MENU

南充浩 オフィシャルブログ

要らない物は大幅値下げしても売れないという時代

2024年5月29日 トレンド 1

5月25日、全国の家電量販店・プラモデル屋に大行列ができた。

ガンプラのHGマイティストライクフリーダムガンダムの発売日だったからだ。相変わらずガンプラの品薄状態は続いており、各地で騒動が起きている。

それを踏まえてか、今回は各店舗にいつもよりも多めに入荷しているとの情報が前日からSNS上にアップされた。

1店舗だけで500個とかそれ以上に入荷した店舗もあったようだ。

ただ、今回はもう一つガンプラが同時発売されており、これはストライクガンダム用のバックパックセットなのだが、こちらはマイティストライクに比べると少なめの入荷だったようで、当方はこちらのバックパックセットが欲しくて地元の国道沿いにあるジョーシンに開店10分前から並んだ。

到着するとすでに40人くらいが並んでいる。マイティストライクは十分残っているとのことだったが、バックパックセットは買えるかどうかわからないと言われた。

開店後、前に並んでいた何人かがバックパックセットを買わなかったので、ラスト2個で残っていたうちの1個を買うことに成功した。前に並んでいた人が全員買っていたらアウトだった。

当日のSNSでは全国各地の店舗で長蛇の列ができていることが報告されており、いつもよりはマシだったとは言うものの、そこそこ争奪戦が繰り広げられたようで、バックパックセットの方は激しい争奪戦だったようだ。

 

 

いまだに転売ヤーが含まれるとはいえ、ガンプラの需要はあまり衰えていない。専門外なのでバンダイナムコの出荷量は分からないが、品薄状態は緩和されるどころかやや強まっているように感じられる。

それでもコロナ禍直後に比べると新製品の入荷数は増えていて、コロナ禍直後だと地元ジョーシンには5~10個くらいしか入荷しなかったが今は必ず20個くらいは入荷している。多い品番だと30~50個入荷する。

これだけ需要が衰えないので、家電量販店の店頭販売価格も値引きが無くなってきた。ヨドバシカメラとヤマダ電機、ビックカメラはまだ値引きしていてだいたい10%オフである。ジョーシンは今まで20%オフだったのが、10%オフとなり、5月からは新製品は10円だけの値引きになった。エディオンは定価そのままである。

また買う場合の個数制限もいまだに続いており、どの家電量販店も一人1個で、3種類までOKである。要するに3種類を1個ずつ買えるが、それ以上は買えないという具合である。

 

 

今回はガンプラの話で恐縮だが、もう少し続ける。

これほどの人気商品であるにもかかわらず、不人気品番もいくつか存在する。店頭割引が無くなっているにもかかわらず、不人気品番は同じガンプラでも大幅値下げして売られているが、それでもまだ完売しない。

例えば、RGガンダムエピオン、HGティフォエウスガンダムキメラ、などという品番はどの家電量販店でも20~30%オフに値下げして売られている。本当なら、家電量販店はこれらに関しては1人1個どころか、欲しい人は1人で何個も買って欲しいくらいだろう。

当方はRGガンダムエピオンは買ったが、ティフォエウスは今後もよほど暇と金を持て余さない限り買わないだろう。

いくら品薄で大人気のガンプラとはいえ、不人気品番は生まれるし、不人気品番は大幅値下げをしても完売しない。この辺りが何とも興味深い。

 

 

1980年のガンプラブームの時もやはり不人気品番はあったものの、当方も含めた多くの子供(当時)は、「しゃあないな。この不人気品番でも買っておこう」という感じで買っていた。

それが2020年代になると、不人気品番はなかなか減らない。

この辺りに消費者の購買動向の変化がうかがえる。

 

 

さて、ガンプラの場合は、ジャンル自体は需要が増大していて、その中に不人気品番がいくつか生まれているという状況にある。

衣料品の場合、需要自体は増大しておらず、良くて現状維持ではないかと思う。当然好調品番もあるが、不人気品番の方が圧倒的に多い。まあ、品番数も供給量もガンプラよりも多いのだから当然だろう。

だが、消費者の購買行動を全般的に眺めた場合、ガンプラという大人気ジャンルでさえ不人気品番は値引きしようが長期間売れ残っている。

個人的には、衣料品よりもガンプラの方が圧倒的に買う側に熱気がある。全国の家電量販店とプラモデル屋に土曜日の朝から全店で行列ができるほどだ。そこまで渇望されている衣料品は現在ない。

そんなガンプラでも不人気品番は値下げしても売れ残ったまま動かない。

となると、そこまでの熱気が無い衣料品ならなおさら、不人気品番は値下げしても売れ残るのは当然だろう。もうかなり前から「バーゲンで売れ残った服はいくら値下げしても売り切れない」と言われていたが、その傾向はさらに顕著になっているのではないだろうか。

衣料品の場合は「一握りの好調品と多くの不人気品番」「一握りの好調ブランドと多くの不調ブランド」という構図が完成しているように感じる。

こうなると、衣料品の場合は、より一層緻密なMDが求められることになる。もう勘ピュータ―のどんぶり勘定が通じる時代ではなくなっている。ガンプラという大人気分野ですらMDの精査が求められていて、不人気品番を生んでしまうことをバンダイナムコは極度に恐れているように感じられる。その恐れがガンプラの生産をあまり大幅に増やせない原因の一つになっているのではないかとさえ思ってしまう。

今日はガンプラの話で終わりである。(笑)

 

この記事をSNSでシェア
 comment
  • とおりすがりのオッサン より: 2024/05/29(水) 12:52 PM

    プラモの場合は不人気だと開発費が回収できない上に、金型は資産として残っちゃって税金掛かってくるみたいだから、相当シビアなんでしょうね。スケールモデルなら何十年とか細々と売れるかもしれないけど、ガンダムだと失敗したらヤバそうですw

Message

CAPTCHA


南充浩 オフィシャルブログ

南充浩 オフィシャルブログ