「ファッション」を販売するということ
2015年2月20日 未分類 0
筆者のファッション感度は悪い。それは自覚している。
だからこそ着る物はある程度のトレンドは考慮するが、それよりも機能性と経済効率優先である。
あと自分にとって不必要なトレンドなら断固無視である。
例えば、穴が開いて素肌が見えるようなクラッシュジーンズはいくら流行していても真冬には着用しない。
なぜならば寒いからだ。
穴から体温が流出して非常に寒い。
反対にあんまり流行していなくても真夏なら着用する。涼しいからだ。
今春夏は穴が開いたクラッシュジーンズ、それを再度リペアしたリペアジーンズがようやく流行しそうだが、気の早い人たちはすでに昨年12月くらいから日常で着用している。
穴をふさいだリペア加工ジーンズならわからないではないが、穴から素肌が見えているクラッシュジーンズを着用している人は寒くないのだろうかと他人事ながら心配になる。
正月のことである。両方の膝小僧が丸見えになるくらい大きく破れたクラッシュさせすぎジーンズを穿いていた若い男性がいた。
あれはとてつもなく寒いと思うが、彼としてはトレンド先取りだったのだろう。
まあ、筆者には理解できない感覚である。
そういう人間だが価格訴求力ではなく、機能性最優先でもない洋服を売るというファッションビジネスについて真面目に考えてみることがある。
普通の販売、営業的感覚では非常に売りにくいと感じる。
社内マニュアルで書かれてあるような表現では、はっきり言って嘘くさいとすら感じる。
先日、何人かのフェイスブック友達がシェアしていた洋服店のブログを読んで、
漠然とながらファッションを売るというのはこういうことなのかと初めて感じることができた。
ちなみに、筆者もこの店は知っている。数えきれないくらいこの店の前を通っている。
大阪の南船場にあるお店だ。
それからこのブログ主も一応知人の紹介でごあいさつくらいはしたことがあるような気がする。
が、ブログ主は忘れておられるだろう。本当にチラっと挨拶した程度だったから。
2年通い続けてくれた決して買わないお客さん
http://ameblo.jp/cera-una/entry-11986869552.html
ブログ主は接客するときに、相手のライフスタイルを知ることから始めるそうである。
そして、今度〇〇へ行くならこういう服装が良いのではないですか?(本文では大阪弁)と提案する。
で、その上で、2年間毎週週末になるとやってきていろいろと商品は手に取るけども決して買わないお客がいたという。
低価格品ばかりだが筆者も販売職をやったことがあるので、毎週くるけれどあんまり買わないお客というのはたしかに存在するということは実体験として知っている。
何店舗かでそんなお客が幾人かいた。
筆者の場合は顔を見たら挨拶はするし、話しかけられれば答える。
一応、向こう主導で雑談も多少はする。
けれどもそこに向けて直感は働かない。
このブログ主は直感が働いてそのお客と雑談をするようにしていたそうである。
すると、ある日、
先日
「今日おにいさんからスーツ作りたいんです、ハインリッヒも買います」
「え~~~~~~~~っ??」
「ずっとヒヤカシなのに一回も嫌な顔もされず
気さくに話してくださって本当にありがとう
僕は裕福ではないので
ずっとお兄さんから買いたいと思って
たんですがキッカケがなかなか無くて
4月に結婚式あるんで
そのタイミングに・・・・・・」
「そうだったんですか・・・・・」
「ここの店なんか落ち着くんですよ」
・・・・・・・・
感無量である
この仕事してて良かったと一億%思える瞬間である
2年も通ってくださって本当に感謝です!
というやりとりがあったそうだ。
ちなみに会話中の「ハインリッヒ」とはこの店を運営する会社が輸入している靴ブランド「ハインリッヒ・ディンケラッカー」のことだろう。
その上でブログ主はこう続けている。
人には見えない触覚がある
態度にだしてなくても
「うわ、こいつ怒ってる」と勘が働く事ありますよね?
現場もそう「どうせ買わんやろ」
これ
必ずお客さんに伝わってますよ
気つけるんやでい笑
「これ着てドコイコ」
そう思ってもらわねば
ネットに負けるぞ笑
と。
ショールミングガーとかオムニチャンネルガーとか叫んでいる人は老若男女多いが、販売方法がすべてネットに置き換わるわけではない。
またネット販売をやってりゃ安泰なわけではない。
某携帯オンライン通販会社が赤字決算を続けた上、某社の子会社化されたことを見てもそれは明らかだろう。
また、ユニクロガーとかカカクソキュウガーとかデフレガーと嘆いているお店はこういう努力をしたのだろうか?
「ユニクロなんて安物はファッションじゃないですよ」というなら、ブログ主的なファッション販売を行ったのだろうか?
業界人が「ファッション愛好家が少なくなった」とか「可処分所得の減少が」なんて言い訳をしているが、じゃあファッション愛好家に向けた販売姿勢だったのか?ファッション愛好家を増やすような取り組みをしていたのか?と問いかけたい。
だからこそユニクロや外資ファストファッション、低価格SPAにやられたのではないのか。
自らにはない要素なのでこのブログは非常に勉強になった。
いわゆる「ファッションを売る」とはこういうことなのかと理解できた。
が、筆者は今後も経済効率と機能性最優先で投げ売り価格の洋服を買い続けることだろう。
相当な金持ちになることがあったとしてもこういうお店で買うことはないだろうと思う。