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南充浩 オフィシャルブログ

超高級店のサービスを一般店に導入する必要はない

2012年10月24日 未分類 0

 以前も書いたことがあるが、接客に関するセミナーでは「リッツ・カールトンホテル」のおもてなし精神が見習うべきお手本だと言われることが多い。

実は筆者も元リッツカールトン支配人だったという方のセミナーを2回拝聴したことがある。
偶然同じ方のセミナーを2回拝聴した。

たしかにそのサービス精神はすごいと思うが、はたしてこれを一般店が採り入れるべきなのかどうか疑問に感じたことを鮮明に覚えている。そして今でも一般店への導入には疑問を抱き続けている。
ディズニーランドの接客にも同じように感じる。一般店は見習うべきではないと。

その疑問をなかなか上手く文章にまとめられなかったのだが、先日読んだブログが上手くまとめておられたのでご紹介したい。

リッツカールトンホテルのサービスを真似してもうまくいかない
http://ameblo.jp/ex-ma11091520sukotto/entry-11383925301.html

基本的にクレームは聞かないほうがいいですよ。
「クレームはお客さまからのラブレターだ」なんて、嘘です。
聞かなくていいクレームがほとんどです。

ある観光ホテルが以前テレビ番組に取り上げられたときの話です。
そこで、こういうシーンがありました。
 
お客さんがうがい薬が欲しいと言ったので、仲居さんが在庫している薬を持っていった。
そうしたら、「それはいつも使っているメーカーじゃない」。
そう言われた仲居さん、薬屋まで走っていって、そのメーカーの薬を買ってきた、という話です。

これはやってはいけないこと。
いつも利用してくれている、「おなじみさん」だったら、それはいいかもしれません。
でも、その番組のお客さまは、新規のお客さまでした。
 
そんなことをやっているから、サービス業がおかしくなっていくんです。
あんなことを従業員さんにやらせないほうがいい。
それもテレビで取材なんてさせちゃダメ。

あんな無理難題を言うお客さんがいっぱい来ちゃう。
普通のサービス業として間違っていると思う。

続けられるのならいいんですよ。
すべての客の要望を、すべてかなえる。
そういうコンセプトで、ずっと続けられるのなら、それは素晴らしいかもしれません。

でも、それを実現するためには、ものすごいコストがかかります。
たくさんの人を雇わなければなりません。
社員の教育にもお金がかかります。
そして、わがままなお客さまが増えていきます。

リッツカールトンのサービスの本がたくさん出ていますが、そういうのを参考にしていると、間違った方向にいきます。もちろん、あれはあれですばらしいと思います。
でも、再現性がない。
真似しようにも真似できないんです。

そもそもターゲットが違うのですから。
 
ボクの塾生さんの友達が、リッツ・カールトンのサービスを体験してみようと思って泊まったんですね。
ボクも泊まったことがありますが、確かにすばらしいサービスですね。 

その人は、「大阪の味を食べたいから、たこやきを買ってきてほしい」という無理難題を言った。
そうしたら、熱々、とろとろのたこ焼きを買ってきてくれたんだ。 

すごく美味しかったそうです。
さすがリッツ! と思った。
翌朝チェックアウトするときに明細を見たら、「たこ焼き5000円」って書いてあった。 

リッツカールトンはそこで怒っちゃうようなお客さんを相手にしていません。
気持ちよく5000円を支払ってくれるお客さまを相手にしているんです。

全体の人口の、わずか5%のVIPが泊まるホテルだから、そういう人たちを対象にしたサービスをしているわけです。だから、普通のサービス業をしている観光ホテルが、リッツカールトンを目指してしまうと、おかしなことになっちゃいます。
大変な客ばかり増えてしまいます。

前述の観光ホテル。
うがい薬を買いに走っては、いけません。
お客さんに薬屋さんの場所を教えることです。
「うちにはありませんが、薬屋さんはここにありますから」って。
それで十分素晴らしいサービスです。

このホテルが放送された後、クレームの電話がたくさんかかってきたそうです。

「わたしが泊まったときには、ああいう対応をしてくれなかった」

そういう種類のクレームがほとんどだったそうです。

客のクレームを恐れたり、客のニーズを聞こうとしたりすると、おかしなことになってしまう。
そんなことをやってはいけないのです。

とのことであり、リッツの接客に感じた違和感を上手く説明してくださっている。

元支配人のセミナーでは、ホテルの従業員がお客を部屋に案内する際に、そのお客が「風邪気味である」と気づいた事例が挙げられていた。

その従業員は、お客が外出した際に、部屋に風邪薬をそっと置いておいたという。

木下藤吉郎が懐で織田信長の草鞋を温めていたのと同じような感動的な逸話である。
が、そのとき、個人的に感じたのは「サービス精神は良いとして、その風邪薬がお客の常用している物と違ったり、お客の体質に合わない風邪薬だったらけっこうトラブルの種になるのではないか?」というものだった。

ちょっと穿った感想かもしれないが、個人によって体質が違ったり、アレルギーを抱えていたりするから
経口摂取する物の扱いには慎重にならざるをえない。

リッツやディズニーランドのもてなし精神を意識するのは必要なことだが、それをそのまま自店に導入しようとするのは止めた方が良い。再現性がない。
先ほどの某ホテルのような不必要なクレームが発生するだけである。

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