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南充浩 オフィシャルブログ

グンゼYGカットオフはエアリズムシームレスより圧倒的に優れた商品

2017年6月27日 商品比較 0

 毎年、夏になると大量の汗をかくので着るものに困る。
若いころは、「イタリアでわー」とか「欧米でわー」の意見を参考にして、素肌にワイシャツを着てみたこともあるが、汗で濡れすぎて外回りはとても無理だった。

「イタリアでわー」とか「欧米でわー」の奴らは冷房の効いた部屋で内勤しかしていないんじゃないかとさえ思う。

吸水速乾肌着も試してみたが、汗をどんどん吸ってその上に着ているシャツにどんどん放湿するので、シャツに汗ジミが目立つだけだということがわかった。

通常の綿肌着はちょっと分厚いので、ワイシャツの下には良いが、Tシャツやポロシャツの下にはゴワつく。

そんなわけで、既存の商品、着用法はどれも自分には向いていないので、なんだかんだとだましだまし夏を過ごしていた。

ところが、昨年、グンゼからYGカットオフのサンプルを頂いた。
最初のうちは、通常のあれと変わらないと思って放置していたのだが、物は試しと着用してみたところ、非常に良かった。

綿55%・ポリエステル30%・ポリウレタン15%だが、生地が非常に薄い。
生地が薄い上に、Vネックが深いので、ためしに通常のTシャツを上に重ねてみたところ、まったく表からは見えない。こりゃ良いわ、ということで、昨年の8月はその1着を毎日洗濯しては着用していた。

生地が薄いので、吸水速乾肌着のように上に着たシャツ類に汗ジミができるのではないかと思ったが、それもほとんどない。

グンゼYGカットオフはかなり優秀だという結論に昨年夏達した。

価格は税抜きで1500円だが、まあ、それくらいの価値はある。

そうしたら、今年の夏用に腋パッドが付いた新型のカットオフをいただいた。
こちらは綿30%配合で少し組成が異なっている。

これも試してみて、何の問題もないが、昨年版と生地を触り比べるとわずかに硬さが感じられる。
触り比べないと気付かないレベルではあるが。

これで合計2枚になったので、あと3枚くらい買おうと決心した。

今年6月にAmazonから20%オフのタイムセールの案内が来た。
グンゼYGカットオフを探すと、半袖のクリアベージュ色はすでに品切れしていたが、ノースリーブは残っていた。
1620円(税込み)の2割引きで2枚買った。1296円(税込み)×2で2600円弱である。

そうこうしているうちにユニクロのチラシも入った。
グンゼYGカットオフの類似品、エアリズムシームレスwが990円に値下がりしている。

ちなみにグンゼYGカットオフとエアリズムシームレスの定価は同じ1500円(税抜き)である。

そんなわけで、両商品を着用して比べた感想をまとめてみたいと思う。

結論からいえば、値引きなしの定価販売なら迷わずグンゼYGカットオフを買うべきである。

グンゼYGカットオフの生地組成は先ほど書いた通りだが、エアリズムシームレスの組成はナイロン84%・ポリウレタン14%であり、筆者は世間の中高年男性ほど合繊嫌いではないが、この合繊100%という組成にはちょっと抵抗感がある。

なんだかサッカーのユニフォームのような感じがする。

実際に着用してみると、心配したほど着心地は悪くないが、綿混生地に比べるとやっぱり「合繊感」はぬぐえない。

グンゼYGカットオフが存在しなければこの商品でも良いのだろうが、グンゼYGカットオフが存在するとなるとちょっとこれを優先的に選ぶ理由がない。

サイズ感だが、グンゼYGカットオフはタイトに作られており、筆者でLサイズだが、エアリズムシームレスはゆとりがあり、筆者はMサイズである。

また、売りである「シームレス(縫い目なし)」という表記も疑問だ。

なぜなら縫い目はかなりたくさんあるからだ。むしろグンゼYGカットオフの方が縫い目が少ない。

まず、袖の取り付け部分である両方の肩口の縫い目と、ネックの両横の縫い目は両商品共通だから良いとする。

グンゼYGカットオフはこの4つの縫い目だけしかない。

一方、エアリズムシームレスwは身頃の両脇、裾に縫い目がある。
グンゼYGカットオフは胴体は縫い目なしで、裾も縫い目なしの切りっぱなしである。

エアリズム1

(エアリズムシームレスの全体)

エアリズム2

(エアリズムシームレスの裾の縫い目)

エアリズム3

(エアリズムシームレスの両脇の縫い目)

グンゼYG2

(グンゼYGカットオフ 皺くちゃで申訳ない)

グンゼYG

(縫い目のないグンゼYGカットオフの裾)

グンゼYG3

(両脇にも縫い目のないグンゼYGカットオフ)


にもかかわらず「シームレス」を名乗ってしまうユニクロの厚かましさと、「カットオフ(切りっぱなし)」としか名乗らないグンゼの謙虚さの対比に思わず笑ってしまう。

ユニクロをここまで押し上げた原動力の一つが「厚かましさ」「厚顔さ」というものがあるが、多くの人がユニクロ商品を買いながら、心のどこかで反発を覚えるのもこの「厚かましさ」「厚顔さ」にあるのではないかと思う。

990円に値下がりしたときなら、エアリズムシームレスwを選ぶという選択肢はあるだろうが、定価で買うことは今後絶対にない。

それにしても、エアリズムシームレスはどうして「ナイロン84%」という組成なのだろうか。
これは一度ユニクロに正式に尋ねてみたいが、現時点で、個人的な推測をいうと、ナイロンの方がポリエステルに比べて、「柔らかさ」「吸湿性」がある。
この部分に着目したのではないかと推測する。

だが、エアリズムの前身の「サラファイン」のときには、キュプラも混ぜられていたはずだ。
再生繊維であるキュプラはポリエステルやナイロンよりも吸湿性があるし、天然繊維に近い触感もある。

キュプラは概して高額な素材なので、サラファイン発売時には、キュプラを使ってあの価格という驚きがあったが、今のエアリズムにその驚きはまったくない。
むしろ、合繊100%という組成に驚かされる。

また価格設定も微妙だ。
合繊100%という組成から考えると1500円というのは割安感はない。

ヒートテックでもそうだが、他社の類似品の方がはるかに安い。
無理にユニクロで買う理由が見当たらない。

もちろん、スポーツブランドの本格商品に比べると安いが、吸水速乾にしろ保温にしろ、通常のサラリーマンにそんな高機能肌着は必要ない。
コスパだけで考えるなら他社の類似品の方がはるかに良い。

ワークマンとかドン・キホーテあたりでそろえるのがもっとも機能性が高くてコスパが高いのではないかと思う。

一方、グンゼの商売下手・宣伝下手にも歯がゆい思いがある。

「良い物を作っていれば必ず売れる」ということは、フィクションの世界にはありえても現実世界ではありえない。
現実にグンゼYGカットオフがそうではないか。

ユニクロよりも素材面も縫製面も圧倒的に優位に立ちながら、知名度・販売数量では圧倒的に負けている。
商品が悪いのではなく、売り方・見せ方・伝え方が下手くそだからだ。

グンゼは物作りをさらに追求するのではなく、売り方・見せ方・伝え方を工夫すべきだ。

売れるために「素材・縫製の品質をもっと強化します」なんてことをやらかすと、昨日のブログで書いた靴下工場のような憂き目にあう。
強化すべきポイントはそこじゃない。

そのことを理解していない国内企業が繊維業界には多すぎる。

インスタグラム始めました~♪
https://www.instagram.com/minamimitsuhiro/



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