COACHの中国生産比率の高さに驚いた
2011年5月17日 未分類 0
米国のブランド「COACH」が中国生産比率を下げ、インド、ベトナム、フィリピンでの生産比率を高めると言う記事が掲載された。
http://news.livedoor.com/article/detail/5559713/
英フィナンシャル・タイムズ中国語版によると、米の高級革製品ブランド・COACHが同社製品の中国生産比率を大幅に縮小する。
記事によるとCOACHのルー・フランクフォート最高経営責任者(CEO)は、今後5年以内にインドやベトナム、フィリピンなどの低賃金の国に工場を開設し、中国での生産比率を現在の85%から40%~50%に縮小することを明らかにした。
とのことである。
驚いたうちの一つは「COACH」の中国生産比率は85%にも達していたことである。
日本の各国内ブランドも中国生産比率は90%近い。店頭価格は数倍違う(もちろんCOACHの方が高い)が、原価率は国内ブランド製品と似たような物であろう。
これを「ブランディングがしっかりしていて、ビジネス的に素晴らしい」と見る方々もいれば、
「日本で9800円で売られてる中国製のバッグとさほど原価が変わらないのに、暴利を貪っている」と見る方々もおられるだろう。どちらも正解であり、自分はついつい後者と見てしまう。
ただ、納得いかないのは、人件費の安いインド、ベトナム、フィリピンに生産拠点を移しても、おそらくCOACHは店頭価格を変えないだろうということである。
ブランドの価値を一概に原価で決めるのはおかしいことは重々承知しているが、
人件費を削減しているのに、同じ値段で販売されるのは、何か釈然としない。
それにしても人件費の安い国を探して生産拠点を移していくというこの「焼畑農業」的な手法はなんとかならないものだろうか。
日本のブランドも同じことをしているし、欧米の一流ブランドも同じことをしている。
これで次にインド、ベトナムの人件費が高騰したら次はどこへ移すのだろうか?
すでに一部の情報ではアフリカの工場も人件費が上昇しつつあるという。
最後は回り回って、全体失業率21%・若年層の失業率は40%を越えるスペインあたりの失業者を超低賃金で働かせるのであろうか?
衣料品・服飾雑貨の価格は「あってないような物」である。
家電や自動車などの工業製品ほど価格差と性能差がはっきりしていない。
高級な服地を使用した高額衣類だから、逆に耐久性が悪かったりする。
低価格服地の方が耐久性は上であることも多い。
COACHも日本のバッグブランドも同じ中国生産なのに価格は数倍以上違う。
これほど価格と価値のバランスが分かりにくい商品もない。
以前にも書いたように、国内で流通している製品は、低価格品と高額品の差がどんどん接近している。
色・柄・デザイン・シルエットの分野までがほぼ均等化しつつある。
だからこそ、アホみたいに高いブランドを持つことがステイタスではなくなっていることは、自然な流れといえる。
「高額ブランドが売れないのは、消費者が退化したからだ」と嘆く方もいらっしゃるが、成熟社会化すれば、背伸びをして高額ブランドを買う消費者は減って当たり前であり、欧米がすでにそうなっている。
アホみたいに無意味な高額ブランドは成熟化した日本の社会(一部の愛好者を除いて)には不要である。