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南充浩 オフィシャルブログ

ブランドロゴ入りTシャツブームの理由を正月にオッサン二人で考えてみた

2019年1月7日 トレンド 0

あけましておめでとうございます。
小売店やサービス業を除くと、今日から仕事始めという人も多いのではないだろうか。
正月休み中に某ブランドの前部長という方とあーでもないこーでもないと雑談をした。この方は現時点ではさほど有名ではないが、分析に優れておられるので、いずれ名を挙げるのではないかと思っている。
今日から何回かにわけてこの方との話を掲載しようと思うが、2回で終わるのか3回で終わるのかは現時点では不明で書いてみないとわからない。
そんなわけで第1回目である。
12月に新しいブランドに移籍されたとのことだが、移籍前に手掛けていたヤングレディース向けブランドをV字回復させた要因を伺った。
その理由はある意味で驚くほど単純だった。
1、春夏はブランドロゴ入りTシャツを重点的に販売した
2、秋冬はブランドロゴ入りトレーナーとスエットパーカを重点的に販売した
この2点だった。
どうしてそういう施策になったのかというと、1つはもう何年間か続いている「ロゴ入りTシャツブーム」に乗ったのであり、もう1つはこのブランドがアウターや防寒アウターなどの商品を作ることが苦手だったから、それを逆手にとって「作りやすい商品だけを重点的に作った」ということである。
 
 
そして、雑談の中で「ロゴ入りTシャツブームと言われていますが、このブーム結構長いですよね。もう3~4年は続いてますよね」という感想が出た。
たしかにその通りで、「ブーム」と言われながら、長くて今では定着化しているように感じられる。
以前だと「Lee」「チャンピオン」が双璧だったが、商社関係者から言わせると、去年あたりは「チャンピオン」の勢いに陰りが出て「FILA」が代わって伸びているという。
最近になると「ロゴ入り」なら何でもそれなりに動くという状況もあるようで、去年8月にオープンしたビッグジョン大阪店に伺ったときも、スタッフが「我々としては意外だったのですが、ビッグジョンロゴ入りTシャツが予想以上に動いています」と話していた。

 
 
 
無地Tシャツ、無地スエットよりは明らかに「ロゴ入り」が動くようで、ひどく大雑把な言い方をすると「ロゴ入りならどんなブランドでもある程度売れる」ともいえる。
このロゴ入りTシャツブームの理由については
1、ノームコアからの反動
2、シュプリームの人気が飛び火した
3、インスタ映えするから
などと指摘されているが、それぞれ正解だろうが、どうにもそれだけが理由ではない気がする。
 
ノームコアからの反動と言っても、ノームコアがそれほど大々的にマスにまで広がったのかどうかはちょっとよくくわからない。当方のようなおっさんからすると、あの当時もそれほど「今までと変わった服装が増えた」とは思えなかった。無地のTシャツやベーシックなジーンズはいつでも販売されてきたし、着用者もいたから、取り立てて増えたとは見えなかったと言った方が正解だろうか。
逆にノームコアブームだからロゴ入りTシャツが市場から一掃されたかというとそうでもなく、イオンやユニーのカジュアル平場には、変わらずに美濃屋がライセンス生産している「コンバース」のプリントTシャツが販売されていた。この美濃屋の「コンバース」Tシャツは息の長い商品でかれこれ優に25年は販売されている。
 
で、2のシュプリーム人気というのもどうだろうか。すべてこれで説明できるとは思えない。
なぜなら、シュプリームが好きな人が、「高いし、手に入りにくいから他のブランドロゴでもいいや」と考えるようになるとは思えないからだ。
「本当はシュプリームが欲しいけど、Leeやチャンピオン、FILAで我慢しておこう」と考える人は相当少ないのではないかと思う。
ましてや「ビッグジョン」だとか「エドウイン」のロゴTシャツで我慢するとは到底思えない。
ロゴの雰囲気が似ていればまだしも、FILAもビッグジョンもシュプリームのロゴとはまるで別物である。
 
インスタ映えするからというのもある程度の理由ではあるが、それだけとも当方は思えない。チャンピオンのロゴがすごくインスタ映えするようなデザインとはとてもではないが感じられない。
 
50歳手前のオッサンからするとLeeのロゴ入りTシャツは中学生のころに三信衣料あたりで2900円くらいで買えたマス商品だし、チャンピオンのロゴ入りTシャツは運動部の練習着にしか見えない。
世界的に定評のあるナイキやアディダスというスポーツブランドではなく、なぜ二線級の雰囲気が漂うチャンピオンやFILAなのかというところも疑問でしかないし、なぜ今更ビッグジョンなのかとも思う。
 
となると、3つの理由はそれぞれそれなりに正解ではあるが、もっと違う決定的な理由があるのではないかと思えて来る。
その方と出した結論は、
「ロゴ入りはブランド物だとはっきりと誰にでもわかるから」
というもので、そこに行き着く原因は
「無地物を目利きするのは難しいから」
ではないだろうかと思った。
無地のTシャツでも価格帯はさまざまある。
定価1000~1500円のユニクロのTシャツから定価10000円のポールスミスのTシャツまである。
これを実際に何ブランドか並べて比べてみると、それなりに違いがわかる。
妙に糸が細くて表面がてかてかしている物もあれば、太番手の糸でがっしり編まれているのもある。
製造や生地について少しばかり知識があれば、細番手の糸で編まれたテカテカの生地を使ったポールスミスの無地Tシャツが高いことは何となく理解できるが、世の中はそういう人の方が少ない。
となると、高い無地Tシャツは本当にその価値があるのかどうか多くの人にはわからない。しかし、ロゴ入りTシャツだとはっきりとブランド物だとわかるから、ユニクロよりも高い価格の商品に対してもすんなりと買うことができる。
現に、この方が昨年12月まで手掛けられたヤングレディースブランドでは7000円前後もするロゴ入りTシャツが好調に売れたという。
多分、そういう心理背景があるから、特定の「シュプリーム」だけでなく、「ロゴ入りなら何でも売れる」という現象につながっているのではないかと思う。
 
 
そんなわけでフィラのロゴ入りパーカをどうぞ~

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