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南充浩 オフィシャルブログ

アパレルには商品力の向上が不可欠

2015年6月29日 未分類 0

 もうご存知の方も多いと思うが、ワールドが40歳以上の本社社員500人のリストラを発表した。
9月末でこの500人は退職することになる。

ワールドが500人の早期退職実施 本社社員の4分の1削減
http://www.wwdjapan.com/business/2015/06/27/00017041.html

である。

1975年生まれが今年40歳だが、10月~12月が誕生日の人は今回のリストラ対象ではなかったということになるのだろうか?

まあ、どんな事柄にも線引きは必要だし、その線引きが必ずしも万全でないことは多い。
わずか誕生日が1日違いで残れなかったという人もいるに違いない。
その人はショックを受けているのだろうか?それとも新しいことにチャレンジできる機会だととらえているのだろうか?

以前のブログで本社社員は最低200人はリストラされると書いたが、発表は500人だった。
店舗は最大500店の閉鎖だが、一斉閉鎖ではなく順次閉鎖だから解雇も順次ということになるだろう。
店舗スタッフは1500人くらいの解雇になるのではないかと個人的には推測している。
合計で2000人である。

さて、その原因だが、様々あると思う。
しかし、筆者が個人的にワールドで一番の原因だと思うのは、商品開発力がなくなったことである。
97年に業界紙に入社し、定期的に展示会や新規店舗オープンを取材した。
新聞記事ではワールドの苦戦は2008年夏のリーマンショック以降だと書かれてあるが、商品開発力はそのころにはとっくになくなっていた。
ワールドの商品開発力は2008年までに終わっていたというのが個人的な意見である。

2005年の上場廃止の理由の一つとして「短期的な利益にとらわれずブランドを開発・育成するため」だったと記憶しているが、この10年間で開発・育成に成功したブランドはほとんどない。
100歩譲ってあるとするなら、評価がまだ定められないオペークくらいだろうか。

90年代後半のワールドの各ブランドの商品開発力は大手総合アパレルの中で群を抜いていた。
オゾックを皮切りにインディヴィ、ボイコット、タケオキクチ、アンタイトルなど、同業他社の中でも頭抜けた企画力があった。
また商品の品質も高かった。

98年か99年ごろだったと記憶しているが、何を思ったか筆者はタケオキクチの冬物ジャケットを購入している。
圧縮フェルトの切りっぱなし、フロントがジッパーとマジックテープのジャケットである。
この下にセーターを着込めばコートなしで過ごせる。
このジャケット、今でも冬には着用している。

写真11

(大枚をはたいて(笑)買ったタケオキクチのジャケット)

定価が40000円くらいでそれを4割引きの24000円くらいで買ったと記憶しているが、今の格安商品から見れば考えられないような高額品である。
「あのとき、俺はカネ持ってたんだな~(笑)」と今から思うと笑えてくる。

しかし、このジャケットは買って本当に良かったと思っている。
何せ15年以上着続けているのだから十分に元は取っている。

また高品質というだけでなく、シルエットも細身なので変わらず今も着続けられている。

こういう高品質でデザイン的にも優れていて、それでいてコート要らずという機能性まで付加した商品を98年ごろのワールドは作っていたということである。

今のワールドはどうか?

経営陣のマーケット分析の結果もあってかやたらと低価格志向が目立つ。
しかし、単に価格を安くしただけでユニクロに近づくことができるのだろうか?ユニクロの商品品質は高い。
H&Mのトレンド性に対抗できるのだろうか?
そしてなおかつ価格でその2ブランドと同等にまでなっているのだろうか?

価格がそれらより高く、品質がユニクロより低く、トレンド性がH&Mよりも低いなら、そんなブランド群に勝ち目はあるのだろうか?
そこにそれ以外の切り口のエンターテイメント性やステイタス性があればまだ勝負はできるが、それらもあるとは思えない。

商品開発力の低下の原因は、POSとQRへの過剰な信頼と、コスト削減を目的に安易なOEM&ODMを多用したことだろう。
そしてこれは何もワールドだけの問題ではなく、今、経営危機に瀕している大手総合アパレル各社に共通した問題でもある。
大量閉店しているTSIホールディングス、とくにその中でもサンエーインターナショナルの各ブランドなんて同じ原因で商品開発力を低下させている。

アパレルにとって金融的な取り組みやシステム構築は重要だが、それと同等に商品力も重要である。
商品が悪ければ業績は回復しない。
利益を改善することはできるが、少なくとも売上高を伸ばすことはできない。

いくらリストラをしたところで残存店舗の売上高を回復させるためには商品力の向上が不可欠である。

そして今の大手総合アパレル各社にその商品力は著しく欠如しているように見える。
商品力を向上させない限りは、永遠にリストラをし続けて経費を削減するほかはない。

さて、ワールドを始め、その他大手総合アパレルの商品力はこれから向上できるのだろうか?
筆者はちょっと否定的に見ているが。

知り合いの知り合いとか、知り合いとか、ワールドの関係者からこんなうわさを聞くことがある。
ワールドの寺井秀蔵会長は今回のリストラが一段落したら3年後ぐらいには社長に復帰するのではないかと。
まあ、これはちょっとありえないだろう。
あくまでもうわさにすぎないと思う。

優れた経営者のお一人だからそんなバカな真似はされないと確信している。

2万%ない(笑)と思うが、もし社長に復帰されることがあるならその時は心底軽蔑する。
まず、2005年での上場廃止の株主への責任を取っていないこと、
次に今回の大量解雇の責任を取っていないこと、
以上、2点の責任があるためだ。

まあ、そんな事態は起きないだろうけど。

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