夏と冬の年二回バーゲンにこだわるのはオッサン連中のノスタルジーに過ぎない
2018年6月20日 考察 0
百貨店とルミネの「夏と冬の年2回バーゲン」にこだわる姿勢は、多分、オッサン・オバハンのノスタルジーなのだと思う。
なぜそう思ったのかというと、謎の美人(多分)ツイッタラーちまきさんがこんな返答をくれたからだ。
でも気持ちわかります。
理想論、セレクト初期時代を知ってる理想論。もはや世界が赦してくれない理想論。昔セール初日に長蛇の列。
今やそんな光景も見なくなりました、いつもセール価格だから。— ちまき (@chimakizushi2) 2018年6月19日
多分美人のちまきさんは、きっと40代くらいなのだと思う。
40代だと、こういう風景を若い頃に見たことがある。
48歳の当方だと若い頃に見た風景はセレクトショップではなくてDCブランドの長蛇の列だった。
恐らく、当方の高校生の頃(86年春~89年春)はデザイナーズキャラクターズブランド(DCブランド)の人気がピークだったと思う。
当方は大学を卒業するまでファッションに興味がなかったから、DCブランド人気はテレビのニュースで見るだけだった。
当時は、「たかが服を買うためになぜ並んでいるのか?」と不思議でしょうがなかった。衣料品の仕事をし始めてそういう消費行動も理解できるようになったが、本音を言うと今でもたかが服を買うために何時間も並ぶのは嫌いだ。
並ぶという行為そのものが嫌いで、行列のできるラーメン屋とか行列のできるスイーツとかは行ったことがない。
何時間も並ぶくらいなら、不味くて空いている店で食った方がマシだと思っている。
まあ、当方の嗜好はさておき、当時はアトリエサブだ、ビギだ、ナイスクラップだ、コムサだ、というDCブランドのバーゲン時にはオープン前から長蛇の列ができていた。
これは事実だ。
しかもバーゲンで半額と言っても定価が高いから、それでも高い。
10万円のスーツが5万円みたいな価格でもそれでもみんな買っていた。
かくいう当方だってブームがピークアウトし始めた93年か94年にバーゲンで6万円に値下がりしたアトリエサブの黒無地スーツを買った。
今なら、ジーユーで上下セットを5800円くらいでしか買わないのに。(笑)
どうして、ケチで貧乏な当方が6万円の黒無地スーツを買ったのかというと、安い店にはそれが売っていなかったからだ。
洋服の青山にもはるやまにも黒無地スーツは略礼服しか売っていなかった。
だから嫌でもDCブランドで買うしかなかった。
洋服の価格低下を嘆くブランドは多いが、このころみたいに「高い店にしかない差別化された商品」があれば、消費者は嫌でも高い服を買う。安い服が売れているのは、高い服と安い服の見た目がほとんど変わらなくなったからで、高いブランド側の商品企画の内容が低下しているからだということを自覚すべきである。
で、百貨店やルミネが追い求めているのはこのころの消費なのだろうと思う。
高い定価設定でも飛ぶように売れ、夏の終わりと冬の終わりにわずかに残った在庫を少しだけ値引いて売り切ってしまう。
これが彼らの掲げる理想で、その理想は少なくとも20年前には崩壊していることをまだ納得していないのだろう。
しかし、昨日も書いたように、ユニクロのフリースブームから20年が経過して、低価格SPAが消費者に浸透してすでに15年以上が経過している。低価格SPAは売れ残った商品を随時自動的に値下げして、セール品コーナーが常に店内にある。
またネット通販が浸透してすでに10年近くになる。
ネット通販の集客方法は値下げである。
楽天スーパーセール、ZOZOTOWNの割引クーポンのばら撒き、Amazonのタイムセールすべて同じ理屈である。
アダストリアのドットエスティだってタイムセール乱発中だ。
SPAとネット通販の値下げに慣れてしまった消費者が今更、夏の終わりと冬の終わりまでおとなしく待てるはずがない。
百貨店とルミネが理想とするバーゲンの風景はSPAブランドとネット通販が消滅してしまわない限りは実現されることは絶対にない。
そのことを理解していないのではないか。
48歳の当方ですら、DCブランドブームの狂乱をうっすらと覚えている。
ましてやそのころには就業していた50代以上の今の流通幹部にとっては、そのころの成功体験は鮮明に残っているのだろう。
しかし、年配層がノスタルジーをいくら追求したところで、時代が逆戻りすることはあり得ない。
当方の父親は若い頃、金がなくなったらよく質屋に時計を入れていたというが、今ならメルカリで販売することだろう。
質屋がすべてなくなるわけではないが、それでもかつての質屋がすべて残っているわけでもない。
もうメルカリを消滅させることはできないし、メルカリがなくなったところでヤフオクは残る。
アパレルの上層部も流通の上層部もいつまで20年前のノスタルジーの幻影を追い求めるのだろうか。
年配層がノスタルジーを追い求めれば求めるほど現状とは乖離していく。
年配層のノスタルジー追求は百害あって一利もない。むしろ有害だといえる。
アパレルも流通も上層部が現実を直視しない限りはますます苦戦し続けるだけのことである。
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