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南充浩 オフィシャルブログ

ユニクロの売上高は今後も6000億円台に止まる

2011年10月14日 未分類 0

 ユニクロを展開するファーストリテイリングの2011年8月期連結決算が発表された。

売上高     8203億円(前期比0・7%増)
営業利益   1163億円(同12・1%減)
経常利益   1070億円(同13・5%減)
当期利益    543億円(同11・9%減)

と微増収ながら減益に終わった。
減益といっても金額ベースで見ると、営業利益で1000億円を保っているのだから大したものである。

国内のユニクロ事業の単体決算では

売上高     6001億円(前期比2・4%減)
営業利益    1062億円(同16・8%減)

とこちらは微減収減益である。
金額ベースで見ると、相変わらずの好成績であるので、それに対しての特別な感想はない。

現在、ファーストリテイリングは国内のユニクロ事業売上高が社内シェアの73%を占める。
今後は海外売り上げを伸ばすことで、成長を図る。これはすでに発表された通りである。

同社は、国内ユニクロ事業の落ち込みに対して、HP上で次のようにコメントしている。

上期の既存店売上高は、秋物立ち上がりの遅れ、暖冬によるシーズンピーク時(11月~12月)の減収、人気のコア商品の欠品などで、前年同期比9.9%減となり、この結果、上期の営業利益は大幅な減益となりました。

とのことであるが、これは争点をごまかしているのではないだろうか。
まず、秋物立ち上がりの遅れとあるが、昨年は7月20日の手前からすでに「ヒートテック」を店頭投入している。
それに引き続き、8月にはネルシャツ、ウルトラライトダウンなどが投入されており、今年の立ち上がり時期とほぼ変わりがない。
7月20日ごろといえば、世間では夏バーゲンから2週間が経過して、中だるみの時期である。
中だるみではあるが、気温的に考えるとまだまだ秋物は動かない。
日本の夏は気温のピークが8月になるからだ。

秋物が動き出すのは8月のお盆明けからとなるが、この時期に秋物を買うのは、消費者の中でも先行者だけであり、大半の消費者は暑さが落ち着く9月に入ってから買う。
筆者などは暑さが苦手なので、秋物を買うのは、最高気温が25度を下回るようになってからなので、9月下旬以降となる。

そして、ユニクロの主要購買層は、猛暑にあえぐお盆明けに秋物を買うような先行者ではなく、お盆明けにまだ夏物の最終処分品を390円で買うような一般消費者層なのである。
ユニクロの売り上げが「不振」(あえて不振と使わせていただく)なのは、秋物の立ち上がりが遅いからではない。
ユニクロの秋物の立ち上げは早すぎると感じることはあっても、遅すぎると感じたことがない。

逆に今以上に秋物を早く立ち上げるなら、夏セールが始まる前に立ち上げなくてはならない。
夏セールも始まっていないのに、ヒートテックやウルトラライトダウンを並べられたら笑い話としては面白いが、まったく意味不明である。それなら、いっそのこと一年中ヒートテックとウルトラライトダウンを並べた方がよほど効率的だ。

さらにファーストリテイリングの分析で気になるのは、昨年冬を「暖冬」としているところである。
暑さ寒さは体感的なものなので、個人によって感じ方が違う。
たまたまファーストリテイリングの方々が寒さに強く、「暖冬」とお感じになったのかもしれないが、世間的には昨年冬は「比較的冷え込みが厳しかった」と位置付けている。

某肌着メーカーからも「昨年冬は、ある程度冷え込んでくれたので防寒肌着が好調に動きました」とのコメントをいただいている。
自社の都合で気温を捻じ曲げるのはいかがなものだろうか。

もう一つの理由が「人気のコア商品の欠品」である。
人気のコア商品とは、どれを想定していらっしゃるのか文面からでは不明なのだが、
おそらくヒートテック、ウルトラライトダウンあたりなのではないかと推測する。

ヒートテックを例にとると、今年は「全世界で1億枚」販売を目標に掲げている。
昨年はたしか「全世界で7000万枚」だったと記憶している。
単純に国内のユニクロが7割の売り上げを占めているとして、7000万枚の7割は4900万枚。
おそらく5000万枚+αが販売目標だったのだろう。

それが欠品になったということはほぼ販売目標を達成していると考えて良いはずだ。
特定の品番の特定サイズのみが欠品して、その他は余りまくっているという状況は考えにくい。
白のクルーネックの半袖のMサイズのみが欠品して、同じ品番でもSとLがダブついている、もしくはそのほかの品番(黒、グレーなど)が大幅にダブついているという状況はありえない。
やはり、ある程度は均等に売れて、全体として5000万枚+αの販売を達成したと見るべきだ。

そして5000万枚という異常な枚数を欠品させないでおこうとするならば、6000万枚以上の作り込みが必要となる。残り1000万枚が売れれば良いが、売れなければ在庫となる。

柳井正会長は「欠品させるな」ということに異常な執念を燃やしておられるが、その感覚が筆者には理解できない。
500枚を欠品させるなということとはわけが違う。
もし仮に、欠品を恐れて1000万枚多めに担当者が作り込んだとする。しかし、目標販売枚数は達成したが、作り込み分の1000万枚が在庫となった。
そうした場合、柳井氏は担当者を叱責するだろう。叱責だけで済めば良いが降格や更迭、解雇も十分にありえる。

100枚や1000枚の需要予測なら毎年誤差なく的中させられても5000万枚を越える需要予測を誤差なしに的中させるのは、もはや神業である。
そのような神業を持った人間がいるはずもないし、もしいたとしたら、何も柳井氏の下風に甘んじている必要はない。独立しても引く手あまたである。

敢えて不遜な言い方をさせてもらえるなら、柳井氏の考え方ではユニクロは売上高6000億円が限界なのだと思う。おそらく、国内のユニクロは今後も売上高6000億円台をうろうろして、営業利益も微増益・微減益を繰り返すのではないだろうか。

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