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南充浩 オフィシャルブログ

ソフトタッチアクリルニットが大人気

2010年11月15日 未分類 0

 今秋冬はニット(セーター類)が大人気だ。いわゆるセーターをニットというが、業界では編物全体をニットということもあり、非常にまぎらわしい。編み方によって横編み、縦編み、丸編みとある。
自分の中では、一般のセーターは横編みで編まれるケースが多いように思う。(ニットにくわしい方、ご意見ください)

さて、冬物のセーターのメイン素材はウール(羊毛)だと考えている。高級セーターはウールではなくカシミヤが使用され、低価格品は化合繊のアクリルが使用されると認識している。
レディースアパレルの取材をすると、とくに1900~3900円くらいまでの低価格ブランドのセーター類で、今秋冬はウールが一切入っていないアクリル100%が増えているように感じる。
もしかしたら、もう何年も前からそうだったのかもしれないが、自分が愛用するユニクロのセーターはいまだに1990~3990円でも、ウールが主力素材なので、違和感がある。

今秋冬のアクリルニットで素材的に大ヒットだったのが「カシミヤタッチ」や「ソフトタッチ」と言われる肌触りの柔らかいアクリルである。これは何も目新しい物ではなく、イオンやイトーヨーカドーなどのスーパーマーケット系の売場には数年前から並んでいた。
ジーユーの売り場にも並んでいる。

おそらく30歳後半以上の方々はアクリルニット=安物というイメージを抱いている。50歳代以上の方々はほぼ全員がそう考えていると思う。
実際に羊毛に比べるとアクリルは素材の値段が安い。化合繊は特殊な機能素材を除いて一般的に天然繊維よりも価格が安い。
例えば綿花の値段が高騰しているが、綿(コットン)の使用量を減らし、ポリエステルを配合すれば素材のコストが下がり、製品の値段は維持しやすい。

しかし、アクリルニットファンも間違いなく存在する。アクリルニットの利点は3つにまとめられると思う。

1、軽い
2、洗濯しやすい
3、ウール特有のチクチク感が少ない

である。

おまけに製品の値段が安い。

で、ソフトタッチアクリルニットの多くは、若い女性向けブランドから展開されている。
今の若い人は所得が少ないから安くて機能的であれば、アクリルニットでも構わないのだろう。それを指して「若い消費者の感覚が退化している」とは思わない。若者らしい、なかなか合理的な判断だと思う。
60歳代以上の人間が「若い世代の感覚退化」を嘆くのであれば、自分らが身銭を切って、若い世代の所得が増えるように、雇用促進の社会的取り組みをするべきであろう。
地位も名誉も獲得した老人が若い世代を非難するだけでは、何も解決しない。それは単なる自己満足に過ぎない。

ちょっと脱線。
ただ、40歳のオッサン(自分のこと)からすると、アクリルニットは何か味気ないと感じる。まあ、これもオッサンの郷愁に過ぎないのだけれども。
そのうちに、ウールセーター=オッサン、オバハンの服というイメージが出来上がるかもしれない。

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