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南充浩 オフィシャルブログ

アパレル業界はOEM業者も淘汰される時代へ

2016年11月17日 考察 0

 友人の知り合いのOEM会社が廃業を決意したと聞いた。

理由は、倒産案件に引っかかったことと、1社の大手からの取引がなくなったことである。
経営者が高齢にさしかかっていることもあり、「今の業界情勢では、代わりになるような大手は見つけにくい。小さい先を新たにいくつも集める気力もない」との判断から廃業を選択されたと聞く。

たしかに、今のアパレル業界では、大手の寡占化が進んでおり、それに追随できるような成長企業も生まれていない。

ざっと思いつくままに挙げてみる。
ファーストリテイリング、しまむら、アダストリア、ストライプインターナショナル、ユナイテッドアローズ、ベイクルーズグループ、ジュン、トゥモローランド、ウィゴー、バロック、マークスタイラー、マッシュスタイリングラボ、などだろうか。

これらの企業にはすでにいくつもOEM業者が食い込んでおり、新たにそこに割って入ることは容易ではない。
相当の値引きを提示するか、相当のメリットを示す以外に手はない。

10年位前までは、まだ「最近あの会社が急成長しつつある」なんて噂を耳にしたが、2010年以降そんな噂を耳にすることがなくなった。
大手は大手のままだし、小規模は小規模なままで固定化されつつある。

逆に「あの大手が苦戦している」とか「あの大手がつぶれるかもしれない」という噂はことかかないが。

一方で、先日お会いしたニッチでマニアックな商品を企画製造している小規模アパレルの社長は「これ以上の成長は望まないし望めないが、当社の収益はそれなりに順調」とおっしゃっていた。

年商規模は5億円くらいまでが適切なのだという。

旧大手百貨店アパレルが今後回復することはかなり難しいと感じるから、先に挙げた大手の固定化は当分の間変わらないだろう。

そうすると、アパレル業界は、大手の寡占化が固定化するとともに、ニッチでマニアックな小規模ブランドとに完全に二極化することになる。

中間層の企業は難しいかじ取りを迫られるし、厳しい状況が続くのではないかと思う。

かつてなら、OEM業者もそういう多様な中間層に新規販路を求めることができたがそういう状況ではなくなってしまった。

現在、ブランドの廃止・閉店が相次いでいる。
中途半端なアパレルは淘汰されつつある。

それは同時にOEM業者の淘汰にもつながりつつある。
アパレルが増えすぎたようにOEM業者もこの15年間でかなり増えすぎた。

今までなら、成長ブランドが次々と生まれてきたのでOEM企業の取り組み先にも困らなかった。
しかし、成長ブランドはほぼ生まれなくなり、有力ブランドが固定化されてしまうと、新規でOEM業者が食い込むことが難しくなってきた。

これからはアパレル、ブランドの淘汰と同時に、OEM業者の大規模な淘汰も始まると考えられる。

生き延びることがますます難しい業界になってきた。


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