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南充浩 オフィシャルブログ

昔のようなマス層に広がる「大ヒットファッション」が生まれにくくなったという話

2024年5月1日 トレンド 0

3月末に気温が急上昇してから4月も概ね高気温を維持したまま終わった。

特に4月最終週は気温もさることながら、湿度も高い日が多く、気温以上に暑さを感じる日が多かった。こうなると、着用する服は当方の場合、半袖Tシャツか半袖ポロシャツしかない。

買う洋服も半袖Tシャツか半袖ポロシャツくらいになり、途端に購買意欲がなくなる。もうすでに半袖Tシャツも半袖ポロシャツも何枚も持っている。

よほど変わったデザインでも流行しない限り、手持ちの服で十分である。

 

 

昔のピチピチTシャツはもう着る気もないし、ルーズシルエットのTシャツもこの何年間かでもう何枚も手持ちに残っている。

これが夏服以外なら、まだ薄手のコートを買ってみようかとか、薄手のカーディガンを買ってみようか、となるが、Tシャツ・ポロシャツの季節が来ると途端に購買意欲は失せてしまう。

それでも10年前、15年前に比べると秋冬物でも「欲しい」と思える服もブランドも無くなってしまっている。これは何度も書いているように、一つには当方が精神的に老化しており著しく洋服への欲求が無くなっていることが挙げられる。

しかし、それ以外にも要因はあると感じていて、昔に比べると男女ともに「大ヒットアイテム」が無くなっていると感じる。

一応、いまだに大手メディアからときどき、質問をいただくことがある。その中で「最近、ファッションでは何が大流行していますか?」というものがあるのだが、これが最近すごく答えにくい。

なぜなら、当方からすると「大ヒットしているファッションは見当たらない」からだ。なんとなく、ちょぼちょぼといろいろ流行っているという実感である。

 

 

 

そんな中、こんなコラムが掲載され、業界紙も同様に感じていたことがわかった。

《めてみみ》ヒットが見えにくい | 繊研新聞 (senken.co.jp)

ヒット商品と言われても、それが見えにくくなっている。ファッション市場内外で話題となるような、メガヒットが生まれなくなっているからだ。卸販売からDtoC(消費者直販)に転換した新興ブランドでは、オリジナル開発した色・柄に特徴のある生地を使った日傘がECで売れ続けている。こうした、知る人ぞ知るヒットが増えている。

とある。

ここでは日傘が例に挙げられているが、これ以外にも小規模ブランドで売れているアイテムはいくつもある。ただ、いずれも大ヒット、多くの人が知っているという感じではない。

同好の士だけが知っているという感じである。

90年代から2000年代後半にかけては、本当にファッションにおいて大ヒットアイテムがあった。当方が何度も書いている90年代半ばのビンテージ(風)ジーンズなんてその典型である。当時の若い男性(自分も含む)のほとんどはビンテージ風ジーンズを買っていた。もちろん当方はその中の最安値だったエドウイン505を買ったのだが。

女性でいえば、アムラーしかり、神戸エレガンスしかり、109ギャル系しかり、である。

2010年代半ば以降はこういう大ヒットが見当たらない。

 

 

 

 

 

それぞれのジャンルが細分化してしまった現在、熱狂的なファンが狭いマーケットを深掘りして、ヒット商品が出ても横へ広がることはほとんどない。SNSなど同好の士だけのコミュニティーで完結してしまうからだろう。熱心なファンと一般消費者の熱量の差は明白で、広がることは難しい。

とあるが、これも同感である。

細分化というか、多様化というか分散化してしまっている。以前なら、ブーツカットが流行ったとなるとほとんどの人間がブーツカットを穿いていた。

しかし、現在、トレンドとしてゆるいフレアパンツが挙がっているが、穿いていない人も多い。廃れたといわれているスキニーパンツはいまだにユニクロ、ジーユ―で相当量販売されている。

ワイドパンツも一定数販売されていて着用者も多い。

ズボンだけで見てもマストレンドはバラバラである。

 

 

その上、古着も注目されているため、余計にファッション傾向は分散してしまう。当たり前のことだが古着というのは何年も前の服なので現在のトレンドからは外れている。

今だったら90年代とか2000年代の古着が中心だろう。もう70年代以前の古着は手に入らないと聞いたし、80年代古着も同様だと聞いたことがある。

90年代、2000年代の古着をファッションとして注目するなら、現在のトレンドと合致しないのは当たり前である。

サステナブル(笑)の流れもあって古着を大々的に注目するのであれば、もう以前のような統一されたビッグトレンドというのはますます出てこなくなる。何なら、昔の服を引っ張り出して着用していても何の問題もなくなる。現に当方も、US君も最近は10年前、20年前の服を着ることもある。

 

 

中小規模・零細ブランドが同好の士に向けた小ヒット商品で稼いでいるという構図が成り立っているということがコラムからもわかるが、じゃあマス層の人々や、そのアイテム以外は何を着ているのかというと、恐らくユニクロ、しまむら、ジーユーなどの大手低価格ブランドだろう。無印良品やアダストリアやストライプインター、ハニーズ、ワークマンあたりも含まれるだろうか。

2000年代後半以降にマス層に広がるような大ヒットファッションアイテムが生まれにくくなったのは、多様性や成熟化もさることながら、マス層が大手低価格ブランドの商品をいくつか組み合わせて着用するようになったことも大きいのではないかとも思う。そして今後も同様の傾向は続くと見ているので、昔のようなマス層に広がる大ヒットファッションアイテムというのはもう大手低価格ブランド以外からは生まれてこない可能性が高いだろう。

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