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南充浩 オフィシャルブログ

百貨店の凋落は高級婦人服への特化が原因

2011年12月2日 未分類 0

 先日、ストリートジャック12月号を読んでいたら、「コーディネイトは同じで、小物だけ変えて違う印象を与える」というページがあった。着ている洋服を変えずに、帽子やバッグその他雑貨類を変化させることで違う印象になるという主旨である。

これを読んでいると、「服を買うよりも雑貨を買う方がお得だな」と思えてくる。
一つには服は、多大な収納スペースが必要となる。靴を除くと雑貨類はそれほど収納スペースが必要ない。
同じ個数を所有するなら服よりも雑貨類の方がコンパクトにまとまる。
売り場で服が売れずに雑貨が売れるのは消費者のこういう心理も働いているのではないかと思う。

服が売れないのは日本だけなのかと思っていたら、どうやら欧米でも同じような傾向にあるらしい。
太田伸之さんのブログから引用させていただく。

http://plaza.rakuten.co.jp/tribeca512/diary/201111270000/

私の頭から離れないことの1つはニューヨークの売場です。バーグドルフもサックスもバーニーズも高級婦人靴売場はもの凄く賑わい、買い物客は何箱も積み上げてショッピングしているのに、人気ブランドがズラリ並んだ婦人服売場は閑古鳥そのものでした。バーグドルフ3階インターナショナルデザイナーは欧米トップブランドの大半が揃っているのに、滞在中何度足を運んでも人影はまばら、2階婦人靴ゾーンとはまるで別ストアのようでした。いくら人気あるトップブランドを集積しても、服だけ並べていてはもう通用しないのだろうか、そんな疑問を感じました。

パリのメルシーやコレットでも、店内の賑わっている一角は生活雑貨や小物のゾーン、デザイナー服が並んだゾーンはやはりまばらでした。ニューヨーク・ミートマーケットのセレクト店ジェフリーでも同じ、店奥の服ラックが並んだあたりは商品見ている人は少なかった。「服への関心は薄れてしまったのだろうか」、「服だけ並べてはもう売れないのか」、あれを目の当たりにすると悩みます。

とある。

太田さんは百貨店の方であるから、ここから百貨店の明日を考えるという議論に発展する。

しかし、筆者は、日本の百貨店が苦戦しているのは、「服」だけに特化してしまったことが原因だと考えている。
しかも高級婦人服のみに。

大阪・梅田で考えてみたいのだが、大丸梅田店は改装後、前年比70~80%増と大きく売り上げを伸ばしている。その要因はファミリー層に向けたユニクロ、ポケモンセンター、トミカショップ、東急ハンズの導入にあると思うが、それ以外にも食品売り場も大いににぎわっている。
同地区の阪神百貨店の食品売り場が常ににぎわっているのは業界の常識である。

梅田駅前のヨドバシカメラも平日昼間から多くの来場者を集める。
特にクリスマスシーズンだとラッピングに長蛇の列ができるからその売り上げというのも莫大なものだろう。ラッピングだけで1時間待ちはざらである。

かつて日経ビジネスオンラインで、松岡真宏さんは、百貨店が売れなくなった原因は「効率追求をしすぎて、高級婦人服のみに特化したことが原因だ」と論じておられた。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20100507/214292/?P=1

引用する。

そうです。昔は、百貨店で家電もカメラも家具も扱っていました。ところが、家電にしろ、カメラにしろ、家具にしろ、それぞれの商品を専門に扱う小売りが進化して、百貨店の売り場に競争力がなくなってしまった。

そこで、自分たちが得意とする衣料アパレル分野に経営資源を集中させ、「百貨」店から、「五十貨店」「三十貨店」になっていったほうが、サバイバルできる。多くの百貨店経営者はそう考えたんですね。

でも、その考えは間違いだったわけです。

中略

そうです。百貨店は、その名の通り、駅前立地の「百貨」店であるべきだった。当時、多くの流通コンサルタントたちが「自分たちの得意分野である衣料アパレルに特化したほうが、流通戦争で生き残れますよ」という甘言をささやいていましたが、その甘言に乗ったのもいけませんでしたね。

とのことである。

繊維ファッション業界の方々は、ともすると「百貨店はファッションを提案する場」と言いがちだが、太田さんのブログにコメントが寄せられたように、百貨店が隆盛を誇っていたバブル期以前は、ファッション以外の施設も充実していたのである。屋上遊園地があり、大食堂があり、家電売り場があり、玩具売り場、書籍売り場があった。中には仏壇仏具の売り場もあった。
だから若い女性だけでなく、男性も子供もお年寄りも楽しめた。

今でも人気百貨店の食品売り場がにぎわっているのはその名残ではないかとも思う。
逆に人気のない百貨店は食品売り場すら閑古鳥が鳴いている。

人間は裸では、暮らせないので衣料品は必需品である。
しかし、別に過剰な装飾も美しいシルエットも、鮮やかな色柄も本来は必要ないので、その部分は嗜好品である。そういう意味からすると、限りなく嗜好性が高い高級婦人服というものを求めている消費者は、かつてほど多くないはずである。

今後、百貨店という業態が生き残る必要性はあまり感じないのだが、もし生き残ることを模索するなら、松岡真宏さんの仰るように、高級婦人服、ファッション衣料品への特化を止めて、文字通り「百貨店」に回帰することが必要ではないだろうか。

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