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南充浩 オフィシャルブログ

人工知能のモデルはスキャンダルを起こさなくて便利なので広く普及するのではないか?という話

2024年6月11日 ファッションテック 3

今年54歳になった。1970年生まれなので、2030年に60歳になる。

2040年には70歳、2050年には80歳になる予定だが、男性の平均寿命が81歳であることを考えると、当方が2060年を迎えることはなさそうである。

携帯電話とインターネットが普及してから技術が進歩して便利になったことは多々あるが、例えば2005年と2024年を比較して「圧倒的に」技術が進歩して「予想もできなかったほど」便利になった物というのは、自身の記憶を振り返ってもあまり存在しないような気がする。

逆に80年代と比べると、例えば携帯電話普及当初は格段に利便性が向上したと感じた。

新登場する技術が多かった時代に比べると、今の技術進歩はバージョンアップに終始しているように個人的には感じる。

 

 

もちろん、いろいろな新技術は登場していると報道されているが、当方も含めた受け取り手側が想像するような急速な普及とか急速なゲームチェンジというのはあまり起きていないと感じる。

人工知能(AI)というのは注目されている新技術だが、期待に反しては急速な普及とか急激な機能進歩というのは、日常生活においてはあまり感じられない。少なくとも当方には。

衣料品・アパレル業界でも2010年代半ばごろからAIのビジネス活用が提唱され始めて、AIによる需要予測、AIによる在庫調整、なんかが期待される新技術として注目された。

また、他のビジネス業界でもAIによる効率化の期待とともに、AIによって職が奪われるなんていう反発もあったりした。

ただ、2024年現在でもそのように期待されていた事物(需要予測や在庫調整など)というのはあまり実現してないし、目立って職を奪われたという人も存在していない。

思うに他の新技術もそうだが、AIも我々外野が期待するほどの急速な技術進歩や急激な普及は難しいということだろう。逆に遅々として進むというのが実態ではないかと思う。これは他の新技術も同様だと当方は思っている。

 

 

そんな中、当方が現時点で最もAIが活用できそうだと思っているのが、AIタレント、AIモデルである。

基本的に当方は生身のタレントやモデルにほとんど興味が無い。雑誌やテレビ、映画で見る程度である。見たからと言ってすごく虜になるわけでもない。アニメや漫画のキャラと当方にとってはさして変わらない存在である。

全く身近にも感じないし、親近感もわかない。ましてや「推し活」なんてやる気にもならない。

しかし、生身のタレントやモデルはどれほどの人気者であっても、スキャンダルや犯罪を犯す可能性が必ずある。例えば、先日も超ベテラン声優の古谷徹さん(70歳)の不倫スキャンダルが報道された。これによって、幾何かの期間、活動自粛になるだろう。この人に限らず、タレントの活動自粛期間中は様々な撮影やタイアップが止まったり、中止になったりする。またタレントの差し替えで対処することを余儀なくされる。

中止になるとそれまでにかけた製作コストはドブ金になってしまうし、差し替えるにしたって急遽代役を手配してそれを差し込んで馴染ませるまでの労力とコストも大変なものになることは想像に難くない。どちらの方策を取ったところで相当のコスト増になる。

 

 

AImodel しまむらにAIモデルを提供 | 繊研新聞 (senken.co.jp)

AImodel(東京)はタキヒヨーと協業し、しまむらにAI(人工知能)モデル「瑠菜(るな)」を提供した。

5月に公式SNSで名前を募集したAIモデル瑠菜は、ファッションモデルを目指す20歳の専門学校生という設定で、SNS活動を開始した。下高井戸店のポスター、チラシにも起用している。

 

とのことである。

これに限らず、最近はこういうAIモデル、AIタレントの投入の事例が増えている。それぞれの画像を見て驚くのが、ほとんど生身の人間と画像上は変わらない点である。少し以前のデジタルモデルはやっぱり「デジタル」という肌の質感やらポリゴン感丸出しだった。その技術の進歩はすごいものである。

 

AIモデルサービスは、企業専属のモデルを提供し、広告によるブランディングやプロモーションの最適化、店頭のキービジュアル制作、ささげ(撮影、採寸、原稿作成)業務の時間短縮・コストダウンをサポートする。

 

ともある。確かに生身のモデルと比べると、スケジュールが合わなくてとか、体調不良とか、渋滞に巻き込まれて到着が遅れるとかの理由で撮影を延期するということもないし、ヘアメイクの変更も容易で時間がかからない。たしかに撮影の時間短縮、コストダウンに役立つ。

 

 

個人的に何よりもAIモデル、AIタレントに利便性を感じているのが、スキャンダルや犯罪を絶対に犯さないという点である。不倫もしないし、違法薬物も使用しない。暴力事件も起こさないし、飲酒運転や自動車事故を起こすこともない。必然的にスキャンダルや犯罪が理由で活動自粛をすることも無いし、代役を探す必要も無くなる。

2010年代半ばからAIについて様々な機能で期待が寄せられていたが、こと衣料品業界においては、当方は現時点でAIが最も効果的に機能性を発揮できているのはAIモデル、AIタレントという分野なのではないかと思っている。AIによって最初に職を奪われるのは事務員でも電話オペレーターでもなく、モデルやタレントなのではないかと思っている。

 

蛇足だが、タキヒヨーがAIモデル開発に協業しているというのは初めて知った。繊維・アパレルでは苦戦傾向のタキヒヨーだがこういう分野に活路を見出して活動しているというのはなかなか興味深い。

 

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 comment
  • sakeparadise より: 2024/06/11(火) 1:11 PM

    高性能AI 搭載 高品質ラブドール(旧名称ダッチワイフ)
    性犯罪の減少にも役立つのでは?  
    女性用も需要ありそう
    未婚率増加 出生率減少に影響するデメリット有りか?
    老人の長寿にも役立ちそう
    一緒に棺桶には入れられないが(笑)

  • とおりすがりのオッサン より: 2024/06/12(水) 11:30 AM

    あと、生身のタレントを使うと、そのタレントを嫌いな人が商品買ってくれないというデメリットもありそう。
    私なんか市川海老蔵(って、名前変わったんだっけ?)とか嫌いだから、伊藤園の製品買わないですしw
    その点、架空のAIタレントなら見た目の好き嫌いは出るとしても、買わないってまで嫌う人はあんまり居なさそう。
    エッチなビデオでも「AI女優」とか出てきてますが、これは今のところは顔をすげ替えただけのインチキみたいですね。でも、そのうち完全なAIセクシー女優さんも出てきそうw

  • ミナミミツヒロ的けち人間 より: 2024/07/01(月) 9:53 AM

    とおりすがり菊蔵氏>どのタレントが好きかは人によって違う

    死語ですが、むか~し映画会社が必死に造りあげていた
    「お嬢さん路線の女優さんたち」のようなマネキンが今は皆無です

    「誰からでも一定の好感度が得られる存在」とでもいいましょうか

    女子アナや、それに通じる各雑誌の専属モデルが近い存在だったものの
    近年はスキャンダル続きでむしろ怖い存在ですからね

    「自己主張度ゼロの人造人間が着こなす
    誰でも・どの世代でも・どの体形の人でも着れる中庸な服」

    なんて特集が組まれるのが実はそう遠くないかもしれません

    服に主張がない訳だから、着る人間にも主張なんざいらないんですよ

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