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南充浩 オフィシャルブログ

サウナもゴルフもキャンプも今から供給側の生き残り合戦が始まる

2024年5月16日 トレンド 0

当方の若い頃に比べても、15年くらい前と比べても、圧倒的な「ブーム」を感じられる事象は少なくなったと感じられてならない。

メディアは煽ってナンボみたいな商売だから、相変わらず「〇〇ブーム」とか「〇〇が熱い」という煽り報道を繰り返しているが、一消費者としてはそんなに「熱い」とは感じられない事柄の方が多い。それでもまだ2010年代後半のタピオカリバイバルブームなんかは、そこら中でタピオカを立ち食いする女性がいたので「ブーム」なんだなとは認識できた。

 

2020年春にコロナ禍が始まると、それまでとは生活様式が一変してしまった。外出しづらい状況下となり、外出を厭う人も少なからずいた。

そんな中、

・キャンプブーム(アウトドアブーム)

・ゴルフブーム

・サウナブーム

の3つがクローズアップされたわけだが、メディアが煽るほどには「大ブーム」とは個人的には感じられなかった。

当方の生活スタイル、生活圏内に依るところも大きいだろう。

 

 

元来、アウトドアは嫌いだし、ゴルフに行くような友達もいない。自動車も運転できない。銭湯にもたまには行くがそれも年に1回行くか行かないか程度である。あと、仕事の出張以外旅行はしない。

それゆえにメディアが煽るほどにはブームと感じられなかった。強いて挙げればキャンプブーム(アウトドアブーム)は体感できた部分もある。コロナ禍以前から、当方と交流のある業界の年配男性にはソロも含めてキャンプやハイキングを楽しむ人が少なからずいたからである。

コロナ禍によって、これまでの様々な産業が停滞・苦戦したという背景も手伝ったのだろう。この3ブームに乗っかる業者が予想以上に多かった。個人的に言えば、3つとも万人受けするような性質ではないと思っているから、そんなに大挙して供給を増やして大丈夫なのだろうか、と怪訝に見ていた。まあ、3つともまるで興味が無いから他人事に過ぎなかったのだが。

 

 

2023年5月にコロナ自粛が全面解禁になると、ブームに陰りが見え始めた。他の娯楽がコロナ禍によって制限されていたからこそ注目されたものばかりだから、他の娯楽が全面解禁になれば参加人数に陰りが見え始めるのも当然である。元々他の娯楽が好きだったが選択肢が無いのでこの3つのうちどれかを選んでいたという人は、元々好きだった娯楽に当然戻ってしまう。当たり前の話である。

ただ、仕方なく始めてみたものの、やってみたら面白かったから定着した人もいるだろうから、いずれも大きな落ち込みは見せていない。微減から伸びが止まったくらいの感じである。

それでも例えば、ゴールドウインは子会社が展開してきたゴルフウェアブランド「ブラック&ホワイト」の廃止を決めている。

ゴールドウイン 今期、「エレッセ」など4ブランド廃止 | 繊研新聞 (senken.co.jp)

子会社が手掛けるゴルフウェア「ブラック&ホワイト」の販売は年内で終える。

 

ブームだからどのブランドでも売れるというわけではない。売れていれば廃止にはなっていない。

 

キャンプ・アウトドアブームの終焉は、スノーピークの赤字転落が顕著な例だろう。

スノーピークが赤字転落 2024年1〜3月期は純損失5億1300万円計上 売上高は24.8%減 (fashionsnap.com)

今四半期は純損益だけではなく、営業損失5億9700万円(前年同期は営業利益2億5700万円)、経常損失3億4800万円(前年同期は経常利益3億2800万円)といずれも赤字決算となった。売上高は前年同期比24.8%減の48億7100万円だった。

この業績を見れば、不振は明らかである。

前年度決算では売上高250億円内外あったが、このペースだと今年度決算の売上高は200億円前後になると推測される。

 

 

いよいよ、サウナブームも終わりを迎えそうだ。

おじさんたちが来なくなって…「サウナブームのピークは終わった」火付け役が語る「切実な原因」と「次の一手」(森田 幸江) | マネー現代 | 講談社 (gendai.media)

とある。また別の昨年10月の記事では

“サウナブーム”終焉か? 「タピオカブーム衰退」とのある共通点:古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(1/2 ページ) – ITmedia ビジネスオンライン

ともある。

繊維・アパレル業界でも2020年以降突如「サウナー」宣言した人をそこそこ見かけたのだが、実際にこの数年間でサウナの状況はどうだったかというと、昨年10月の記事では

国内のサウナ店舗情報を取りまとめるWebサイトの「サウナイキタイ」には、現在1万2276店舗ものサウナ施設が登録されている。ちなみに三菱UFJ銀行の支店数でも全国で約2500店舗ほどしかない。国内のサウナ施設は国内最大手メガバンク5つ分の支店数と同じくらいの規模があるということになる。

サウナイキタイのデータベースの伸びを確認していくと、2022年の上半期に1万店舗を突破し、そこから1年3カ月で2000店舗以上が追加されていることが分かる。

 

とある。

当方は銭湯に行った際、備え付けのサウナに数分~10分程度しか入らないため、サウナ店舗数がこれほど多いとは思いもよらなかった。

たしかに需要はあったのだろうが、それにしても供給過多ではないか。タピオカのように気軽に毎日食べられるような手軽さが無いから、サウナ需要にはやはり限度があると当方は考えている。全国1万2300店が潤うほどのサウナ需要は到底無いというのが当方の見立てである。

また、巷間伝わるサウナ入浴法も健康には良くない。冷水にいきなり全身飛び込むと心臓に負担をかけるし、弱い人なら発作を起こす。またサウナ後は水分補給が必須だが、これを「ビールが美味しくない」という謎の言い訳で怠る輩も多い。「整う」どころかかえって健康を害した人も多いのではないかと思っている。

 

それはさておき。

メディアの報道も含めた過熱ブームが終わり、新しく参入した人で定着する人は定着するだろうし、他の娯楽に戻る人は戻るだろう。新規参加人数が急増する局面は完全終了した。ブームが沈静化したこれからがどの分野でも供給側の壮絶な生き残り合戦が始まる。3つとも興味の無い当方は外野から生暖かい目で眺めて行こうと思う。

 

 

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