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南充浩 オフィシャルブログ

安くて良い商品があればそちらが売れるのは当たり前 服もその一つにすぎない

2018年8月19日 商品比較 0

先日、ある有名なコンサルタント氏と飲みながら雑談をした。
コンサルタント氏は7月から大阪での仕事が増えたそうで、そこからお会いする回数が増えた。
で、まあ、いろいろと雑談をするといっても、趣味も生活レベルも当方とは異なるので、必然的に話題は衣料品業界のことになってしまう。
衣料品業界についての見方は比較的一致する。
で、同じ50代前後という世代だから昔からの衣料品業界の記憶もある程度合致していて、有益な意見交換ができるので、こちらとしてはいつも楽しい時間を過ごさせてもらっている。
で、やっぱり現況の衣料品業界においては、国内とアジア圏ではユニクロ、世界的にはZARAの2ブランドが勝ち組となっているという見方も一致するところである。
低価格なユニクロと、比較的低価格なZARAをはじめとする低価格衣料品が国内外で支持されている理由は、やはり「低価格衣料品がマシになったから」というところに帰結する。
もちろん、可処分所得の伸び悩みとか所得の減少傾向とかそういう背景はあるにせよ、20年前・30年前に比べると、低価格衣料品ブランドはかなりマシになっている。
品質的にもそうだし、見た目(デザイン、シルエット、色柄)もマシになっている。
20年前のジャスコやイズミヤで売っていた1900円のTシャツはひどくダサかった。
美濃屋のコンバースTシャツは比較的マシだったが、それ以外は見た目のおかしなTシャツが多かった。
だから、20年前の当方の世代は、ある意味で「仕方なしに」高いブランドで高いTシャツを買っていた。
スーツしかり、ジーンズしかり、セーターしかり、である。
しかし、ユニクロやZARAに象徴されるような低価格ブランドがマシになり、それに引きずられるように、小マシな低価格ブランドが増えれば、「そちらで買った方がいいや」と思う消費者が多数出現してしまうことは自然な流れだといえる。
衣料品業界関係者やファッション好きはこれを差して「あんな安物は邪道だ」とか「消費者の感性が退化している」とかいうが、それは自分達が「ファッション好き」「衣料品好き」だからである。
こだわりのない人からすると、衣料品はユニクロやジーユー、ZARAで十分なのである。
そして、他分野を見渡すと、どの分野でも同じことが世界的に起きている。
コンサルタント氏は、衣料品と自動車がお好きで、使用するブランドにはこだわっておられる。
スーツはイタリアブランドだし、自動車はドイツ車である。それでもTシャツはユニクロで買っておられるのだから、ユニクロのコスパの高さがうかがい知れるのだが。
そんなコンサルタント氏でも家具やインテリアにはあまりこだわりがないのでニトリで十分なのだという。
しかし、インテリア関係者や家具業界人からすると「ニトリなんて」という声があるが、家具に対してこだわりのない人からすると安くて見た目も品質もそれほど悪くないニトリの家具で十分なのである。
当方なんて、もう10年以上家具なんて買ったことがないが、もし今後買いなおすことがあるなら迷わずニトリにする。
安いが少し感度を求める人はIKEAがお好きなようだが、買って帰って組み立てるのがめんどくさい。小さな棚くらいなら組み立てるが、大きな家具になるとそんなめんどくさいことはしたくない。
だったら最初から組み立ててくれてて安いニトリの方が良い。
またコンサルタント氏は眼鏡にはこだわりがなくJINSを愛用しておられる。
当方も眼鏡にはこだわりがなく、JINSでもZOFFでもオンデーズでも構わない。
当方はJINSの眼鏡をすでに3本所有している。
レンズ込みで5900円くらいから買えて、しかもフレームのデザインは多彩だ。
よほど困った症状の人を除いて通常の近視程度ならJINS、ZOFF、オンデーズあたりで十分だ。
だが、眼鏡の愛好家は違うだろう。
999.9だ、金子眼鏡店だ、アランミクリだ、という高額のブランドを押すだろう。
もちろん、違いは相応にあるとはいえ、JINSあたりの眼鏡を見て「見るからに安かろう悪かろうな商品だ」と思う人はいない。
なら、眼鏡に格別のこだわりのある「趣味人」を除いてはそれで十分だという人が増えることはまったく当たり前である。
自動車だって腕時計だって飲食店だって同じだ。
それぞれの分野で、それを趣味や職業にしている人はこだわりがあるだろうが、それ以外の人はそれほどこだわりがない。
昔は安物=粗悪品だったが、今では、安物は必ずしも粗悪品ではなくなっている。
品質スペックは安物でもそれなりに高い。
あとは見た目の良さとか使い勝手の良さとかが注目点になるが、それもそれなりに良くなっているから、趣味や職業ではない人からするとそれで十分だということになる。
そしてそういう人が、世界的に「マス」なのである。
スイス製の高級腕時計は数多くあるが、機能スペックはそれほど高くない物が多い。
反対に日本のシチズンやセイコー、カシオのデジタル時計の方が機能スペックは高い上に、価格は安い。
腕時計にこだわりがない当方からすると、なぜ、わざわざ性能的に劣っているスイス製の腕時計を高値で買う必要があるのかわからない。
1万円くらいのシチズンやセイコーやカシオで十分じゃないかと思う。
これで見た目のデザインが変てこなら買わないが、今はデザインだってそれなりにマシだから、だったら腕時計ファンじゃない人からするとそっちでイイやということになる。
当方が使っている2本の腕時計は両方ともカシオの太陽電池デジタル10気圧防水で、Amazonで3500円、4500円で買った。
2本合わせても8000円である。

