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南充浩 オフィシャルブログ

大阪でスタイリストにスポットを当てる意味がない

2011年8月10日 未分類 0

 またそろそろ、神戸コレクションと東京ガールズコレクションの季節である。
この2つは一大イベントとして定着した感がある。
その知名度を持って、各地方を巡業することもまあ、興行面で見れば意味はあると思う。

この2つがありながら、まったく別の興行主が類似イベントを開催する意味はあるのだろうか。
正直に言って、あまり意味がないと感じる。

なぜなら、登場するタレントモデルと彼女らが着る服が違うだけで、それ以外は何の新規性もない。
だったら、いっそのこと2つのイベントが各都道府県を交互に巡業した方がわかりやすい。
TGC大阪コレクションとか神戸コレクション岐阜みたいな感じで。

もはや、コレクションというよりもどんなタレントが出てくるのか?その一点にしか観客の興味はないだろう。
極端に言えば、ステージ上を歩くタレントモデルが全員ユニクロかトップバリュを着ていても観客は満足するだろう。
彼女らは服を見に来ているのではなく、タレントを見に来ているのだから。

大阪はファッションイベントの開催手法に苦しんでいる。
旧大阪コレクションが終わってから、迷走状態にあるとも感じる。
昨年から「大阪スタイリングエキスポ」と名前を変えてリニューアルスタートした。

これまで旧大阪コレクションが、デザイナーやクリエイターに焦点を当てたものだった反動からか、
消費者イベントを模索しているが、華々しい効果がない。
大阪スタイリングエキスポでは、何故だか「スタイリスト」に焦点を定めている。

スタイリストという職業は昨今の若者に人気である。
それは分かる。

じゃあ、スタイリストという職業に「大阪」という土地でスポットを当てる必要性があるのだろうか?
自分はほとんど必要性を感じない。

なぜならば、スタイリストという職業が最も華々しく活躍するのは、テレビ番組であり、ドラマであり、雑誌であり、映画である。
もちろん舞台劇や、各メーカーのカタログ製作、各ファッションショーでの仕事があるのも承知している。
しかしながら、上記の需要が最も多いのは、東京である。
昔は大阪でも番組制作、雑誌作成、映画撮影が相当数あった。
だが、バブル崩壊以降、大阪での作成数は激減しており、東京への集中がより鮮明となっている。

果たして今、大阪でスタイリストの活躍する場がどれほどあるのだろうか。
さらに言うなら、すでに関西を拠点とするベテランスタイリストが犇めいてる中で、若者がスタイリストとして関西でどれほどの仕事を獲得できるのだろう。
残念ながらほとんど仕事は獲得できないだろう。

こうして考えると、大阪で「スタイリスト」に焦点を当てる意味はあまりないように思える。
むしろ、スタイリスト志望の若者を東京へ排出する方が現実的ではないだろうか。
大阪でスタイリストにスポットを当てたイベントを開催するよりも、スタイリスト見習いとして東京へ旅立つ若者に餞別代りに助成金を渡した方が有効ではないのかとさえ思う。

かと言って、90年代半ばのように若手デザイナーが若者から注目を集めているご時世でもない。
デザイナー主体のイベントでなくなるのはわからないでもない。
しかし、反対に、そういうご時世だから若手デザイナーや新進ブランドを集めたイベントがどこかの地域では必要なのではないかとも思う。
タレント、スタイリスト、というキーワードでは、どの興行主も神戸コレクションとTGCには足元にも及ばないだろう。
あえて、各地域の新進ブランドや若手デザイナー、モノ作り系のファクトリーブランドなどを集めてみても面白いのではないか。

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