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南充浩 オフィシャルブログ

M&Aの凍結と不採算部門の廃止を打ち出したライザップ

2018年11月15日 企業研究 0

さて、前回のブログでライザップグループについて書いたが、中間決算が発表され、赤字転落してしまった。
その結果、前回のブログの予想とは反して、M&Aの凍結と不採算部門の廃止が明言された。不採算の傘下企業にとっては戦々恐々だろうが、会社経営としては健全な方針を打ち出したといえる。
今朝の株価はグループ各社が8~20%近く株価を下げているが、素直に「見通しが甘かった」と謝罪した瀬戸社長の姿勢は、2か月間ずっと株価を下げ続けているにもかかわらず非を認めない某洋服専門の大手インターネット通販モールの社長よりは随分と好感が持てた。
ライザップグループの2019年3月期中間(4~9月)の連結決算は、売上高が前年同期比74.3%増の1091億500万円、営業損益が88億2900万円の赤字(前年同期は49億8700万円の黒字)、純損益が85億3200万円の赤字(前年同期は29億3200万円の黒字)となり、赤字転落した。
この結果、通期でも70億円の赤字見通しに下方修正している。
売上高は増えているじゃないかという人もいるだろうが、これは企業買収を盛んにおこなったためで、新規の売上高だけは自動的に増えるからである。別に何かがすごく売れたわけではない。
これは小売店でもあることだが、新規店舗をどんどん出店すればそれだけ売上高だけは増える。もしくは増えやすい。
企業買収も同じで、すでに何億円とか何十億円とかの売上高のある会社を買収するのだから、その分の売上高はプラスオンされる。利益を度外視するなら売上高を増やすことは難しくない。そりゃこれだけ企業を買ってりゃ、自動的に売上高は増える。増えて当たり前である。
だから、ライザップグループの増収なんていうのは何の免罪符にもならない。
さて、ようやくまともな方針が打ち出されたと評価したいのが、
M&A(企業買収)の凍結と不採算部門の廃止
である。
10月にCOOを松本晃氏が外された際には、さらにダボハゼ的企業買収が加速するのかと危ぶまれたが、大幅な赤字計上によって、かえって松本氏の施策が全面的に取り入れられるようで、素直に歓迎したい。
ライザップグループにはさまざまな分野の企業が含まれており、他業種のことは知識がないので何とも言いようがないが、この方針を徹底させれば、傘下のアパレル関連企業のほとんどは廃止になるのではないかと思う。
なぜなら、傘下になったアパレル関連企業は基本的には不振企業がほとんどである。
最近、なぜか評価の高いジーンズメイトだって実態は15年連続減収の会社である。しかも赤字続きだった。
補正下着のマルコもそうだ。かつては伊藤忠商事傘下だったが、売却された。好調なら伊藤忠が手放さなかっただろう。
夢展望も同じで、たしかに衣料品の携帯通販のパイオニアだが、債務超過に陥っていた。
これらをどうしてわざわざ買うのか、当方には理解できなかった。
もちろん、捨てる神あれば拾う神ありともいわれるが、「拾う」根拠が皆目わからない。
異業種のことはわからないが、ゲームソフトやカフェ経営などを行うワンダーコーポレーションを傘下にしたが早速特別損失を計上している。果たしてライザップにこの会社が必要だったのかどうかは疑問を感じる。
そういえば、ライザップとほぼ同時期にジーンズメイトの中間決算(4月~9月)も発表されているので見てみよう。
売上高 42億5200万円
営業利益 1億7900万円
経常利益 1億8800万円
当期利益 1億2500万円
で久しぶりに黒字転換している。
一方、売上高だが、前年と比べると4800万円の減収になっているが、前年が13か月の変則決算なので前年増減は出ていない。出ていないが、売れ行きがすごく伸びているとは言えないだろう。
そして、10月以降の半年間が勝負になる。
10月以降はダウンジャケット類、防寒コート類、セーター類などアパレルは高単価な秋冬物が主力商品となるため売上高は増えやすい。
同じ枚数を売っても金額が高いから売上高は高くなる。だからユニクロも秋冬の方が売上高が高い。
Tシャツ990円とダウンジャケット12900円じゃ、同じ枚数を売っても金額は10倍以上異なる。ジーンズメイトを含め他の衣料品ブランドも同様で秋冬でどれだけ売れるかがカギになる。
しかし、ジーンズメイトの10月度の月次売上高は既存店が前年比2%増と一見すると好調ながら、全店ベースでは前年比12%減と冴えない。
これはユニクロも含めて10月が高気温だったため、単価の高い防寒アウター(ダウンジャケット含む)やセーターが売れなかったためといえる。
11月もようやく数日前の日曜日くらいから気温が下がり始めたが、おそらく上旬は各ブランドとも高気温で防寒類は苦戦したと考えられる。
となると、11月以降でよほど巻き返さないと各社の売上高は厳しくなるだろうし、ジーンズメイトも同様だと考えられる。12月に入れば、プレセールだクリスマスセールだのが始まり、実質的に値下げが始まるから、定価で販売するのはもう11月末までということになる。
こう見ると、ジーンズメイトに限らず、今秋冬は厳しくなるアパレルが多いのではないかと思う。
そういう状況も鑑みると、ライザップグループ傘下のアパレル関連企業、ブランドの多くは今後縮小や廃止が相次ぐのではないかと思う。そしてそれは極めて順当でまっとうな判断だといえる。
個人的には、松本氏の手腕に期待したい。
 

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