ワイドパンツが大ヒットしてもタンスの中身が総入れ替えされることはない
2015年12月18日 ジーンズ 0
来年春のトレンドとしてワイドパンツが注目されている。
今年夏に太目シルエットのガウチョパンツが大人気となったことから、その延長線上で人気が盛り上がると読んでいるファッション業界関係者が多い。
1月末で冬セールが一段落したら、ワイドパンツの打ち出しが各店で大々的に始まるだろうから、ある程度の売れ行きは確実だろうと思う。
http://blog.goo.ne.jp/souhaits225/e/17711e48c70db5ae6191b012aa6ae13c
とか
http://www.neqwsnet-japan.info/?p=6271
でもワイドパンツへの注目が書かれており、いわゆるファッション感覚の鋭い人は注目しているので、大外れはないと考えられる。
(エドウインが提案する今秋冬向けレディースのワイドパンツ)
その一方で、これまでワイドパンツが大流行したことはなかったから業界人が期待するほどは売れないのではないか。
またかつてのトレンドのように、全員そちらに流れるということも考えにくい。
2008年からパンツ(いわゆるズボンのこと)のシルエットはスキニーかそれに類した細身シルエットが基本となった。
もうそこから7年も経過している。
今夏は久しぶりに太目シルエットのガウチョパンツが大流行したが、スキニーやタイトストレート、テイパードストレートなどの細めシルエットのパンツを見かけなくなったかというとそうではない。
けっこう着用者を見かける。
ということはかつてのようにトレンドに沿って、タンスの中身を総入れ替えするのではなく、今までの洋服は着用しつつ新しいアイテムを何枚か取り入れるという消費行動をとっているといえる。
バブル期のようにタンスの中身を総入れ替えしてくれればアパレル業界はウハウハなのだろうが、そんな時代はもう二度と来ない。
今までのスキニーも着用しつつ、ワイドパンツも着用するというそんな買い方になるだろう。
次にワイドパンツを着こなすのは結構難しいということもある。
ファッションブログなどでは着こなしをマシに見せるコツなんてことが書かれてある。
もちろん、それはそれで有益なアドバイスだが、究極のところ、足が長くてスラっとしていればワイドパンツは似合うのである。
その反対はどんなにテクニックを駆使してもすごく似合うという領域には達しない。
まあ「がんばってるね」というところどまりになる。
全体的に太短いひとはワイドパンツは似合わない。
どんなにテクニックを駆使しようとも長身長足の人には遠く及ばない。残酷なようだがこれが事実である。
テイパードや細めストレートパンツよりも着用者を選ぶのがワイドパンツだと思う。
knowermag
http://www.neqwsnet-japan.info/
にもたびたび書かれているように、パンツを使ったシルエットは3通りしかない。
Aライン
Iライン
Yライン
である。
Aラインは、タイトなトップス+太いパンツ
Iラインは、タイトなトップス+タイトなパンツ
Yラインは、ビッグサイズのトップス+タイトなパンツ
3通りの着こなしのうち、2つまでがタイトなパンツなのである。
極端に言えば、3分の2がタイトなパンツで占められている。
太いパンツを合わせるには、Aラインの着こなししか存在しないということになる。
来春以降、ワイドパンツがどれほど流行しても、消費者の着用回数やタンスの中身はこれに類するのではないか。
3分の2をタイトなパンツですごして、残り3分の1をワイドパンツで過ごす。
手持ちのパンツの割合もこの数字に比例するのではないか。
しかもトップスは使い回しできる。
タイトなトップスなら何枚も持っているだろう。
ワイドパンツを3枚くらい買い足せば済むのだから、実は意外に経済的なのである。
結局のところ、トレンドという切り口で商品を提案するなら、バブル期のような「ホームラン」とか「満塁ホームラン」は望むべくもなく、「ポテンヒット」やら「シングルヒット」の積み重ねやらで得点を重ねるほかないのでははないか。
「満塁ホームラン」を望むなら、トレンドとは別の切り口が求められるが、それはそう簡単には見つかるはずがない。
今のアパレル・ファッション業界が一挙に活気づくような切り札は現実には一枚も存在しない。