アウトレット用に製造された商品に感じる違和感
2011年12月14日 未分類 0
先日の「三井アウトレットパーク倉敷」について。
ここに限ったことではなく、どのアウトレットモールのテナントにも共通していることだが、通常店から移動された商品の数量は恐ろしく少ない。
10年前のアウトレットは、店頭在庫や倉庫内在庫の構成比率が高かった。
各テナントのほとんどがいわゆる「在庫品」を値下げした商品で埋められていた。
しかし、今は違う。
各テナントの商品の大半以上は、アウトレット店用に製造されたものである。
極一部に、いまだに「在庫」を値下げして並べているブランドのテナントがあるが、これは少数派である。
倉敷アウトレットでいくつかのテナントを拝見したが、そのどれもがアウトレット用商品で店頭の大半以上が構成されていた。
アウトレット用に製造された商品と、店頭から移動した商品をどこで見分けるかというと、それは「値札」である。
アウトレット用に製造された商品の値札は、値下げシールが貼られておらず綺麗なままである。
かたや在庫品の値札はバーコードの部分はそのままで、値段のところに何重にも値下げシールが貼り付けられている。
在庫品をアウトレットで買うとお値打ちだが、アウトレット用製造商品はまったくお値打ちではない。
なぜなら、店頭価格2940円に合わせて原価計算されて作られており、それで利益が出る仕組みになっている。
もっとはっきりいうなら、低価格ブランドショップで2940円の商品を買うのと同じであり、違うのはブランドのラベルが付いているかどうかである。
これに対して、業界からは「新しい販売方法の一つ」との声もあるが、それにはまったく賛同できない。
倉敷アウトレットの記事について、ブログ「HAKATA PARIS NEWYORK」の筆者から、フェイスブックにコメントをいただいたのでご紹介したい。
90年代はじめに、米国のアウトレット取材は何度か行きました。200を超えるアウトレットがあるこの国さえ、レアなブランドで固めたところは、チェルシーがやっているガーニーミルズやウッドベリーコモンなど20カ所程度。他は一部がブランドのみで、あとは安いブランドをかまして「アウトレットモールもどき」にしているだけです。
しかも、米国は同じブランドのプロパー業態への影響を避けて、相当の郊外(50マイルや70マイル規制)に出店なければならないルールがあります。この辺の規制は米国の方が小売り保護の観点では良いでしょう。でも、国土の狭い日本だとそこまですると、隣の都市に入ってしまうから、規制になじまない。
とのことである。
人口48万人都市の駅直結のアウトレットモールが「暴挙」であると感じるのは、米国並みとは言わないが、通常店との区分がそれなりに必要だと思うからだ。
さらに、アウトレット店頭用商品に対して「それも一つの新しい販売方法」であると賛同できない理由は、
「格安ブランド商品を、有名ブランド商品と偽って販売しているようにしか感じられない」からである。
例えば、ライトオンやポイントの自社企画商品を「○○」とか「××」という有名ブランド商品として買わされることと同じだと感じる。もっとも物性面での品質で言えば、同等の物も少なくないのだが・・・・・・。
そして、そうした商品を「ブランド品」だと消費者に思わせることが、さらに消費者のレベルを下げていると感じる。目先の金に目がくらんで、業界が自分で自分の首を絞めているとしか思えない。
「○○」ブランドのアウトレットで買った2940円の商品は、アウトレット用に製造された格安商品なのだが、それを知らずに「『○○』ブランドの商品ってこんな感じなのね」と思う消費者は少なからず存在するだろう。
そうすると、その消費者は、「○○」ブランドも格安ブランドも商品はあまり変わらないという認識を持つかもしれない。それなら「別に格安ブランドで買っても良いじゃないか。あまり変わらないのだし」となる。
かくして、格安ブランドの顧客をまた一人増やすという構図になる。
低価格品しか売れないという状況は、業界が自らそのように消費者を教育してきたという側面もあるのではないか。