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南充浩 オフィシャルブログ

個人プレイ集団に訪れた成長の限界点

2018年11月16日 決算 0

少し前のことになるが、「ステュディオス」「ユナイテッドトウキョウ」を展開するトウキョウベースだが、中間決算が大幅減益に終わった。
売上高は3・3%増だったものの、営業利益は29・8%減となっている。
売上高が増えたのは新規出店が増えたからで、儲けを度外視すれば新規出店を増やせば売上高は増加する。極端な言い方をすれば大借金してでも出店すれば売上高だけは増える。
だから3・3%の増収は当たり前であり、新規出店しながら3・3%増しかなかったということは既存店舗の売上高がどれほど落ち込んでいるかということになる。既存店舗の売上高は11・4%減と大幅減となっているから、微増収しかしなくても当然である。
これを受けて、通期見通しを、売上高153億6,100万円から13.9%減の132億3,300万円とし、営業利益は33.5%減の13億5,000万円、経常利益は33.4%減の13億5,300万円、純利益は35.3%減の8億9,700万円と下方修正した。
個人的にはこれまでトウキョウベースは持ち上げられすぎのように感じていた。そのビジネスモデルのどこにも新しさはなかったからだ。
原点回帰といえば、それはそうだろうが、原点回帰以外の要素は外部から見ている限りにおいてはまったくなかった。
いわゆる、「高額・高品質商品」「販売員の個人プレイによる強力な売り」の2つしか見えず、その2つは別にトウキョウベースが初めてやったことでもなんでもなく、はるか以前から我が国には存在するスタイルである。80年代のアパレルブランドもそうだし彼らが抱えていたハウスマヌカンもそうだった。90年代のカリスマ店員だってそうで、それらの焼き直しにしか見えなかった。
もちろん、急成長で注目されるのはわかるが、個人プレイによる成長なんて100億円が限界で、今の規模が限界点だろうと個人的には見ている。
TOKYOBASE失速の構図
この記事に書かれていることは、ZOZOの手数料が高めに算出されているのではないかという点以外は納得のできることばかりだ。
恐らくZOZOには29~27%も手数料を払っていない。そんなに払っていれば、「原価率(製造なのか仕入れなのかわからない)50%とか60%」では赤字になってしまうからだ。
もっと低い手数料しか払っていないと推測される。
それは置いておいて。

TOKYOBASEの商品と顧客は80年代のDCブランドに近く、客層の広がりには自ずから限界がある。限りのある顧客を相手に売上げを伸ばそうとすれば、一歩間違うと呉服の押し込み販売に近づきかねない。実際、売上げが伸び悩む中、顧客に対するメールなどのアプローチは頻度を増しており、敬遠する声も聞く。店長や販売員の属人的努力に依存する売上拡大は限界を迎えているのではないか。

とあるがまさしくその通りで、80年代のハウスマヌカンや90年代のカリスマ店員のやり方と何ら違いはない。違いがあるとすると商品のテイストで、80年代はモード系、90年代はマルキュー系という点だけである。
この個人プレイに頼ったやり方で、売上高500億円とか1000億円とかを実現するのは至難の業である。個人的には不可能だと見ている。
これが可能なら、町場のブティックはとっくに大企業になっているが、現実は逆だ。
また

TOKYOBASEのVMDはセレクトもオリジナルもブランド別のラック展開でリミックスを欠き、柄物などの入れ込みも弱く平板な印象を否めない。販売力に頼ってリミックス提案や売り切り編集のスキルを欠き、売れなくなると接客がヘビーになりかねない。

とも指摘されているが、編集のスキルが欠けているかどうかは横に置いておいて、あまりにも個人の店員の販売力に頼りすぎている点は同意である上に、基本的な製造のことを知らないから「岡山の国産デニムを使用したんですよ」なんてありきたりで表層的なセールストークしかできなくなっている。しかし、「単なる国産デニム生地」なら、ユニクロやエドウインだってビッグジョンだって使っており珍しくもなんともない。
 
元来、大型チェーン店は、店頭の販売員のセールス力も重要だが、本部の施策も重要である。その2つが噛み合わないと大型チェーン店には維持できないし、そこまで成長できない。当方が見る限りではトウキョウベースは「本部の施策」という片側の車輪が欠けたままで走り続けているように見える。
本部の施策というのは派手なパフォーマンスをぶち上げることでもないし、ビッグマウスで盛り上げることでもない。
精緻な販売計画と商品計画、マーチャンダイジングが必要なのである。
本部の仕事とは、「販売員が誰でも一定水準の売上高が稼げる」ように平準化することである。誰でも最低限度売れるようなマニュアル作り、品ぞろえ、店作り、それをサポートする販促計画、それらを整えるのが本社の仕事である。
そうでなければ、カリスマ店員が退職したり異動するたびに店の売上高は安定を欠く。1000億円企業の店がそんな属人的能力に頼っていてどうするのだろうか。しかも人間はいつか絶対に死ぬ。どんなにスーパーな販売員でも老齢とともに絶対に死ぬ。その人が死んでしまったら売れなくなるような店や企業が永続できるはずもない。
ECの戦略が不味いことは以前にもこのブログで書いたから今回は繰り返さない。
力量のある販売員を育てることは必要だが、それと同じくらい本部が「誰でも一定水準売れる仕組み」を作ることも重要で、この2つがそろって初めて大型チェーン店になり得る。
スーパー販売員の属人的力量に頼るチェーン店は100億円台が限界点だろう。それが決して悪いこととは思わない。属人的集団として100億円台を謳歌すれば良い。今のトウキョウベースの問題点は、自身の現状と性向が、その目標と大きく乖離している点である。
これもまた「己を知ることは難しい」という一つの例ではないか。
二兎を追う者は一兎をも得ず、というからトウキョウベースは
1、属人的集団であることを謳歌する
2、誰でも一定水準は売れる仕組みを本部が作る
この2つのうち、どちらを取るのかを迫られているといえる。
 

【告知】
11月24日に大阪でウェブコンテンツに関する有料トークショーを深地雅也氏と開催します。
https://eventon.jp/15080/

 
 

NOTEの有料記事もよろしくです
【有料記事】地方百貨店を再生したいなら「ファッション」を捨てよ
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n56ba091fab93
2016年に行ってお蔵入りした三越伊勢丹HDの大西洋・前社長のインタビューも一部に流用しています

 
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