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南充浩 オフィシャルブログ

アドヴェンチャーグループの凄さ

2011年12月27日 未分類 0

 先日、アドヴェンチャーグループの大阪展示会にお邪魔した。
繊維アパレル業界にいながら、ほんの3カ月ほど前までアドヴェンチャーグループを存知あげなかった。

その存在を知ったきっかけはいつものように
HAKATA PARIS NEWYORK
のブログであった。

アドヴェンチャーグループは福岡を拠点にする低価格レディースアパレルで、
レディースカジュアルウエア全般と傘、靴、ストール、マフラー、インテリア小物まで幅広く展開する。
グループ全体の2011年5月期売上高は215億円であるという。

繊維アパレル業界でも規模の割に、一部の方を除いてあまり知名度がないのだが、
販売先は多岐に渡っており、ほとんどのレディース売り場に商品が入っている。
同社のタグをそのまま仕入れる場合と、商品はそのままでタグだけ相手方ブランドに付け替える場合がある。
同社の商品をそのまま仕入れているのは、スーパーマーケット系の量販店全般であり、
タグを付け替えて導入しているのは、元DCブランドで現在SPAに転換したブランドや、元ニットアパレルでSPAに転換したブランド、石津さんの頃のVANと並び称された後にSPAに転換したブランド、などを筆頭に多数である。

この会社の概略をいろいろとご説明いただいたのだが、驚くことばかりであった。

まず、全社員が300人在籍するのだが、そのうち80人がデザイナーであること。
昨今、企画を外注に丸投げするのが当然のような風潮があるが、同社はあくまでも「企画が命」としてデザイナーを採用し続けている。昨年まで70人だったが、今年4月に10人新規採用して80人になったということである。

他社の店頭製品や、ストリートスナップの画像をメール転送して、「これと同じのを作ってくださーい」と指示するだけのブランドとは雲泥の差である。

また、製造は中国とインドの協力工場で行われる。これだけなら普通だが、取り組んできた年月がすごい。
中国は40年前から、インドは38年前からである。
今でこそ、「中国の次の生産地はインド」と言われ始めているが、38年前からインドの工場と物作りを開始した行動力に驚かされる。
さらに2008年にはインドのカルール県に学校を寄贈している。(同社のパンフレットによる)

これだけでも一般紙や経済誌に「社会貢献」ネタで大々的に報道されても良いくらいだと思う。
93年にはインド政府からも現地の雇用拡大の功績から感謝状が贈られている。

「バングラディシュの銀行と社会貢献の取り組みが云々」と大々的に報道されたものの、その続報がさっぱり聞こえてこない企業とはだいぶ違うと感じさせられる。

先述のブログでこの会社の存在を知ったときには「福岡にできた新しいイケイケの企業かな?」と思ったのだが、創業47年だということにも驚かされた。
そして47年間毎年黒字決算だというからさらに驚く。

このほか直営雑貨店「地球文化屋」「流行雑貨屋」の2つの屋号で計80店舗を展開し、SPA業態も開始している。

派手さはないが、堅実で地に足の付いた企業である。

アパレルブランドはややもすると「広告、告知してナンボや」という姿勢で、針小棒大に自社をアピールする傾向が強い。それも悪くはないが、大半は内容が伴っていなかったり、途中でその事業がとん挫したりする。
アドヴェンチャーグループのように、告知は一切しないけれども着実に利益を上げ、自社の企画力アップに取り組んでいる企業の方が好感が持てる。
この企業が広報告知活動に注力すれば、まさに鬼に金棒だと思うのだが、そればかりは経営者の判断である。

記者を始めて14年、販売員の時代も入れると17年この業界におり、少しは知識も増えたのではないかと感じていたが、まだまだ勉強が足りないことを思い知らされた。

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