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南充浩 オフィシャルブログ

ジーユーでメンズ本革サンダルが毎夏に大幅値下げされてしまう理由

2024年6月20日 お買い得品 0

昔、アダム・スミスは「神の見えざる手」と表現したが、まあ確かにそれに近しいことを感じることは多々ある。

「〇〇ブームの熱風」とか「空前の××ブーム」とかマスゴミマスコミが煽った時に「何でそんなもんに乗せられるかなあ」とマス層の行動に呆れてしまうのだが、そこそこ利便性の良い事象は長続きするし、利便性も合理性も少ないという事象は比較的短期間に終わる。

この辺りの集団としてのマスの選別というのは結構合理的だと感じさせられる。

 

 

繊維・衣料品業界の人は「良い物が安かったら必ず売れる」と信じているが、それもケースバイケースでしかなく、「必ず」売れるというわけではない。

その最たる例が、ジーユーの本革サンダルだと当方は思っている。

今年もすでにジーユーは「サマーセール」を6月14日から開始した。まだ梅雨も始まっていないというのに(梅雨入りが例年よりも2週間以上遅れているが)である。

2024年が明けてからジーユー、ユニクロでは例年よりも当方は物を買っていない。理由は値引き率が23年までと比べて低いからだ。ジーユーでいうとなかなか990円にまで値下がりしない。

そんな中、先週くらいから990円に値下がりした物をジーユーで買い集め始めたのだが、メンズ本革サンダルが990円に今年も値下がりしていた。

今年のメンズ本革サンダルの定価は3990円である。実に約74%オフである。

これが1型だけとか1色だけとかなら、まあ不人気な型、不人気な色があったということだが、2型×2色のすべてが990円に値下がりしている。

ということは、不人気の理由は型でも色でもないということになり、商品企画内容そのものがジーユーの客層には不人気ということになる。

 

 

これが今年初めての企画なら「来年また再チャレンジ」といえるが、去年の夏もジーユーのメンズ本革サンダルは990円に値下げされている。ということは2年連続ということになるから、ジーユーのメンズ客層に「本革サンダル」という商品企画自体が受け入れられにくいという結論に達することができる。少なくとも当方はそう判断する。

なぜ昨年のことを言うのかというと、昨年7月に当方はジーユーで990円に値下げされた本革サンダルを買っているからである。

 

 

なので今年も1足買おうと思っている。(笑)

基本的にジーユーの本革サンダルは某ビルケンシュトックに酷似している。本家ビルケンシュトックのサンダルを買ったことがないからクッション性やらフィット感については当方には分からない。

だが、ジーユーの本革サンダルは買ってとりあえず何か月かは履いたので、感想を言うとそこまで悪い物ではない。むしろ990円ならお買い得だろうと思う。

定価で買ったとしてもビルケンシュトックの値段の4分の1程度だからお買い得ともいえる。本体にブランドロゴが印刷されているわけでもないからジーユーバレすることも少ない。

 

 

にもかかわらず990円にまで値下げされ、今年もすでに990円に値下げされているということは企画自体が客層にマッチしていないのではないかと思われてならない。

去年買ってみて感じたのだが、本革サンダルという商品は、他ブランドでよく見かけるゴム製?PVA製?のサンダルや、ナイロンストラップを使ったようなサンダルとは異なり「水に弱い」というイメージが強くある。当方にもある。

そうなると、夕立やゲリラ豪雨が多発する夏というシーズンに「本革サンダル」は履きにくいという性質の商品となってしまう。今年で言えば、これから来る梅雨なんて出番はほとんど無くなる。

一方、ゴム製?PVA製?の場合は足自体は濡れるが、素材そのものには水が浸み込まない。足さえ乾いてしまえばそれでいい。ナイロン素材は濡れてもすぐに乾く。少なくとも革よりはナイロンの方が乾きやすい。

これらのサンダルは夕立、ゲリラ豪雨に合っても「安心」できる商材といえる。雨が降っている中にわざわざサンダルを履いて出かける人は少ないとは思うが、防水靴を持っていない人ならそういう使用法もあるだろうが、本革サンダルはその使用法は無理である。

 

 

そうなると、ビルケンシュトック似の本革サンダルという商品は、見た目はカッコイイが使いにくいという判断を下されてしまう。またサンダルという商品は初夏から長くても秋の終わりまでしか履けないし、メインとなるのは夏の初めからせいぜい9月末までという短い期間である。秋が深まると使いにくい。

要はサンダルという商品自体の使用期間が他の靴と比べても短期間である上に、メインとなる夏は雨の心配が多いので本革サンダルは履く日を選ぶめんどくさい商品ということになる。

非常に使い勝手の悪い商品だと当方は昨年買ってみてそう感じた。そりゃPVA製サンダルやナイロンサンダルの方がずっと安心感があるし登板回数が多い。

 

 

このように考えるとジーユーの本革サンダルは、例え業界人が破格の3990円と感じたところで、ジーユーの客層はお買い得とは捉えていないと考えられる。昨年も990円に値下がりしてそこそこ長期間棚に並んだままだったので、値下がりしてもめんどくさい商品は要らないと感じた人も多かったのではないかと思う。

「良い素材」とされる素材は様々あるが、いわゆる保管・洗濯がめんどくさいという素材が少なからず含まれている。当方も含めてだが、ユニクロやジーユーの客層にはそういう「めんどくさい上質素材」を求めている人はほとんどいないと思われる。そして、使用期間が短くかつ雨に合う確率が高いサンダルという商材に「本革」という「良い素材」を必要とは考えていないのではないか。同じ革でもジーユーのビジネスシューズ、ドレスシューズ類はそこまで値下げせずに売り切れることも多いから、やはり、本革とサンダルという組み合わせがジーユー客層には合っていない確率が高いと思われる。

ジーユーの客層、特にメンズ客層はサンダルに上質感よりも機能性を求めていると考えられる。

そもそも、着用期間が短く限定された状況でしか着用できないサンダルという靴に本革という上質感を求めている層は、ジーユーでは買わないだろう。それこそビルケンシュトックを買うだろう。

 

 

かつて短命に終わったユニクロの絹製服でもそうだが、保管・洗濯に手間のかかる上質素材なんてものは実はマス層には求められていないということになるだろう。

業界人は「人は誰でも上質な素材の服が欲しいはずだ」と思い込んでいるふしがあるが、それは先端層やマニア層だけだろう。ミドル層・マス層は手間のかかる上質素材よりも各用途に応じた機能性素材服を常に支持していると考えた方が的確な商品企画になるだろうと思っている。

 

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