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南充浩 オフィシャルブログ

お直しや採寸の知識は販売員の武器になるか?

2016年8月10日 TOP SELLER . STYLE 0

 Topseller.Styleに参加してからもうすぐ1か月になる。
とくに個人的には変わったことは何も起きていない。(笑)

http://topseller.style/

そんな中、先日、一度会ったことがあるお直し屋さんが面談を求めてこられた。
彼がいうには、お直しを活用することでもっと店頭の売上高が増えるのではないか、ということである。

ちょっと興味を持って聞いてみた。

現在、独立して3年ほど。その前は某お直しチェーン店で勤務し、その後は百貨店内のお直しルームで勤務をしていたそうだ。

現在、自店を営業していて、一度お直しされた商品を持ってくるお客が多いという。

その理由は、「販売員さんにお直しをお願いしたところ、思っていたのと寸法が違っていた」というものらしい。
どういうことかというと、例えば、お願いしていたズボン丈よりも長めに仕上がっているというようなものがほとんどだそうだ。

もちろん例外もあるが、百貨店やファッションビルテナントの販売員はお直しの寸法を測ることにあまり慣れてないというのが彼の意見だ。

そして、失敗によるクレームを恐れてなるべく「安全パイ」の採寸をすることが多いとも。
その結果が、ズボン丈が長すぎるという再お直しにつながっている。

現在、メンズのズボンは細身が主流である。
ひと昔前ならズボンの裾は少し足の甲に乗っかるくらい(これをワンクッションという)が適切だとされたが、今は短めが主流である。
ワンクッションではなくノンクッションである。

丈の変遷を見てみると、スキニー登場前は、ストレートでワンクッションが主流だった。
そして2008年ごろからスキニーがトレンドになると、スキニーでワンクッションが主流になった。
足元にクシャクシャとレッグウォーマーのように溜まるのである。
これが当時はカッコイイとされたが、今から見てみるとちょっとダサい。

その後、足の甲に乗らないノンクッションが主流になり、今だとさらに短めの9分丈くらいでもおかしくない。

筆者は股下77~76センチでワンクッションになるが、現在主流の長さにするなら、股下75センチ以下にする必要がある。
実際自分で採寸してみると、かなりの分量を切ることになる。

お直し屋さんなら、じゃあと言っ73センチ程度にするのだろうが、慣れていない販売員としたら受け取った後でのクレームが怖いからちょっと長めにしてしまう。
せいぜい75センチ程度である。
こうなるとほとんどワンクッションになってしまい、受け取った後で再度お直し屋に持ち込むというケースが増えている。

筆者もそういう経験がある。
スーツを買ったり、スラックスタイプのズボンを買ったときは、自分が指定したよりも少し長めに仕上がっていることが多かった。

ジーンズ店は販売員がそのままミシンを踏むことが多い。
筆者も昔はジーンズの裾上げくらいはできた。

で、ジーンズ店の販売員もクレームを恐れて長めに仕上げることが多い。
これも身をもって体験している。

採寸の知識をお直し屋と販売員が共有することで、こういう行き違いがなくせるのではないか?というのが彼の提案であり、そのために何か連携できないかという打診だった。

また、上着の場合は、販売員が袖丈をいじることに躊躇してしまい、肩幅がパンパンなのに少し短めの袖丈のジャケットを選ばれることが多いらしい。

筆者はMとLの中間体型で、細身のジャケットなら肩幅に合わせるとLサイズになる。
しかし腕が短いので袖丈が長くなる。
結果的にお直しが面倒なので買わない。

袖丈に合わせるとMサイズになるがそれは肩幅がパンパンになるので着用すると窮屈になる。

採寸の知識があったり、お直し屋と連携できていれば、こういう場合にはLサイズを勧めて、そして袖丈を直すというやり方が可能になる。
それで店の売上高は少し伸びるのではないか。

これらの意見はなるほどと頷かされたので、主宰に上げておくということでその日は別れた。

今後どうなるのかはわからないが、ずいぶんと面白い話を聞かせてもらえた。
ちなみに彼によると、メンズスーツを扱うブランドは比較的採寸がうまく、レディースウェアのみを扱うブランドは採寸が苦手な場合が多いという。

これはメンズのスーツが必ず裾上げを必要とする洋服だったからといえるだろう。

メンズスーツを扱うブランドの中にも格差があって、彼によるとツープライスショップはあまり採寸が得意でない場合が多かったともいう。

売り上げ不振に苦しむ店舗が多い中で、他店と異なる付加価値の一つとしてお直しや採寸の知識というのも、あまり気が付かれてないが有効な手段になりうるのではないか。

手ぬいでできちゃう!服のお直し
高畠海
新星出版社
2016-04-22




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