異業種売上高が47%を占めるグンゼ
2011年11月10日 未分類 0
先日、久しぶりにグンゼの第2四半期決算会見に出席した。
個人的には第2四半期という呼び名は分かりにくいので好きではない。中間決算の方がよほど分かりやすい。
ついでに言えば、何故3カ月に一回決算発表せねばならないのかも理解に苦しむ。
投資家のためだというが、繊維アパレル産業において、ブランドを認知させるのには一定の年数が必要である。そのため新ブランドは3カ月単位では成果の出ない場合も多くある。
表向き「短期的投資家に惑わされず、新業態の育成を長期的に図る」としてMBOして上場廃止したワールドの言い分はよく分かる。
結果は微減収減益だった。
以下引用する。
http://www.apparel-mag.com/abm_papers_1111_gunze.html
グンゼの2012年3月期第2四半期決算(連結)は、コストの増加やアパレルおよびライフクリエイトなどの減収が影響し、売上高670億5900万円(0.3%減)、営業利益6億900万円(63.5%減)、経常利益6億3500万円(64.9%減)、純利益3億2900万円(54.2%減)の微減収減益だった。
アパレル部門の売上高は353億2300万円(3.7%減)、営業利益は1億1000万円(78.2%減)と減少した。綿価格の高騰を受け、8月から「快適工房」など綿100%の商品の上代価格を10%値上げしたが、大きな影響は出ていない。下期以降は「収益の改善が期待できる」(平田弘社長)という。
とのことである。
今回、注目してもらいたいのは、全売上高に占めるアパレル部門の割合はわずかに53%ほどに過ぎないというところである。
当然、残り47%は異業種の売り上げとなる。
グンゼと言えば「肌着」「パンスト」というイメージが強いが、異業種の割合が4割を越える状況にある。
グンゼが手掛ける異業種とはプラスチック製造、電子部品、メディカル用具、商業施設運営、スポーツ施設運営である。
このうち、プラスチック・電子部品・メディカル用具などの製造を行う機能ソリューション事業が約39%の売上高を占める。
繊維製造の技術を生かしてプラスチックやメディカル用具を製造へと異業種進出をずっと以前から行っていた。
これを知ったのは14年前、業界新聞記者として入社してからである。
それまではグンゼというのは肌着とパンストの製造会社だとばかり思っていた。
繊維製造技術を生かして、メディカル用具や住宅資材などの異業種製品を製造しているのは、グンゼだけではない。東洋紡、東レ、帝人といった大手の紡績や合繊メーカーも同じである。
東洋紡は全社売上高で繊維が占める割合は3割程度だし、東レも繊維の売上高は4割程度である。
やみくもに「異業種」に進出すれば良いというものではない。
例えばジーンズ製造業者が塩昆布の販売を開始しても相乗効果はほとんどないだろう。
まったく関連のない異業種進出は一か八かの賭けの要素が大きく、失敗する場合が大きい。
グンゼもそうだが、東洋紡や東レ、帝人などの異業種進出は、本業からの技術応用の効く部分から手を付けたことが良かったのだと思う。
ちなみにグンゼは通期決算で、
通期の業績見通しは、連結で売上高1435億円(7.3%増)、営業利益35億円(13.5%増)、経常利益34億円(3.5%増)。アパレル部門は売上高748億円(0.4%増)、営業利益16億円(61.1%増)の計画。
を見込む。