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南充浩 オフィシャルブログ

自分が着ている服のサイズを知らない人は業界人が想像するよりも多く存在する

2018年8月21日 売り場探訪 0

当方もいつの間にか48歳で、もう50歳手前だ。
50歳と48歳に大した違いはないから気分はもう50代である。
気持ちはそれでも若い頃のままだが、撮影された写真を見ると、そこには単なるくたびれた汚いオッサンが映っており、相応に年老いている。
そんな40代~60代が増えているのだと思うが、服装は20年前の同年代と比べると若い。
似合ってるか似合ってないかは別として年配者の服装は年々若くなっている、というより若い人との差異が少なくなっている。
少し横道に逸れるが、2年ほど前、久米宏さんのラジオ番組に電話でゲスト出演したことがあるが、その際のテーマが「服装を見ただけでは、その人の職業や年齢はわからなくなっている」だった。
当方も含めて、体型のサイズが変わらなければ若い頃とそれほど服装が大きく変わらない人が多いから、服装だけを見て年齢や職業を判断することは難しくなっているという話題だった。
繁華街などで「前方にマルキューっぽいギャルが歩いていると」と思って、並んで見ると、見た目が50歳前後の女性だったりということが珍しくない。
まあ、後ろから見ると、服装や体型は同じでも年配の女性は肘がカサカサな場合が多いから、それでだいたい判別は可能なのだが。
そんなわけで、街行く人々を見ていても、カッコいいか悪いかは別として、それなりに服装に気を使っていると思われる人は多い。
おっちゃん、おばちゃんといえどもそれなりに気を使っている様子は見て取れる。
が、しかし、実は大衆というのは、洋服に関する知識は、業界人や趣味人が想像するよりも乏しいものだということをときどき感じる。
とくにバッタ屋の店頭に立っていると、それは如実で、ときどき驚かされることばかりだ。
以前から何度か書いているが、先日もこんなことがあった。
推定年齢60歳前後の2人組のおばちゃんが入ってきた。
店頭にあった白いストレッチジーンズを試着したいのだそうだ。
こちらは試着室へ案内する。
一人が買いたくて、もう一人はそれを見る係である。
試着が終わると、試着室から顔を出てきて、もう一人のおばちゃんに「ウエストがきつすぎて止まらないからもう少し大きいのを持ってきて欲しい」と頼んでいる。
通常、洋服好きとか業界人なら、「今、何サイズ穿いている?」と尋ね、「M」とか「63センチ」とか「30インチ」と答えたら、それの1サイズか2サイズ上の商品を探して持っていく。
けれども、この二人、会話がなかなかそこへたどり着かない。
横で話を聞いている当方にもさっぱり状況が理解できない。
とりあえず、もう一人がかなり大きいサイズの同商品を持ってきた。
穿いてみると今度は大きすぎるらしい。
そこで途中で話を引き取って確認してみた。
「今何サイズを試着されましたか?」
オバ「何サイズ穿いたかわからへんねん」
マジでww
要するにこのおばちゃんは、「白いジーンズが欲しい」とは思ったが、サイズを確認せず、手を伸ばしたところにある商品を試着したわけである。
洋服好きや業界人からすると考えられない。
で、当方が試着した最初のジーンズの下げ札を確認すると「ウェスト58センチ」と書いてある。
その体型で58センチは明らかに小さいよね。(笑)
今穿いているのはウエスト73センチだった。58センチの次は73センチって極端すぎるやろ!
で、気を取り直して
「いつもどれくらいのサイズを穿いていますか?」と尋ねなおすと、
オバ「それもわからへんねん~」
マジでかwww
そう、いつもこの人は手あたり次第に手を伸ばしてつかんだ物を試着し、合えば買うという買い方をしていたらしい。
洋服好きや業界人なら(以下同文)
脱いであるズボンの裏側のサイズタグを確認して見ると、ユニクロでサイズは64~70センチとある。
ウエストはゴムが入っているので伸縮性はある。
しかし、64~70センチなので、58センチじゃ小さすぎるし、73センチは大きすぎる。
ていうか、ここまでのやりとりはあまりにも非効率的じゃないか?
とりあえず、70センチは在庫がなかったのでその1サイズ下の67センチを選んで持って行った。
試着した結果、ぴったりだったのでお買い上げいただいた。
お買い上げ金額は消費税込み540円である。汗
で、このとき、改めて思ったのだが当方も含めた服好きとか業界人はだいたい自分のサイズを知っている。
自分はだいたいMサイズでときどきブランドによってはLサイズとか、自分はだいたいLサイズとかいう具合に。
ズボンでいうなら、当方なら30~32インチの間、ウエストは76~82センチの間である。
しかし、いわゆる「マス」には、自分の服のサイズがわからないという人が相当数いる。
以前にここでも書いたように
「私、何サイズ着てますか?」と尋ねてくるおばちゃんは珍しくない。
俺は家族でもないし同棲しているわけでもないから知らんがな。
これが、寝間着をずっと着ているような人ならまだわからないでもないが、例えば、今回のように「白いジーンズが欲しい」と思うほどには服装に興味のある人ですら、自分が今日、穿いてきたユニクロのズボンのサイズさえわからないのである。
服装に興味のない人が汚れやすく、透けやすい白いジーンズなんて欲しいとは思わないだろう。白いジーンズが欲しいと思うということは相応に服装、ファッションに興味があるということだろう。
そんな人ですら、自分の穿いているズボンのサイズを知らないのである。
業界人や趣味人は、自分達の水準が平均的だと思っている。当方だってそういう部分は少しはある。
趣味人が趣味人に服を売るような感じはある。
しかし、趣味人の人口は限られている。じゃあ消費者人口を増やそうと思うなら、ニューカマーを増やすしかない。
そしてニューカマーとなり得る「マス」は自分のサイズさえ知らない人が珍しくないということである。
「ファッションなんて簡単」とは少しも思わないが、曖昧模糊とした「雰囲気」とか「センス」とか「イケてる感じ」という説明ではニューカマーはまったく理解ができない。
「ギューンと来た球をバシっと振れば、ドンと行く」
長嶋茂雄氏みたいなそんな指導法では初心者はさっぱりわからない。
もう少し体系立てた説明をすることが求められるのではないかと思う。
個人的には人気ブロガーのMB氏がやっているような初心者入門が消費者人口の拡大には必要なのではないかと思う。
そうやって消費者人口を増やさない限りは、あまたある洋服ブランドは生き残っていけないだろうから、ユニクロやZARAのような勝ち組ブランドではなく、今、苦しいブランドこそ初心者を取り込むような取り組みが求められるのではないかと思うがどうだろうか。

久しぶりに有料NOTEを更新しました~♪
ジーンズメーカーとジーンズショップの変遷と苦戦低迷する理由
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/ne3e4f29b4276

 

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