百貨店・専門店向けブランドの優位性がなくなった
2016年4月8日 お買い得品 0
久しぶりに今月買ったお買い得品を晒してみる。
ライトオンで買ったエドウインのジャージーズ。
当然今春物ではない型落ち商品である。
定価9500円が3900円に値下がりしていた。
ジャージのように伸縮性のある素材で作られているジャージデニムには、織物と編み物の二種類が存在する。
本来の「ジャージ」という素材は編み物であり、編み物ゆえに伸縮性がある。
別段ポリウレタン弾性繊維など使わずともウール100%・綿100%のセーターが伸縮することを思い出してもらえれば理解ができるはずである。
編み物の場合は、大概が裏毛と呼ばれる素材を使用している。
一般的にスエットシャツ(別名トレーナー)に使用される素材である。
これをデニム風に染色加工してパンツにしたのが、編み物によるジャージデニムである。
一方、織物でありながら編み物のように伸縮性のある素材を使用した商品もある。
原理としては、ストレッチ繊維を使用し、繊維の密度を低めて織る。
密度が低いと繊維同士に隙間ができるからその分、伸縮性が出る。
それだけでは不十分だからストレッチ素材も織り込む。
これで編み物のような伸縮性が実現できる。
ディーゼルのジョグジーンズやエドウインのジャージーズは織物である。
これが市場に出回って3年以上が経過したと思うのだが、現在は編み物商材よりも織物商材の方が市場に出回っているように見える。
裏毛素材商材が縮小傾向にある理由はなんだろうか。
個人的には二つあると考えている。
1、織物よりも伸びきってしまいやすい
いわゆる「膝が出る」状態になってしまいやすい。
織物と違って洗濯しても元の状態に戻りにくい
2、デニムっぽい洗い加工がしにくい
ジーンズのようなヒゲ加工や激しい色落ち加工をすると糸が切れてしまいやすい。
織物は何千本・何万本の糸で生地を構成するので1本が切れたところで大きな穴にはなりにくい。
編み物は生地を構成する糸の本数が少ないため、糸が切れると大きな穴が開きやすい。
また、織物に比べてヒゲ加工を施してもヒゲが出にくい。
で、早速穿いてみた。
伸縮性は申し分ない。しかし、ウエストのヒモが邪魔である。
筆者はヒモを結ぶイージーパンツ類の着用感が嫌いだ。だからヒモを引き抜いた。
ベルトループがあるので通常のベルトを締める。
かなりテイパードされた裾に比べると太ももはちょっとゆとりがある。
先日に買った無印良品のスキニージーンズよりはよほどゆとりがある。
今まであまり穿いたことのないシルエットだが、何とかなるだろう。
ちなみにこれは「あべのキューズモール」のライトオンで買ったのだが、近隣にあるジーンズメイトでは半額で売られていた。9500円の半額だから4750円である。
ならライトオンで買った方がお得である。同じ商品は安い方で買うのが人間心理だからだ。
もう一つは、ユニクロのバンドカラーシャツである。
定価2490円が990円に値下がりしていた。
昨年くらいからトレンドに浮上した襟なしトップスの一種である。
エクストラファインコットンのブロード素材で、2490円のままでは買わないが、990円なら十分に上質だといえる。
メンズの洋服は変化が少ないが、この「襟なしトップス」というのは久しぶりの大きなトレンド変化といえる。
ただし、2005年までと異なる点は、「襟なし」一色にはならないことだ。
相変わらず通常の襟のシャツも売られているし購買者も少なくない。着用者も多い。
これからもトレンドはこんな風にそれ一色に染まることはないのだろう。
さて、エドウインのジャージーズはさておき、トレンドの襟なしシャツがユニクロでも買えるのである。
定価で2490~2990円、値引き商品だと990~1990円である。
しかも値段の割には品質は悪くない。
トレンド商品が百貨店・専門店ブランドと量販店・低価格ブランドとほぼ同時に発売されるなんていうことは2000年ごろまでなら考えられなかった。
量販店のプライベートブランドだってトレンド商品を並べている。
例えば、久しぶりに立ち寄った西友。
プライベートブランドで、裏毛デニムのジョガーパンツを販売している。
定価3800円がすでに半額の1900円に下げられている。
試着しなかったのでシルエットまではわからないが、洋服に格別にこだわらない人なら西友のこの商品でも十分ではないか。
こうして見ると、これまで「トレンドの早さ」に定評のあった百貨店・専門店向けの中・高級ブランドの優位性がなくなっていることが如実にわかる。
トレンドの早さやデザイン性の良さは、ほぼ拮抗している。
クオリティだって百貨店・専門店向けブランドが下がっているから、そこまで大きな差ではなくなりつつある。
だったら低価格商品でも構わないと考える人が増えても不思議ではない。
百貨店・専門店向けブランドは「トレンドの早さ」や「デザイン性の良さ」に代わる価値を創造する必要がある。それができないなら凋落・縮小はさらに続く。