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南充浩 オフィシャルブログ

富裕層も意外に大手低価格ブランドを買っているというアンケート記事

2024年5月10日 考察 0

メディアで露出しているようなイケイケみたいな新富裕層とは異なり、一般的な富裕層・準富裕層は地味な方、質素な方が多い。

特に古くから続く家系は本当に贅沢をしない場合が多い。贅沢をしないからこそ何世代に渡って財産を伝えられたのだろうと思う。

当方が住んでいるところも築100年くらいの100坪単位の家が多いが、だれも高級ブランドの服なんて着ていない。食材も当方と同じスーパー万代で購入されている。自動車も目立つような高い外車には乗っておられない。

母の実家も準富裕層程度には資産を持っていると思われるが、叔父たちはワークマンの靴下を履いているし、ユニクロで買ったズボンを穿いている。

 

 

2000年代半ば頃からだろうか、メディアではよく

「日本の富裕層もユニクロを買っている」

と言われていた。社会階層によって買う店が定まっている欧米とは異なり、我が国では富裕層も低価格店で買うし、その逆もあるという話である。

個人的にはそういう質素さを好ましいと思っているのだが。

さて、つい先日、それを裏付けるようなアンケート記事が掲載されたのでご紹介してみたい。

【世帯年収2000万円以上の富裕層】「よく身に着ける洋服のブランド」…ダントツ1位は「ユニクロ」|まいどなニュース (maidonanews.jp)

一度本文と掲載されているグラフを見てもらいたいのだが、

・「よく身に着けるハイブランド(洋服)」

・「よく身に着けるブランド(洋服)」

と2項目に分かれている。

 

 

さすがは年収2000万円の世帯である。ちゃんとハイブランドの洋服も身に着けるわけだが、今回注目されたのはハイじゃない方のブランドである。

これは表題にもあるようにユニクロがダントツの1位で42・1%もある。

2位のモンクレールが21・9%だから約2倍もユニクロが多い。

ハイブランドの方を見てみると、1位ルイ・ヴィトンで24・0%2位エルメスで18・0%となっており、1位と2位にそこまでの差はない。

ユニクロがいかに年収2000万円世帯にも支持されているか、ということである。

逆にハイブランドの方を見ると、上位はいずれもそれほど大差がない。ハイじゃないブランドとしてはユニクロは異常に支持率が富裕層からも高いということがわかる。

 

 

 

恐らく、このアンケートに答えた人のほとんどは男性なのではないかと思う。

ラグジュアリーなブランドに一切興味が無い当方は、ハイじゃない方のブランドに注目したのだが、ランクインしているブランドはそこそこ高額もあるが、いずれもさほど珍しくないブランドで、何なら富裕層とはかけ離れた人でも買うことが多いブランドばかりである。

さらに、1位のユニクロもさることながら、低価格ブランドも数多くランクインしており、

10位無印良品 8・2%

12位ジーユー 5・3%

12位ザラ 5・3%

15位ギャップ 2・6%

16位H&M 1・5%

となっている。

意外に低価格ブランドも多く着用されているということがわかる。

ただ、面白いのは、このアンケートに答えた人のほとんどは男性だと思われるのだが、「しまむら」と「ワークマン」はランクインしていないところである。

国内の大手低価格チェーンといえばファーストリテイリングに次ぐ規模を持つ「しまむら」は外せないし、この10年で急成長を遂げたワークマンも必ず対象に挙がる。

しかし、この2つはランクインしていない。

 

 

 

とすると、もしかして年収2000万円世帯の男性にとって、しまむら、ワークマンは興味の対象外ということになる。

逆にいえば、年収別に考えると、しまむらとワークマンは富裕層ではない層に好まれているということも言えてしまうのかもしれない。

それにしてもハイブランドを除くと我が国の富裕層は概して意外と質素で、世間一般と変わらないブランドを身に着けているということがわかる。特にユニクロへの支持率の高さは異常だし、無印、ジーユー、ギャップ、ザラ、H&Mといったブランドもそこそこ身に着けられている。

 

 

 

それにしてももう一つ気になるのは、コム・デ・ギャルソンやヨウジ・ヤマモトといった我が国の有名デザイナーズブランドが新旧問わず一つもランクインしていない点である。

欧米ブランドではいくつかランクインしているものの、今のファッション好きな層が挙げるようなデザイナーズブランドはほとんどランクインしていない。

これは如何にデザイナーズブランドというジャンルが売上高を伸ばすことが難しいのかということが示されているのではないだろうか。

商品の値段は高いのに富裕層はあまり買わないとすると、中低所得者層からの支持を集めざるを得ないが所得の問題でいくら熱烈なファンでもたくさんの枚数を購入することはできない。となると、売上高と販売枚数は伸びにくいということになる。一般のアパレル企業ブランドとは一線を画して差別化を図ろうとするとエッジが効いたデザインが必要となるが、特別な愛好家でもない限り、エッジの効いたデザインは求められていないということだろう。

それにしても改めてユニクロの強さが浮き彫りになった興味深いアンケート記事だったといえる。

 

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