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南充浩 オフィシャルブログ

暗雲しか立ち込めていないクール・ジャパン

2012年1月18日 未分類 1

 以前に、日本のアニメが実はヤバイ状況にあると書いたことがある。
原因の1つには、賃金が安すぎて若い人が業界に入ってきても長続きしない。
そのため、動画や作画などのスタッフは外国人ばかりとなっており、南米人、中国人、韓国人の作画スタッフが名前を連ねる。最近だと中東系の名前も見かけるようになってきた。

アーティストの村上隆さんのインタビュー記事から引用させていただく。

「『クール・ジャパン』なんて外国では誰も言っていません。うそ、流言です。日本人が自尊心を満たすために勝手にでっち上げているだけで、広告会社の公的資金の受け皿としてのキャッチコピーに過ぎない。

 ――それでも、日本政府は「クール・ジャパン」のアニメや玩具、ファッションなどを海外に売り出そうとしています。

 「それは、広告会社など一部の人間の金もうけになるだけ。アーティストには還元されませんし、税金の無駄遣いです。今やアニメやゲームなどの業界は、他国にシェアを奪われて、統合合併が相次ぎ、惨憺(さんたん)たる状態。クリエーターの報酬もきわめて低いうえ、作業を海外に下請けに出すから、人材も育たない。地盤沈下まっただ中です」

http://digital.asahi.com/articles/TKY201201160436.html

というのが偽らざる現状である。

「そうは言っても日本のアニメは世界中で放送されて、ドラゴンボールなんか世界的に知名度があるじゃないか」と言われる方もいらっしゃるだろう。
たしかに放送されているが、それによってアニメの制作会社が儲かっているかというとほとんど儲かっていない。なぜなら放送権は外国に二束三文で売り渡されているからである。

これは筆者の独断と偏見ではなく、東京国際アニメフェアに出展経験のある業者が話してくれたことだ。
その理由としてこの業者は「国内ではメディアに絶大な力を持つ電通や博報堂だが、海外メディアに対して驚くほど影響力がない。彼らも海外メディアとの交渉のツボを心得ていないので結果的に二束三文で売り渡したり、レンタルしたりということになる」と指摘してくれた。

この話を聞いたのが3年ほど前なので、現在は幾分状況が変わっているかもしれないが、そう大きくは変わっていないだろう。

経産省の「クールジャパン」の何億円という予算は、おそらく大手広告代理店が仲間内で飲み食いすることに大半以上が使われてしまい、ほとんど目ぼしい成果は得られないだろう。

もし、本気で日本のアニメを保護する気があるなら、業界全体の待遇改善を図るべきだろう。
今のアニメーターの給料なら、週に何度かコンビニのバイトに入るほうが体も楽で、しかも同額以上を稼げる。
相撲と同様に、体にキツくて給料が低い分野に、好んで入りたがる人間はごく少数派である。
「文化を守ろう」という掛け声だけでは無理だ。
そこまで文化を守りたいなら、叫んでいる人々自身が相撲部屋なりアニメ制作会社なりに入社して文化を守ればよろしい。うむ。美しい自己犠牲である。

それにしても村上氏の発言は何やら日本のファッション産業にも当てはまる状況である。
そういえばファッションも「クール・ジャパン」戦略の一つだったはず。
お役人様と60代以上の業界の重鎮が旗振り役を務めるようでは、成功する可能性はかなり低いだろう。
実際、国内のファッションイベントでもお役人様と60代以上の業界の重鎮が旗振り役を務めて成功した試しがあるだろうか?17年という浅い経験の中には、該当する事例の記憶がない。

国内ですら成功しない取り組みが、言語・文化・風習の異なる海外で成功できるとは到底思えないのだが。

 comment
  • matuken工房のつれづれ日記 より: 2012/01/18(水) 10:52 PM

    だれが「クール・ジャパン」と言ったのか?
     暗雲しか立ち込めていないクール・ジャパン : 南充浩の繊維産業ブログ
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