MENU

南充浩 オフィシャルブログ

季節先取り客は今でも残っているがマス層には広がらないだろうという話

2025年9月11日 トレンド 0

8月の下旬から再び猛暑が続いている。

ただ、やっぱり秋に向かっているとは感じる。昼間は暑いが深夜や早朝は、8月上旬や7月の猛暑日よりは涼しく感じる。

また昼間の気温は高いが、直射日光は弱まっているとも感じる。

長期天気予報によると、9月も残暑は厳しいものの、猛暑日はそろそろ終わりとなっている。

 

とはいえ、当方が9月に買う服は夏物の処分品がメインである。猛暑日がそろそろ終わりそうと言ったところで昼間の最高気温は30度を超えているから、暑くて半袖しか着られない。

以前からご紹介しているように様々なアンケート結果によると、マス層は体感気温に則った服装を好むことがわかる。だから、残暑が長引けば長引くほど、9月・10月の衣料品の売れ行きは厳しくなる。

 

 

しかし、季節先取り需要が完全に消滅したわけではない。一部には残っている。問題はこれがどれほど残り続けるのか?いつまで残るのか?という点ではないかと思う。

実需だけでは満たせない 阪急うめだ本店婦人服のシーズンMD | 繊研新聞

作り手、売り手ともにシーズンMDの組み直しを進めている。阪急うめだ本店は24年に盛夏MDを差し込み、25年は晩夏MDを追加。長い夏に対応した鮮度ある提案を追求している。ただ、気温に応じた実需対応だけではファッション好きの需要を満たせない。26年は6~8月に秋冬物を先行投入する「エモーション」提案を取引先に呼びかける。

きっかけとなったのが、6階「ブラミンク」で6月から7月にかけて秋冬物が売れたこと。「秋冬に伝えたいメッセージを具現化した」という総アニマル柄の薄手コートやラメ糸の半袖ニット、ミドルゲージのジャカードニットなどが顧客だけでなくふり客にも人気で、完売したものも多かった。「45R」では同時期にボアのベストが売れた。

とのことで、流石は「ファッション」の阪急うめだ本店である。

 

季節先取り需要というのは、人口的には減少傾向にあると思われるが、いまだに存在する。ファッションに強い阪急うめだ本店だからこそ、そういう客層を掴んでいるのだろう。

 

 

そういえば、今年はめんどくさくて観察に行かなかったが、御堂筋沿いに点在するラグジュアリーブランドのショーウインドーも6月の梅雨時期から秋冬物を展示している。

阪急うめだ本店で頻繁に服を買う層、ラグジュアリーブランドで買うような層には、季節先取り客が相当数いると思われる。

 

情報としてはこのような情報は必要である。

何事も知っておいて損は無い。だが、自社・自店の客層とそれが合致するのかは別問題だし、それを実行して売り上げが稼げるのか、はさらに別問題である。

個人的には、6月に秋冬商品が売れるのは阪急うめだ本店やラグジュアリーブランド店だからではないかと考えている。彼らだからそういう客層を引き寄せるといえるし、彼らがそういう客層を総取りしているともいえる。

 

 

「真夏なのに秋冬物の〇〇(商品名)が売れた」とか「真冬なのに夏物の〇〇(同)が売れた」という業界メディアの報道は昔からある。少なくとも30年くらい前からある。

当方が駆け出し記者だったころにはもう存在していた。当時はインターネットなんて存在していないから、新聞・雑誌・テレビからの情報が全てだった。あとは業界内の噂話である。

だから、展示会や店頭取材に伺うとその報道内容を真に受けておられる部長さんや社長さんを数多くお見かけしたものだった。

 

 

「あのブランドでは真夏に〇〇が売れているらしいから、自社でも強化しようと思っている」ということを真顔で話されたわけだが、実際にそれが当たったという企業は数えるほどしかなかった。大多数は失敗して、少数が成功するという体感だった。

今から改めて考えると、明らかに「あのブランド」と自社では客層が異なっていたといえる。また、当時からすでに体感気温に則した購買行動が増えてきていたことも大きい。

 

 

これと似たような事例としては、2010年代後半に、カナダグースのダウンジャケットが8月に完売という報道が盛んにされた。多分、3年間くらいこの報道が続いていたが、その後はあまり見かけなくなった。

また、マス向けブランドがカナダグースの手法を取り入れてダウンジャケットが8月から絶好調に推移したという報道も当時から聞いたことが無い。

これらから考えると「あのブランド」とか「カナダグース」とかにはそういう固定客がついていると考えられる。メディアの基本姿勢は「珍しいことを報道する」だから、8月にダウンジャケットが売れることは珍しいから報道するし、6月の梅雨時期から冬服が売れたら珍しいから報道する。

 

だが、大衆層・マス層にはその動きは今は広がりにくい。かつてのインターネットが存在しない当時なら報道に左右される消費者が今よりは多かっただろう。体感気温購買も今よりは少なかっただろう。だが、今はインターネットはあるし、報道がどうであれ、自分にとってメリットが少ないことはやりたくないという人も増えた。そのため、季節先取り需要はニュースバリューはあったとしても、商品テイストも価格帯も顧客層も全く異なるブランドが真似をしたところで、効果はほとんど出なくなった。

 

そんなわけで、今回の報道に感銘を受けて追随する企業は少ないだろうと思う。阪急うめだ本店で季節先取り購買をする「愛好家層」と、体感気温購買でしか動かない「マス層」との乖離はますます大きくなっていると感じられる。

 

 

 

この記事をSNSでシェア

Message

CAPTCHA


南充浩 オフィシャルブログ

南充浩 オフィシャルブログ