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南充浩 オフィシャルブログ

凄まじいサバイバル戦に突入したファッション雑誌

2016年8月12日 メディア 0

 世間はお盆休みである。
このブログも13日から休んで16日から再開したい。

さて、またファッション雑誌の廃刊が発表された。

アネキャンとランズキである。

「アネキャン」が休刊 販売部数や広告収入の低迷が響く
https://www.wwdjapan.com/business/2016/08/10/00021215.html

ギャル向け雑誌「ランズキ」が休刊 ツイッター上で発表
https://www.wwdjapan.com/business/2016/08/09/00021204.html

購読部数の低下と広告収入の低迷が雑誌の廃刊の理由だ。
それ以外の廃刊理由はよほど特殊な場合を除いてない。

ランズキはそんなにメジャーな雑誌ではなかったが、アネキャンというそこそこメジャーな雑誌までが廃刊に追い込まれているというのはちょっと驚いた人も多いのではないかと思う。

なぜ雑誌の購読部数が減るのかというと、これまで何度も書いてきたが様々な要因がある。

1、可処分所得の減少で何冊もファッション雑誌を買わなくなったこと
2、無料コーディネイトアプリや無料コーディネイトブログの発達によってファッション雑誌を買う必要がなくなったこと
3、見目麗しいモデルが洋服を着ていても、リアリティが薄く、読者の再現性が低いこと
4、雑誌の取り上げる「人気ブランド」が広告スポンサーにほぼ限定されており、市場の人気をあまり反映していないこと

などが挙げられる。

これらの打開策は残念ながらない。

全部どうしようもない。
とくに4なんて雑誌の収益が悪化すればするほど広告スポンサーは優遇される。

いっそ逆張りで、雑誌に恩を売る目的で資金に余裕があるアパレルやブランドは大量に広告出稿してみてはどうか?
これまでになく誌面でも優遇されるだろうし、雑誌や出版社にも恩を売れる。
好調な時にスポンサードしたところで感謝もされないが、これだけ雑誌が不振になればものすごく感謝される。
それこそ、やりようによっては雑誌や編集部を奴隷のように扱うことも可能だろう。

まあ、それはさておき。

じゃあファッション雑誌がすべてなくなってしまうのかというとそうは思わない。
やっぱりファッション雑誌を読みたいと思う読者も何万人かは存在する。

ただ、これまでのようにいくつもの雑誌が何十万部という購読者を得るということが不可能になっただけである。

各ジャンルで1誌か2誌は今後も確実に残るだろう。
これまでのように部数が飛躍的に向上するという現象はなくなるだろうが。

メンズだとマニアックだといわれるライトニングという雑誌がある。
筆者もライターとして過去に5回か6回くらい原稿を書いたことがある。
マニア以外は見向きもしないと思うが、安定的に10万部前後の部数を印刷している。
実際の購読部数はこれより少ないと思われるが、購読部数が減少し続ければ印刷部数を支えることは不可能だ。
よほどのアホ経営者でない限りは、購読が激減しているのに印刷部数を維持させることはない。
購読の減少に合わせて印刷部数も減少させる。
印刷部数が減少しないということは購読部数も減少していないということになる。

これまでは部数の大幅な上昇や、複数の大部数誌の併存が見込まれた女性向けファッション雑誌もライトニングのように、一定部数維持で推移し続けるようになるのではないか。
そして女性向けといえどもそういう雑誌が各ジャンルに1誌か2誌存続できる程度ではないか。

どの雑誌が、それほど多くはない残存者メリットを享受できるのか。
ファッション雑誌は凄まじいサバイバル戦に突入したといえる。
共存共栄は考えられない。



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