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南充浩 オフィシャルブログ

ライトオンとジーンズメイトは赤字、アダストリアとしまむらは大幅減益に

2018年1月4日 企業研究 0

あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
昨年と言っても、まだほんの数日前のことに過ぎない(要するに年末)が、ライトオンの第1四半期決算が発表された。
2018年8月期の第1四半期決算は
売上高が173億7700万円(対前期比12・9%減)
営業損失4億1000万円
経常損失4億2000万円
当期損失4億3300万円
と大幅減収赤字に終わった。
むろん、まだ3か月が終わっただけの数字なので今後挽回することは十分に可能だが、厳しい結果が出たといえる。
以前から指摘されている不良在庫が引き続き店頭で見受けられることと、同社によると秋物の売れ行きが不調だったことがその原因に挙げられている。実際に店頭で見ると、一昨年の春夏物や秋冬物が投げ売り処分されていることが多く、相当に在庫を抱えていることが店頭から推察される。
余談だが、中には掘り出し物もあってそれが990円くらいで投げ売られているのだから、店頭回りはやめられない。
個人的に昨年秋にライトオンの店頭で見つけた掘り出し物(買わなかったが)は、アヴィレックスの綿厚手素材のミリタリージャケットでこれがなんと1900円くらいに値下げされて投げ売られていた。9割引きくらいの価格だ。
こういうお宝がライトオンの店頭投げ売り品には散見される。
続いて、ジーンズメイトの第3四半期決算も振るわない。
2018年3月期第3四半期決算は
売上高63億8800万円(対前期比4・8%減)
営業損失4億4700万円
経常損失4億4200万円
当期損失3億200万円
の減収赤字に終わった。
ジーンズメイトがライザップ傘下になって第1四半期決算だけは黒字回復したが、それ以降は前期同様に赤字が続いており、第1四半期の黒字回復は数字上のつじつま合わせに過ぎなかったとしか思えない。
通期では営業利益3億円、経常利益3億300万円、当期利益4億円を見込んでいるが、あと3か月でどうやって黒字転換させるのかまったく意味がわからない。見込むだけなら誰でもできる。
通期で3億円の黒字回復させるということは現在の4億円の赤字を補ってのことになるので、あと3か月間に7億円の黒字を作る必要がある。3か月間で7億円もの利益を稼げるような店頭にはとても見えない。
報告書には同社の取り組みが書かれてあるので抜粋して紹介しよう。
まず、このブログでも何度か紹介した汗染み防止加工「ゼロステイン」Tシャツは好調なようで前年比3倍強の17万枚を販売したとある。
たしかに性能的には申し分ないのでこれは納得がいく。
一方、プライベートブランドの売上比率が32%から37%へと高まったとあるが、それはプライベートブランドが大ヒットしたというよりは、ナショナルブランドを含む他社仕入れ製品の売れ行きが苦戦したため、自動的に売上比率が高まっただけではないのか?
晩秋以降のリーバイスジーンズ半額セールはすさまじかった。
6500円のリーバイスジーンズが3250円に値下げされて売られていた。
経営陣が変わっても変わらないジーンズメイトの値下げ販売手法のすさまじさと、6500円商品を販売するリーバイスの低価格戦略の両方に驚かされた。
また業界やメディアからは「好調」「勝ち組」と見なされていた企業の決算も厳しい。
まず、アダストリアホールディングスだ。ぶっちゃけていえば大幅減収である。
2018年2月期第3四半期の業績は、
売上高1632億6900万円(前年同期比9.6%増)
営業利益68億9000万円(49.5%減)
経常利益71億3800万円(47.6%減)
当期利益65億9400万円(41.0%減)
とほぼ利益が半減している。
アダストリアホールディングスの幹部のボーナス支給額が減額されたと伝え聞いたが、当然の措置といえる。
減益の理由は在庫処分を進めたためと報告書にあるが、同社の通販サイトであるドットSTを見ているとそれを感じ取れる。
ライトオンと同じで一昨年の秋冬物の在庫品が安値で販売されているからだ。
さすがに990円ほどの値引きはないが60%オフは珍しくない。サイズが合って気に入った色柄があるならお買い得だ。
特にベーシックなデザインのアイテムはこの際に買っておくとあと数年間くらいは着用可能だ。
また、しまむらの業績も芳しくない。大幅減収だ。
2018年2月期第3四半期決算は、
売上高4269億1200万円(前年同期比0.4%減)
営業利益350億8500万円(11.3%減)
経常利益359億6300万円(11.3%減)
当期利益239億7400万円(9.3%減
となった。
報告書には取り立てて大幅減収の要因は説明されていない。
もちろん赤字でもなく350億円もの利益を上げているので、それはそれで優秀だといえるが、通期で見込んでいる増益を達成できるかどうかはかなり怪しいのではないかと見ている。
あと3か月で増益に転換できるとはとても思えない。
増益は2期連続でストップするのではないだろうか。
以上の4社は、一昨年に「陰りが見えたユニクロ」に対して「勝ち組」とメディアで評された4社だが、メディアの見方がいかに甘いかということが証明されたのではないかと思う。
逆に2017年はユニクロの強さが改めて浮き彫りになった。
赤字のライトオン・ジーンズメイト、大幅減収とはいえ黒字のアダストリア・しまむらとは区別して考える必要はあるが、この業績ではどう見ても「勝ち組」には見えない。
「ユニクロに死角あり」みたいなピントのズレた記事が定期的に掲載されるが、ユニクロよりも例えばこの4社の方がよほど死角が多くて大きい。
4社以外のアパレルの死角の多さ・大きさなんていうのは言わずもがなだ。
「ユニクロ以外の死角」をまとめてみてはどうか。そちらの方がよほどアパレル業界のビジネスにとっては役立つのではないか。
メディアの読みが簡単に外れるのは結局、対前年の増減比率だけを見て論じているからで、%表示で減れば「苦戦」、%表示で増えれば「好調」「勝ち組」という単純に判別しているからであり、それに立脚しているアナリストやコンサルタントもことごとく同様の誤りをおかしてしまう。
2018年も引き続き、ユニクロ一強VSその他弱者連合というアパレル業界の構図が継続するだろう。

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ウィゴーの筆頭株主が4か月で変更に
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/na278bc65821b
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