Amazonで4500円で買ったカシオの太陽電池腕時計


 
 
自動車だってこだわる人はドイツ車だ、イタリア車だ、と言っているが、こだわらない人からすると、スズキとかダイハツの今のグレードアップされた軽自動車で十分だろう。性能スペックは決して低くないし、見た目だって昔の軽自動車に比べるとはるかにマシになっている。
当方はそうだ。
飲食店だって、こだわればキリがないが、こだわりのない当方は鳥貴族とかサイゼリヤで十分である。
結局、衣料品も同じことで、こだわっているのは「趣味」だからであり、そういう趣味人はマスではない。どの分野でも同じだ。
洋服にこだわっている「趣味人」だって、生活スタイルすべてにこだわっているという人はかなり少ないだろう。
興味のない分野はいわゆる「大衆向けブランド」で満足しているのではないか。
それに全分野にこだわろうと思えば、恐ろしいほどに金がかかるから、平均収入の少ないアパレル業界人では物理的に全分野にこだわることは不可能である。少なくとも当方の収入では不可能だ。
自動車や飲食にこだわらない人がいるように、衣料品に格別のこだわりのない人が少なからずいるのは何の不思議もないし、衣料品もそういうさまざまな商品の一つに過ぎないということである。

それを理解できない業界人が多いからいまだに「品質スペックガー」とか「おしゃれガー」と叫んでみても大衆に見向きもされないのではないか。
とはいえ、性能スペックが劣っていながらも「趣味人」に選ばれる高級ブランドというのはどの分野にもある。
自動車しかり腕時計しかり洋服しかり家電しかりである。
そういう方向を目指さないとユニクロとZARA以外のブランドは生き残れないのではないかと思う。
とはいえ、そういう「ブランド化」がどんなブランドでも成功できるわけではないし、そんなものが多数存在できるほど、世界の市場の容量は大きくない。(欧米中国を含めてもだ)
それができた少数のブランドだけが、価格競争やスペック競争に巻き込まれずに生き残ることができるだろう。
そして、衣料品業界人やファッション好きが主張するところの「こだわり」とは、所詮は「趣味人の蘊蓄や造詣」に過ぎないということを自覚しないと、マス層の嗜好性とはますます乖離するだけのことである。
当方は、外野で眺めているだけである。

久しぶりに有料NOTEを更新しました~♪
ジーンズメーカーとジーンズショップの変遷と苦戦低迷する理由
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/ne3e4f29b4276

 

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