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南充浩 オフィシャルブログ

「ウールのフェイクファー」とか「本物に見えるフェイクファー」をもっと売り込むチャンスなのに

2018年7月26日 産地 0

リアルファーに対する風当たりが強まってきたが、リアルファー業界からの反撃も始まった。
リアルファーVSフェイクファーの宗教戦争は、ドイツ30年戦争のようにこれから長い間続くのだろうと思う。
個人的には右翼と左翼の対立のように、どちらかがどちらかを殲滅するまで終わらないだろうと思う。
まあ、それはさておき。
だったらこの隙に乗じて、ウール100%のフェイクファーをもっと拡販してしまえばどうだろうと個人的には思っている。

岡田織物のウール100%(毛足部分)のシープフェイクファー


 
ウール100%のフェイクファーなんて実は10年以上前から業界には存在する。
フェイクファーというのは通常、ポリエステルやナイロンやアクリルを使って毛足を再現するが、その代わりにウールを使うだけのことで、原材料費の高低という問題はあるにしても、技術的にはそう難しいものではない。
さらにいえば、これだけ良くも悪くも「フェイクファー」が注目されているんだったら、日本で唯一のフェイクファー産地である高野口産地はもっとニュースを発信すべきではないかと思う。
当方が初めて高野口産地の仕事に携わらせてもらったのが、2010年頃のこと。
産地企業にさまざまなフェイクファーを見せてもらったが、やっぱりフェイクファーは合繊独特の手触りがある。
その中に、まるで本物のファーみたいな手触りのフェイクファーが何種類かあった。
フェイクファーの作り方を簡単にいうと、基布があって、その基布の編み目・折り目から糸を垂直に出す。
そして裏をバインダーで止める。
この出した糸がファーの毛足になり、バインダーの工夫で、できるだけソフトでなおかつ毛が抜けにくいというのが理想的なフェイクファーであり、高野口産地はそれを売りにしている。
基布と毛足は別の素材組成になる。
だからウール100%のフェイクファーも基布は合繊生地になる。
しかし、毛足の部分がウール100%になると、まるで本物の毛皮のような手触りになる。
言葉で表現するのは難しいが、合繊のフェイクファーは脂分がなく、キシキシした手触りがある。
これに対してウールのフェイクファーは、脂分があるのでしっとりした手触りになる。
カツラでも合繊毛髪だとキシキシした手触りだが、人毛カツラは脂分があるからしっとり、ぬめぬめした手触りになる。
それと同じような感じである。
せっかく10年以上前からあるウールのフェイクファーを高野口産地はもっと積極的にアピールすべきではないかと思う。
今が絶好の好機ではないか。
それに加えて、高野口産地には、「合繊フェイクファーだけで限りなく本物に見えるフェイクファー」というのもある。
本物のキツネとかミンクに限りなく近く見えるという優れものだ。
これも10年以上前から産地にはある。
特にこの「本物に見えるフェイクファー」は産地の中でも岡田織物が得意とするところである。

岡田織物の本物に見えるフォックスフェイクファー


 
もちろん手触りは合繊フェイクファーとは変わらないが、見た目は本物のキツネやミンクにそっくりである。
これも大いに発信されるべきではないかと思う。
もちろん、産地合同展示会ぷわぷわも毎年開催されて発信はしているのだが、展示会開催以外の情報発信は本当にほとんどない。
一部の業界新聞が定期的にごく小さく報道する程度である。
一般紙、経済紙、ウェブメディアではまず見ない。
それにそのごく一部の業界新聞だって、産地側から発信しないと、時々巡回に来てネタを拾ってやっと掲載される程度にしかならない。
最近だと各地の産地でブログで近況を報告している企業も増えてきたが、残念ながら高野口産地はそれもない。
以前にも、「フェイクファーの名称を変更しよう」という会議があったときに結局はそれも果たせず、その1年後か2年後に欧米で「フェイクファーをエコファーと呼び変える」という動きになって、悔しい気持ちになったことがあると、このブログで書いたが、今もそういう歯がゆさを感じている。
高野口産地に限らず、どこの産地でも業界団体でも「組合全体が足並みをそろえて発信する」「足並みをそろえてアクションを起こす」というのは不可能である。
個人だって10人いれば意見がそれぞれ異なって意識統一することは難しい。
組合に加入している企業は10どころじゃないし、それぞれの企業も何十人というスタッフを抱えている。
だからどんなに良い議案でも必ず反対者は出るし、反対者に考慮すればするほどアクションは起こせない。
もっとも良いのは少数の企業が独断でアクションを起こすことなのだが、産地でそれをやる企業はそれほど多くない。
まあ、産地企業からすれば「そんなめんどくさいことをせずとも、既存の取引先でそれなりに食えている」ということなのだろうけど、なんとももったいないと思う。
ちなみに高野口産地のフェイクファーは安くはない。
1メートル1000円を越える生地は珍しくない。
先ほど紹介した岡田織物もネット通販でウール100%のフェイクファーや本物みたいなフェイクファーを売っているが、1メートル5000円以上になる生地もある。
しかし、高い生地だからこそ、注目が集まりやすい今、発信して「高くても欲しい」という状態にすべきではないかと思う。
それを怠ると海外(とくにアジア)の生地がまたそういう需要をかっさらうのではないかと思う。
後発の海外企業が儲けるくらいなら国内企業に儲けてもらいたいと思うのだが。

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