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南充浩 オフィシャルブログ

繊維アパレル業界が愛憎半ばして見つめる「商社」

2012年1月11日 未分類 0

 先日、某大手総合商社に取材した。
正直「商社」に対してあまり良いイメージを持っていない。

ちなみに商社とは大辞泉によると「輸出入貿易を業務の中心にした商業を営む会社」とのことである。
じゃあ貿易会社と呼べば良いのではないかと、素朴に思うのだが・・・・。

それはさておき。
繊維アパレル業界で「商社」は「敬してこれを遠ざける」という風潮があるように感じる。
ブランドライセンスを過剰に振りかざしたり、1円でも安い生産工場を見つけるために容赦なくそれまでの付き合いを切り捨てる。とそんなイメージを持たれているのも事実である。

産地企業も国産アパレルも口をそろえて「国内縫製業が衰退したのは商社の影響が少なからずある」という。
自社工場を持たないアパレルは、生産を商社に丸投げするというスタイルが定着しているが、
その際商社は、コストダウンを目的に縫製工場を国内から韓国へ移し、韓国から中国へ移し、今また中国からアセアン諸国やインド、バングラディシュに移そうとしている。

この影響から国内で多数の工場が倒産・廃業を余儀なくされたのは、広く知られている。
某国産SPA企業の社長は「あの新興住宅地は、以前全部工場でした。商社が生産地を海外に振り分けたために廃業した工場が土地を手放して住宅地になったのです。今更『国産回帰ブーム』と言われても工場自体が残ってないじゃないですか」と突き放しておられた。

しかし、先日取材した総合商社の方は「日本の商品やブランドを世界に売るのが商社の役割です。今、製造業で揶揄されている商社は『専門商社』のことでしょう」と言い切られたので、少し見る目が変わった。
ちなみに、ここでいう「専門商社」とは、取り扱う商品を特化した商社で、食品専門とか繊維専門というふうに区分される。

ドラマ「不毛地帯」でも描かれたように、総合商社は自動車だろうが、石油だろうが、繊維だろうが何でも売りに行くし買いに行く。日本の自動車や家電製品が世界に広まったのも総合商社のおかげという側面もある。

筆者はもとより、繊維アパレル業の国産を応援する立場だが、
昨今の「国産回帰ブーム」は何だか軽々しいと感じてしまう。

先の社長が仰ったように「国内に工場が激減している」ことが大きくのしかかる。しかしそれ以上に、生地を織る機械、加工を施す機械そのものを作る機械メーカーが国内での製造販売から撤退するという事例が相次いでいる。いくらヤル気のある経営者が若い従業員をそろえて「生地を作るぞォォオ!!!」と意気込んだところで、製造するための機械がなければどうにもならない。

国産回帰ブームは国内工場の問題だけではなく、機械メーカーのことも考えないと、それこそ絵に描いた餅に終わるのではないかと感じられてならない。

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