるためにやむを得なかった側面も強いのだろう。

残念なことに現在、NBとジーンズ専門店は低迷している。
理由は日本人がジーンズを購入しなくなったのではなく、選択肢が広がったためだ。
ユニクロ、GAP、ZARA,H&M、ハニーズなどの国内外のSPAブランド、高級インポートジーンズブランド、ライトオンのバックナンバー、マックハウスのラッシュアワーなどの専門店プライベートブランド、エヴィスやシュガーケーンなどのこだわりジーンズブランドだけではない。
一般の百貨店ブランドにもジーンズはある。バーバリーやタケオキクチなどにも並んでいる。

これらすべてがNBとジーンズ専門店の競合となっている。

そうなると、壁面をびっしりとジーンズで埋め尽くした従来型の店構えが良いのかどうかである。

NBとジーンズ専門店は商品の選択肢を増やし過ぎて、逆に消費者に選ばれにくくなっているのかもしれない。
「種類が多すぎて良く分からないから、ジーンズ専門店に行かずにユニクロに行く」。
そんな選択を行っている消費者も意外に多いのではないか。

先ほども書いたが、ユニクロの店内をよく見てもらいたいが、壁面はビッシリとジーンズとカジュアルパンツで埋め尽くされている。ユニクロの店作りは旧来のジーンズ専門店を引き継いでいる要素が強い。
什器とか内装とか照明が異なるため、そう見えないだけである。
他のSPAブランドで壁面をビッシリとジーンズで埋め尽くしているブランドはない。

となると、やっぱりNBとジーンズ専門店にとって、ユニクロの店構えは参考にすべき要素があるのではないか。
そして、選択肢を狭めるという努力も必要ではないかと思う次第だ。

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