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南充浩 オフィシャルブログ

低価格代替品の新規参入はこれからも絶対になくならない ~高機能で3400円という驚きの低価格保温サンダル「SUBU」~

2018年4月2日 展示会レポート 0

洋服・ファッション用品の単価下落を食い止めようと、トゥルーコストだとか情緒に訴えようとする試みがあちこちで見られるが、所詮は、業界人の業界人による業界人のための自己中キャンペーンに過ぎないと見ている。
単価が下がって困るのは業界人の都合だけでしかない。
むしろ、異業種からの新規参入者は終わることがなく、彼らはまだまだ低価格代替品を繰り出してくる。
ドン・キホーテの低価格自社ブランドやダイソーの繊維製品はその一つといえるだろうし、発表だけでその後さっぱり動きが見えないニトリのアパレル参入もそれの大規模なものだといえる。
新規参入者から見れば、アパレル業界の価格は高額だと見えるし、既存ブランドから掠め取れる部分も多いと見えているのだろう。
先日、合同展示会MAG(マグ)で見かけた冬用保温野外サンダル「SUBU(スブ)」も異業種参入組の低価格代替品の一つだといえる。
雑貨卸のイデアポートという会社のオリジナル商品である。

SUBUの2018年秋冬モデル


キルティングのアッパー素材にはテフロン加工が施してあり、中には起毛した生地が貼られている。
クッションインソールは4層でかなりクッション性があり、スニーカーソールの靴底を貼り合わせるのではなく、縫い合わせている。
当方は長らく、冬用のサンダルとして今は廃版になったクロックスの中に起毛素材を貼ったサンダルを履いている。
こちらはEVAの一体成型なので雨でも浸水することはない。
クッション性もまずまずだが極上というほどでもなく、アッパーのソフトさにはややかける。

7年くらい前に買ったクロックス


もう7年ほど前に買ったのだが、当時3800円ほどしたと記憶している。
展示会場でSUBUを試着させてもらったが、クロックスのこれと比べて格段にクッション性が良く、アッパーも柔らかい。
おまけにかかと部分がないにもかかわらずホールド感がある。
小走りくらいならできそうな感じがする。
昨年末くらいに、防水のリラックスシューズを探していたら、ノースフェイスのヌプシが良いと教えてもらった。
形状はクロックスやSUBUと似ている。アッパーは防水キルティングで内貼りも暖かいという。
Amazonと価格コムで安い値段を探すとだいたい8000~1万円くらいで売られていた。まれに7000円台に値下がりする時もあった。
具体的にはこれである。

結局、迷いに迷って購入を見送った。
驚くべきはSUBUの価格である。
この品質でなんと店頭価格3400円で、当時のクロックスよりも安いくらいだ。
思わず「安っ」と声を挙げると、イデアポートの方が「うちは雑貨屋への卸がメインだったので、以前はもっと安い値段だったんですよ」と説明してくれた。
昨年の店頭価格はなんと2950円でこれでも今秋冬モデルからは、セレクトショップからの要望で値上げしたという。
安さと高品質が相まって、昨年秋冬は2か月で5万足の受注があったといい、今秋冬モデルも4月下旬のオーダー締め切り時には昨年以上の受注数が見込まれているという。
そう、雑貨業界は基本的に店頭販売価格が安い。
ダイソーしかりドンキしかり、フライングタイガーしかり、パル最大のブランド「スリーコインズ」しかり、である。
1000円もあれば、最低でも数点は買えるというのが雑貨業界の平均価格である。
イデアポートはこのSUBUに関してはセレクトショップや洋服専門店へ卸売りをしているが、2000円台の高機能サンダルはこちらの業界では異様に安いと受け取られ、値上げ申請が相次いだという。
そりゃそうだ。3400円でも安いのに2950円なら当方なら2足まとめて色違いで買ってしまう。
今秋冬は6色展開で、新商品としてはアッパーにコーデュラを採用したものがあり、こちらは6800円だという。
セレクトショップあたりだと6800円でも十分に安いだろう。
ファッソニスタどもは2950円や3400円の商品を小ばかにするが、一度店頭で販売してみてはどうか。
3000円前後という商品は販売員の側からするとひどく美味しい。
3000円前後なら大抵誰でもが月に1度くらいは買える。だからこのSUBUだって色違いで何足か買う人がいるし、そうなることは当然だといえる。
しかもこれを3人の人が1日で買ってくれれば、売上高は1万円になる。
1日9人の購入で3万円弱。有名店や人通りの多い店なら1日9人に3000円を売るのは難しくない。
高機能で3000円の商品なら絶対に売れる。
それで毎日、3万円弱の売上高のかさ上げができる。
販売員や店長にとっては美味しい商品だということがわかるだろう。
一日の売上高が6万円と9万円では大きく異なる。
自分で販売員や店長をやったことがないファッソニスタやザ・業界人はこの3万円のかさ上げの意味がわからないだろう。
だから、消費者から支持されないのである。
1日に9万円が売れるようになれば、1か月で270万円の売上高が稼げる。
年間で3240万円の売上高になる。
人気店・有名店と気取ってはいても、1日に9万円、1か月に270万円未満の売上高の店は掃いて捨てるほどある。
ファッソン業界なんて所詮は、見栄張りの栄養失調者みたいなところがある。
このSUBUも新規参入者の低価格代替品といえ、旧業界人がいくら規制しようと、情緒に訴えかけようと、この手の新規参入者はなくなることはないし、彼らによる高機能低価格代替品の提案もなくなることはない。
彼らに負けないためには、情緒に訴えたわけのわからんキャンペーンをやることではなく、しっかりと自社のブランドを確立すべきで、低価格ではないがそれでも「欲しい」と思わせることを考えるべきであり、これまで旧業界人はそこを考えなさ過ぎたということでしかない。
あまりにも情緒、マインドに訴えかけるのは新興宗教臭くなるためかえって逆効果でしかない。

NOTEの有料記事を更新~♪
5年後ダメになっているアパレルを3つ挙げてみたよ
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/nebd50266b6df
あと、インスタグラムもやってま~す♪
https://www.instagram.com/minamimitsuhiro
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こちらからもSUBUは買えるよ。

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