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南充浩 オフィシャルブログ

弱者が強者に追随する衣料品業界の悪循環スパイラル

2011年7月12日 未分類 0

 マーケティングの基本的な理論として、「ランチェスターの法則」というものがある。
わざわざ自分ごときが、解説をせずとも、もっと能力のある方々はこの法則をご存知で、日々運用されていることと思う。
恥を承知で書く。

武器や装備が同じ軍隊が戦った場合、人数の多い方が勝つということが大前提とされており、そこから「強者の戦略」と「弱者の戦略」が導き出される。手短にまとめると、

「強者の戦略」というのは、スケールメリットを生かして人海戦術、物量で圧倒する追随主義であり、
「弱者の戦略」というのは、奇襲による一点突破主義である。

牛丼チェーン店の例で見ると、業界1位のすき家は「強者」、業界2位の吉野家は「弱者」といえる。
吉野家が牛丼値下げを発表すると、必ずすき家が追随して値下げする。しかも吉野家よりも10~20円安くして、相手のキャンペーンを無効化する。
これが代表的な「強者の戦略」といえる。

衣料品業界で見ると、現在、ユニクロは圧倒的な強者である。
単体で売上高6000億円、連結で売上高8000億円となっている。(2010年8月期)
吉本流のボケを入れるなら「6000円置くのとちゃうで~」ということになろうか。
衣料品業界で苦戦している業者は多々ある。その中でユニクロと価格帯がぶつかる企業を選ぶならイオンやイトーヨーカドーなどの量販店・GMSだろう。
こと衣料品に限ってみれば、イオンもヨーカドーもユニクロよりも規模が小さい。彼らは「弱者」ということになる。

しかし、新しい仕掛けはユニクロ(ジーユーの場合もある)が先行し、イオンやイトーヨーカドーが追随する。
強者が先行提案し、弱者が追随するという珍しい現象が何年も前から起きている。
フリースしかり、カシミヤしかり、ダウンジャケットしかりである。一時期だけの限定ブームだった1000円以下のジーンズもそれに当たる。
ジーユーが990円ジーンズを先行提案し、イオンやイトーヨーカドーがそれに追随して、その下をくぐる値段を打ち出した。結果的に1000円以下のジーンズはあっという間に廃れてしまったのだが、先行提案したことからジーユーの知名度は高まった。
イオンやイトーヨーカドーには何かメリットがあったのだろうか?
「ゴミのように」処分された不良在庫が増えただけではないのだろうか。

過去、量販店の利益の大部分を衣料品が稼ぎ出したという時代がある。
バブル崩壊直前までがそういう時期だったようだ。
日々の売上高を食料品や日用消耗品が稼ぎ、利益を衣料品で稼ぐというのが、量販店が確立した基本的なビジネススタイルだと言われている。
しかしバブル崩壊以降、その利益の源泉となる量販店の衣料品が不振を極めている。
だから、イオンもイトーヨーカドーもその他量販店も、衣料品の復活を目指して20年間もがき続けている。

その結果、「強者ユニクロ」に追随するというありえない弱者戦略を取り続けて、悪循環スパイラルを深めているように見える。

量販店の衣料品の採るべき道は2つあり、

1つは肌着、靴下、パジャマなどの実用消耗衣料に特化すること
もうひとつは、強者ユニクロに先んじて、目新しい仕掛けを次々と打ち出すこと

だと考えている。
実用消耗衣料への特化は、確実性はあるが利益幅は薄い。
もう一つの新しい仕掛けは、当たれば大きいが外れると痛手を被る。

どちらを選ぶかは経営陣の判断次第だが、どちらも厳しい道であることは間違いない。

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