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南充浩 オフィシャルブログ

ジーンズ専業メーカーの国内自社縫製工場の廃止に異議あり

2012年2月1日 未分類 0

 自社直営の国内縫製工場を縮小・廃止するジーンズ専業メーカーが相次いでいる。
いずれも経営悪化が原因である。
縮小はまだ仕方がないと感じるが、「廃止」は賛同しかねる。

現在、多くのジーンズ専業メーカーは、セレクトショップやSPAブランドとのコラボレート商品やダブルネーム商品の展開や、それらブランドのOEM生産を請け負うことが主力事業となりつつある。
自社ブランドだけではなかなか厳しい状況である。

そしてセレクトショップやSPAブランドが、ジーンズ専業メーカーにOEM生産を依頼する最大の理由は、「自社で物作りを行っている」からである。国内自社縫製工場を所有していることが、ブランド側にとっては魅力に映っている。

しかし、国内の自社縫製工場を廃止してしまい、生地もテキスタイルコンバーターや生地商社から仕入れるというような体制を採ってしまうと、東京や大阪に事務所を構えるOEM企画会社となんら変わらない。
むしろ、彼らに頼んだ方がはるかに安く商品が仕上がる。

彼らは生地商社やテキスタイルコンバーターから珍しい表情のデニム生地を仕入れ、安く縫える国内の縫製工場に仕事を投げる。そこから国内の洗い加工場に送れば商品は完成する。

ジーンズ専業メーカーがこれらOEM企画事務所と同じ仕組みで動くのであれば、存在理由は無い。
ブランド側もわざわざ高い工賃を支払ってジーンズ専業メーカーに商品製造を依頼する必要も無くなる。
国内の仕事は減っているので、手の良い工場がいくらでも安値で仕事を受けてくれる。(そういう風潮はイヤだが、現状に目を背けるわけにはいかない)

背に腹は代えられないとはいえ、国内の自社縫製工場の廃止や、実質廃止に近いような「縮小」には再考を促したい。

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