若者のブランド離れはブランド側にも原因
2011年5月2日 未分類 0
50歳代のアパレル業界の先輩方と話していると「昔に比べると安い服の品質が上がった」という話題になることがある。
この「昔」というのはいつ頃のことかというと、20年前よりも昔のことである。
残念ながら自分には20年前よりも以前のことはわからない。
ただ、20年前に買っていた量販店の安い洋服に比べると、今の安い洋服は格段に良くなっていると思う。
ファッションに興味のない大学生だった20年前には、近所のジャスコやイズミヤの平場で買ってきた1900円くらいの洋服しか着ていなかった。
当時の友達の中には、DCブランドのバーゲンで服を買っている者もいたから、高額なブランド物と、量販店の物がまったく異なるということだけはわかっていた。
素材のチープさ、色柄のダサさ、シルエット、とすべてがブランド物と当時の量販店物は異なっていた。
しかし、今はブランド物と量販店の安い商品の差が当時ほど大きくないように思う。
素材もまずまずだし、色柄もそんなに悪くない。シルエットだってそんなに変わらない。これはおそらくユニクロが登場したおかげではないだろうか。
洋服はトレンドの移り変わりがあるため、どんなに高価な物でも20年も30年も着続けることは無理である。
たまに「このスーツは一生モノ」と言って古臭い形のスーツを着ておられる方がいらっしゃる。
リフォーム店でシルエットやディテールを時代に応じて直せば良いが、そのまま着続けることは、いくら高価なスーツでもやっぱり可笑しい。
ならば、経済効率だけを考えるなら、適当に安いトレンド服を毎年買い替える方が良いのではないかとも思う。
まあ、そんなことをツラツラと考えて、GAPに行った。
3色チェック柄のオックスフォードボタンダウンシャツが1900円にまで下がっているかどうかを見に行ったのだ。
狙い通り下がっていたのでレジに持っていったら、
GWに震災チャリティーの目的で全品(セール品も含めて)値札からさらに15%オフにしているという。
結局15%オフの1615円で、そのシャツを買った。
Gapが全品15%オフ GW期間中の売上5%を義援金に
http://www.fashionsnap.com/news/2011-05-01/gap-gw-sale/
詳しくは上の記事を見ていただきたい。
5月9日まで続くそうである。
何が言いたいのかというと、
GAPを例に出すまでもなく、安くてそこそこ良い品質のブランドが市場には溢れている。
ユニクロ、しまむら、無印良品あたりはその代表だろうか。
GAPは割引販売ありきで考えている節があるので、最初の定価設定に無理があるが、
セール品はお買い得だ。
ポイントも値引き率は低いが定価で買うのはアホらしい。セールで買う方が良い。
巷の評論家は「若者のブランド離れ」とまるで、ブランドを買わない若者が悪いかのように言うが、
悪いのは若者だろうか?
20年前ほど商品に差がないのなら、大多数の人は安い方を買うだろう。
似たような物・同じ物ならほとんどの人は安い方で買う。
これは自然な流れである。
ましてや今の若者は就職難であり、お金を持っていない、もしくは将来への不安がある。
そんなときにバカ高いブランド品を買わないのは当然だろう。
極端に言いきってしまえば「ブランド離れ」の原因は、ブランドにもある。
大手ブランドがOEM/ODM業者や商社に商品企画を丸投げにしているから、
ブランドが同質化する。
またこれらの業者は量販店向け商品も手掛けるから、必然的にブランド物と量販店物の差がなくなる。
こうした状況を見て「アパレル不要論」を唱え続けている知人がいる。
丸投げしかできないアパレルなど業界から退場して、実質の商品企画を行っているOEM/ODM業者が自社ブランドを立ち上げれば良いという主旨である。
アパレルが丸投げ体質を変えることができないのなら、
安いブランドをいくつかミックスすれば十分という風潮は、より強い物となるだろう。