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南充浩 オフィシャルブログ

差が付き始めたユニクロとしまむら

2018年9月10日 メディア 0

朝からブログの調子が悪くて作動しにくいため、今日はこちらで全文をアップする。復旧してからそちらに移行したい。
ユニクロの国内店舗数が800店を下回ったことが話題となっている。ピーク時に834店あったのが、今では784店まで減少しており、ピーク時よりも50店減少したことがわかる。その一方で、売上高は増え続けており、2017年8月期で8000億円を越え、2018年8月期も増収の見通しとなっている。ここから考えられることは、
1、 既存各店の売上高が増えている
2、 ネット通販の売上高が増えている
この2つである。
1だけなのか、2だけなのか、1と2の両方なのか、答えは3通りのうちのどれかしかない。
ユニクロは今後、不採算店を廃止して、その分をネット通販の拡大でカバーする方向性を明確に打ち出しているといえ、すでに実行に移されている。そして同じファーストリテイリングが展開するジーユーも同じ方向性であり、そのテストとして11月、原宿にネット通販専用の「試着専門店」をオープンさせると考えられる。1店舗だけで売上高や利益を飛躍的に向上させることは不可能なので、将来に向けたテストと見るべきだろう。
一方、迷走が止まらないのがしまむらである。しまむらはすでに1400店舗もあるが、これをさらに2000店にまで増やすことを明言している。それとともに長年、課題とされていたインターネット通販をついにZOZOTOWN内で開始した。しかし、もともと「薄利多売」というビジネスモデルのしまむらが、35%もの手数料を取られるZOZOTOWNに出店して採算がとれるのかという疑問が業界内からは呈されている。
 
これはあまり疑問を呈されていないが、2000店舗までの増加が目標ならどうしてネット通販を始める必要性があったのだろうか。今から600店舗増えるのであれば、売上高だけは確実に増える。増えなければ既存店がよほど弱っているということになる。どちらにせよ、厳しい状況にあるといえる。
 
月次速報を見ても、しまむらの苦戦は如実である。今上半期に既存店売上高が前年を上回っているのは4月度の1・4%増だけであとは全部前年割れとなっている。とくにひどいのが、6月度と7月度でともに約12%減まで落ち込んでいる。第二四半期の既存店売上高は前年比9・7%減と大きく落ち込んでおり、上半期合計でも売上高は前年比6・9%減となっており、完全に失速傾向にある。
 
ZOZOTOWN登場時には、シュプリームのパロディみたいなデザインの「しまむら」ロゴTシャツが即日完売だったが、初回投入枚数は600枚くらいだったという情報があり、実店舗だと人気商品は1万5000枚くらいが即日完売してしまうことと比べると、始まったばかりということもあって、それほど大きな売上高にはならないことがわかる。その後、「しまむら」ロゴTシャツは品切れもせずに推移している。現時点で、ZOZOTOWN内のしまむらでは、実店舗の落ち込みはカバーできないということである。
おまけにこの上半期も店舗数は18店舗増えているにもかかわらず、全店売上高も上半期で前年比4・7%減と振るわない。いかに既存店が苦戦しているかということが透けて見える。
かつて「ユニクロVSしまむら」とビジネスモデルが異なるにもかかわらず同じ低価格ゾーンということで比較された両ブランドだが、ここにきて明暗がくっきりと浮かび上がり始めたといえる。
しまむらとの取引がある某メーカーは「苦戦が顕著になって、上層部からは『ファッション性を強めろ』『ファッション化しろ』との指示が出ている」と伝えてきたが、この情報が正しければ、しまむらの迷走は極まりつつあるといえる。「しまらー」人気でファッションブランドとして見られるようになったが、完全にファッション化したわけではない。「ファッションにも使える」という見方ができただけで、「しまらー」ブームから約10年が経過してもその見方は変わらない。
一方、ユニクロは2004年の「ユニクロプラス」(現在はなくなった屋号)以来、ジル・サンダー氏との+J、アンダーカバーとのUU、クリストフ・ルメールコラボなどを、世間から笑われても「ファッション化」に取り組み続けてきた。ユニクロアンドルメール、その発展形である「ユニクロU」くらいからようやく、「ファッションブランド」と見なされるようになり、ここに至るまでに14年間くらい費やしている。しまむらも「ファッション化」するのであれば、これくらいの時間が必要ということになる。最低でも10年間は必要になり、今からそれに取り組んでも結果が出るのは早くて2028年頃になる。あまりにも乗り出すのが遅すぎたのではないだろうか。
しかも低価格衣料品の競合は増え続けており、高機能性を売りにした「ワークマン」や、ひっそりと売上高を伸ばしているドン・キホーテなど、強力なライバルは増えている。果たしてしまむらがファッション化するまでの10年間という時間がゆっくりと与えられるかというと甚だ疑問を感じる。
 
もちろん、即座に倒産するとか経営破綻するなんてことは考えられないが、このまま沈み続けるという可能性は低くないように感じる。その比較が正しかったのかどうかは別として、低価格の両雄として並び称された「ユニクロ」と「しまむら」だが、ここにきて大きく差ができ始めたといえる。今後の推移を見守りたいと思う。
この本の発行から10年以上が過ぎると状況はまったく異なってしまっている

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