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南充浩 オフィシャルブログ

関西人にとってパルコ買収は「対岸の火事」に過ぎない

2012年3月1日 未分類 0

 先日、Jフロントリテイリングがパルコの買収を発表した。
これに対する見方は、HAKATA PARIS NEWYORKで示されたことが正解だと思う。

http://blog.goo.ne.jp/souhaits225/e/f4e6af46d06fa741d5eb8df3a094234b

一般メディアは「顧客層の拡大」「百貨店の再編」が進むなんて相も変わらずのフレーズをお書きになっているようだが、パルコを手中に収めたところで小売り面のメリットがそれほどあるとは思えない。

まさにこの意見に賛成である。

で、この筆者はさらに

では、Jフロントはなぜパルコを手中に収めたのか。それはショッピングセンター(SC/業態名としてはこれが正式)事業には、保証金などの様々なドル箱があるからだ。
 一流商業地では借地権が更地の時価の90%まで認められているから、当然、借家権も時価にスライドしている。しかし、SCだけは保証金は出店時の金額しか保証せず、金利は付かない。なのに退店で空きスペースができると、そこの保証金は時価で新規入店テナントに要求できるというメリットがある。
 他にも内装費のピンハネや指定レジの押しつけ、クレジット手数料収入など、デベロッパーにはおいしいところがいくつもある。
 つまり、Jフロント側は単なる委託販売や消化仕入れ、歩率商売といった百貨店モデルから、こうしたデベロッパーの「うま味」にも目をつけたということ。これが脱百貨店の本音かもしれない。顧客層の拡大なんて小売り面して、裏では資本を動かして儲けようという魂胆が透けて見えるのである。

と踏み込むのだが、これもまさに正解であろう。

一方、文中には

パルコの中国進出についても触れられており

10年8月には日本政策投資銀行と資本提携し150億円を調達。中国などへの進出を本格化させると発表した。しかし、それは日本からテナントを連れて行って開発運営するのか、現地のテナントでそれを行なうかで、ハード面はもとより運営手法まで大きく違ってくる。
 商環境もお客の嗜好も違う海外市場において、日本だけでの知名度やノウハウでSC開発がスムーズに進むと考えるのはあまりに短絡的だ。まあ、150億円くらいの資金ではとても足りないだろうし、日本で限界が見ているデベロッパーの海外進出を投資家が評価するはずもない。

と手厳しいが、その通りである。
日本で凋落した商業施設が中国へ出て行って成功するはずもない。

シナジープランニングの坂口昌章さんも常々「日本で売れていないブランドが中国へ出て行って売れるはずもない」と仰っているが、まさに同様の理屈である。

で、今回のパルコについてだが、東京の方々は想像できないかもしれないが、
関西でのパルコの知名度は驚くほど低い。体感的には「無いに等しい」と言っても過言ではない。

1980年代前半までのことは、幼すぎて体感がないのだが、筆者が大学に入学した1989年以降、関西で「パルコ」がホットスポットとして人口に膾炙した記憶はない。
大阪市内には、パルコ心斎橋店とアメリカ村のDUE店の2店舗があったが、どちらもそれほど消費者の支持は得ていなかった。
80年代だと、大阪市内では、南海電車「なんば」駅の下に広がる「なんばシティ」や、JR西日本の環状線の高架下にある「エスト1」、HEPファイブの前身である「阪急ファイブ」、現在は無くなった「心斎橋ビブレ」などが大衆向けの人気商業施設として知られていたが、パルコ心斎橋店とDUE店はこの4施設に大きく水を空けられていた。

この2店舗とも昨年9月に閉館し、パルコ心斎橋店だけが2013年にリニューアルオープンするというが、あの売り場面積の狭いビルでどのように近隣の大型店と戦えるのか疑問しかない。
現在、関西圏には滋賀のパルコ大津店しかない。

そういう背景もあり、関西生まれの関西育ち、関西在住である筆者にとって昨年からの「パルコ騒動」は今一つピンと来ない。
関西人にとっては「パルコ」よりも「OPA」の方がよほど存在感がある。
はっきりと言ってしまえば、存在感を感じられないから、Jフロントに買収されようが、イオンに買収されようが、中国進出で失敗しようが「対岸の火事」なのである。

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